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雨宮京子氏【夏相場、注目すべきラリー期待株】(1) <相場観特集>


 株式市場では、英国の欧州連合(EU)離脱決定に伴う波乱展開からひとまず立ち直ったかに見える。しかし、不安定な為替相場を横目に予断は許さない状況には変わりない。年初からここまで投資家にとってはかなり向かい風の強い環境にあったが、果たして今後風向きは変わるのか。2016年の折り返し地点に立ったところで、改めて夏相場の見通しと注目銘柄について市場関係者に意見を求めた。

●「個別重視、内需のテーマ株で勝負」

雨宮京子氏(経済ジャーナリスト)

 日経平均株価はあれよという間に今年初の6日続伸だが、今の強調展開は日本に限ったことではない。英国EU離脱に伴うデメリットが大きく喧伝されるなか、世界株市場の値動きは意外なほど強い。流動性供給に世界の中央銀行が足並みをそろえる構えをみせ、とりあえず当面は売り方が闊歩するような相場ではないことが分かった。

 当面、9月くらいまでは日経平均で1万5000円台前半から1万7000円を上限としたボックス相場を想定している。もっとも、今夏は本質的に森を見ずに木を見ていく相場であると考えている。全体商いの薄さは“閑散に売りなし”の相場格言を地で行く展開で、値動きの軽い内需株が好まれやすい。トヨタ自動車 <7203> の値動きは相場の体温計のようなものとして、常にチェックしておく必要はあるが、ヘビー級の主力大型株を担ぎ上げるような地合いではないことは理解しておく必要がある。また今月はLINE上場を控え、これもあくまで観賞用としてだが、この株の初値とセカンダリーには注目が怠れない。

 個別銘柄の選別にあたっては、基本的に為替の円高要警戒モードから解放されている内需系銘柄の中から有望株を探してみたい。

 キャリア <6198> [東証M]はシニア人材の活用など人材コンサルティングを手掛け、高齢化社会に対応し安倍政権の掲げる一億総活躍社会のテーマにも乗る銘柄として注目される。また、4月からの電力小売りの全面自由化でがぜん注目度が増しているのがイーレックス <9517> だ。同社はバイオマス発電関連のテーマ株としての切り口もあるだけに継続的に追ってみたい。

 上場接近観測が強まっている「ZMP <7316> 関連」では、人工知能(AI)関連としての位置付けが定着してきたテクノスジャパン <3666> やフューチャーベンチャーキャピタル <8462> [JQ]などに一段の上値が期待できそうだ。補正予算編成など国策恩恵の見込まれる建設セクターでは、大手ゼネコンのほか東急建設 <1720> に妙味がある。駅周辺での大規模再開発案件など、東急電鉄グループとしての強みは他の建設株と一線を画する。

 このほかACCESS <4813> [東証M]は世界最小クラスのコンピューターエンジンの提供を開始しており、IoT関連としては最出遅れの部類で注目される。また、簡単便利な「ボタンビーコン」は株価見直しにつながる強力な材料とみている。

(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(あめみや・きょうこ)
元カリスマ証券レディ。経済ジャーナリスト。AK企画代表。日興証券時代は全国トップの営業実績を持つ。ラジオ短波(現ラジオNIKKEI)、長野FM放送アナウンサー、『週刊エコノミスト』(毎日新聞社)記者、日経CNBCキャスター、テレビ東京マーケットレポーター、ストックボイスキャスターなどを経て現在に至る。

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