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【通貨】為替週間見通し:ドル・円はやや底堅い展開か、原油・株価安定でリスク志向の円売りも


■ドル弱含み、米金利見通しの不透明感残る

先週のドル・円は弱含み。米金利見通しの不透明感が払しょくされていないことや、欧州中央銀行(ECB)が3月にも追加の量的緩和策を導入するとの見方が広がったことで、リスク選好的な円売りは抑制された。

日経平均株価の大幅続伸を好感してドルは一時114円87銭まで買われた。また、サウジアラビア、ロシア、カタール、ベネズエラは原油生産量を1月の水準に据え置くことで合意し、原油価格の先安観は後退したが、ドルは114円台後半で上昇一服となり、その後は短期筋などの利食い売りに押される展開となった。

日本、中国、欧米諸国の株価は総じて上昇したが、米追加利上げ時期の先送り観測が株高の一因とみられていることもドル買い・円売りを抑制したようだ。19日発表の1月米消費者物価指数は市場予想を上回ったものの、NYダウの続落やNY原油先物の反落を意識してドルは一時112円31銭まで下落し、112円57銭でこの週の取引を終えた。取引レンジは112円31銭-114円87銭。

■ドル・円はやや底堅い展開か、原油・株価安定でリスク志向の円売りも

今週のドル・円はやや底堅い展開が見込まれる。引き続き米国の追加利上げの時期、原油価格動向、そして、中国の経済情勢と株価動向を主な見所に方向性を探ることになる。

市場関係者が注目している原油相場については、産油国が生産量維持を遵守することで、原油価格の安定または下げ止まりが期待できる。中国経済については、今週は主要経済指標の発表は予定されていないが、3月の国内政治イベントを控え、政策期待で株価は下支えされる見込み。原油価格や国内外の株式相場に急変がない場合、リスク選好的な円売りのフローはやや増える可能性がある。

なお、26-27日に上海で20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が開催される。会議では、世界成長見通しの悪化や政策当局の対応方法が主要議題になるとの観測が浮上しているが、会議の結果が市場に影響を及ぼすのは29日以降になるとみられている。

【原油相場動向:産油国は生産量維持の提案支持】
サウジアラビア、ロシア、カタール、ベネズエラの4カ国が原油の生産量を1月の水準に据え置くことで合意し、イラク、イランなどの他の産油国も原油生産量維持の提案を支持しており、原油価格の下げ止まりが期待できる状況になっている。

【中国株:政策期待で下げ止まりか】
春節明け最初の国務院常務会議で李克強首相が景気刺激策の実施を示唆したことが報じられた。3月3日から全国政治協商会議が、5日からは全国人民代表大会が開幕することも意識されている。株価堅調見通しの論拠になるものとみられている。

【米金利見通し:市場が予想する利上げ確率は低いまま】
米国の1月消費者物価指数や1月鉱工業生産は市場予想を上回っており、米経済に対する悲観的な見方はひとまず後退した。しかし、1月26-27日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事録で、金融混乱や中国の経済鈍化を受けて下方リスクが上昇したとの見解が明らかにされており、景気回復や早期追加利上げに対する懐疑的なムードは消えていない。3月利上げの確率は極めて低い水準にとどまっており、次回利上げは6月以降になるとの見方が増えている。

予想レンジ:111円50銭-114円50銭

《FA》

 提供:フィスコ

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