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【特集】政府の後押しで拡大が期待される、「子育て」関連事業 <GW特集>

幼児活動研 <日足> 「株探」多機能チャートより

「ニッポン一億総活躍プラン」の重点項目に

 政府の「子育て支援」に向けた取り組みが活発化している。安倍晋三首相が掲げる「一億総活躍社会」の実現には女性のさらなる社会進出が必要不可欠となるが、現状では保育園に入れない子どもが依然として多いなど課題は少なくない。匿名ブログの政府批判をきっかけに国民の関心が高まるなか、待機児童問題が参院選の争点に浮上していることもあり、今月に公表される予定の「ニッポン一億総活躍プラン」では子育て支援に重点が置かれる見通しだ。

●15年度の待機児童数は2万3167人

 女性の就業率向上や共働き世帯の増加により保育ニーズは拡大しており、首都圏および地方の主要都市では待機児童の問題がより深刻化している。厚生労働省が発表した「保育所等関連状況取りまとめ」によると、15年度の保育所などの申込者数は約247万人で、14年度と比べ約13万人増加(13年度から14年度の増加数は約5万人)。同年4月時点の待機児童数は2万3167人となり、14年4月と比べて1796人増と5年ぶりの増加に転じた。この間にも政府は受け皿の整備を進めているが、保育所が増えると利用者がさらに増えるという状況が続いている。

●子育て関連企業が国策銘柄に浮上

 アベノミクス第2ステージとなる「新・三本の矢」では「夢を紡ぐ子育て支援」として希望出生率1.8を目指すことや待機児童ゼロの実現などが掲げられており、3月29日に成立した16年度予算では子育て環境の整備などで少子化を食い止めるために1兆5000億円が振り向けられ、保育所の増設や家計への支援などが盛り込まれた。また、4月26日に開かれた第7回一億総活躍国民会議では、安倍首相が保育士給与の2%相当の処遇改善やキャリアアップの仕組みの構築に言及。財源を確保して17年度からの実行を示すとともに、ニッポン一億総活躍プランに議論を反映するとした。関連企業の活躍場面はさらに広がることが予想され、株式市場では国策銘柄として注目度が高まっている。

 幼児活動研究会 <2152> [JQ]は、幼児体育指導関連事業が売上高の9割以上を占める。従業員が体操の先生として幼稚園や保育園に赴く正課体育指導の実施会場数は16年3月期末で1007園(前の期末から31園増)となり、課外体育指導会員数は6万806人(同3811人増)と順調に拡大している。

 JPホールディングス <2749> は、16年3月期第3四半期時点で保育所(159園)や児童館(10施設)、学童クラブ(55施設)を運営する業界大手。また、保育所向け給食や子育て支援施設向け英語・体操・リトミック教室の講師派遣、保育関連用品の企画・販売なども手掛けている。

 サクセスホールディングス <6065> は、ジェイコムホールディングス <2462> の連結子会社。救急病院の事業所内保育からスタートし、現在では病院以外にも大学や企業での事業所内保育、公的な認可保育園や認証保育所、学童保育、児童館などの運営も手掛けている。

 グローバルグループ <6189> [東証M]は、3月18日に東証マザーズに新規上場した子育て関連企業。前15年9月期末時点で認可保育所(46園)、認証保育所(22園)、保育室(1施設)、認定こども園(4園)、学童・児童館(10施設)を運営している。同社は中期的な事業戦略として、毎年15~20園程度の開園を目標としている。

 学研ホールディングス <9470> は、認可・認証保育所や公設民営化による公立保育園、こども園、複合型子育て支援施設の受託運営を行う。前15年9月期は首都圏に10園を新規開園し、今期は学童事業の本格展開にも注力する。

 このほかでは、保育士の派遣を行うテンプホールディングス <2181> や夢真ホールディングス <2362> [JQ]、クイック <4318> など。また、ベビー・キッズ用品専門店のアカチャンホンポをグループに抱えるセブン&アイ・ホールディングス <3382> 、ベビー・子供服や関連用品を販売する西松屋チェーン <7545> 、乳幼児向け知育玩具の企画・開発・販売を手掛けるピープル <7865> [JQ]、育児用品大手のピジョン <7956> にも注目したい。


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