ニチイ学館 <
9792> が5月6日大引け後(15:00)に業績修正を発表。16年3月期の連結最終損益を従来予想の35億円の赤字→160億円の赤字(前の期は4.1億円の黒字)に下方修正し、赤字幅が拡大する見通しとなった。赤字額は前の期末の純資産を28.2%毀損する規模となった。
会社側が発表した下方修正後の通期計画に基づいて、当社が試算した10-3月期(下期)の連結最終損益も従来予想の12億円の赤字→137億円の赤字(前年同期は1.7億円の赤字)に下方修正し、赤字幅が拡大する計算になる。
株探ニュース
会社側からの【修正の理由】
1.理由 平成28年3月期の通期業績予想の前提では、主力の介護事業においては、第4四半期以降、スタッフ数の増加によりサービス供給力が高まり、介護サービス利用者数が増加に転じる見通しでした。 しかしながら、先行指標となる介護職員初任者研修の受講生数については下期以降増加傾向にあるものの、講座修了者の就業が計画より遅れており、当第4四半期につきましても、スタッ
»続く
フ数、介護サービス利用者数が前期同期比での増加には至らず、厳しい結果となる見通しです(平成28年3月の介護サービス利用者数は前年同月比4,463人減少の135,697人となる厳しい結果となりました)。 また、医療関連部門では、収益バランスや人材基盤の状況を鑑み、新規契約獲得を抑制した結果、病院売上高が計画を下回る見込みであり、教育部門においては、COCO塾・COCO塾ジュニアともに営業・人材管理等に係るマネジメント態勢構築の遅れにより、受講生数が計画を下回る見通しです。 そのため、売上高・営業利益・経常利益予想を修正するものであります。 親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、上記の要因に加え、当期における損失状況を鑑み、特別損失の計上(7,202百万円)と繰延税金資産の取り崩し(4,318百万円)により、予測と実績に大幅な乖離が生じる見通しです。 セグメント別の売上高につきましては、医療関連部門において△600百万円、介護部門にて△1,400百万円、ヘルスケア部門にて△100百万円、教育部門にて△200百万円、保育部門にて+200百万円、その他部門にて+100百万円、消去または全社にて0百万円、それぞれ修正しております。 営業利益につきましては、医療関連部門において△100百万円、介護部門にて△300百万円、ヘルスケア部門にて+200百万円、教育部門にて△200百万円、保育部門にて100百万円、その他部門にて△100百万円、消去または全社にて△400百万円、それぞれ修正しております。 なお、中国事業につきましては、各セグメントにて配賦を行っておりますが、売上高につきましては0百万円、営業利益につきましては△200百万円を修正しております。2.特別損失の計上について(連結)(1)計上理由 当社、株式会社ニチイグリーンファーム、株式会社ニチイケアパレス、SELC Australia PTY LTD、株式会社ヨーク国際留学センター等においては、介護事業や語学、セラピー事業等の新事業において収支計画と実績に大きな乖離が生じております。そのため、介護施設(デイサービス、有料老人ホーム)、COCO塾教室の付帯設備等の固定資産について減損損失を計上するとともに、関連する子会社に対する当社貸付金および関係会社株式について回収可能性の低下懸念を想定し、引当金および評価損を計上するものであります。また、株式会社ニチイケアパレスが運営する「ニチイホーム昭島(現ニチイホーム昭島 昭和の森)」の移転に係る物件解約金等を計上いたします。上記の合計により、特別損失を7,202百万円計上する予定であります。(2)特別損失の内訳 特別損失の主な連結への影響額は以下のとおりとなっております。・減損損失:5,718百万円(介護施設関連 2,771百万円、COCO塾教室の付帯設備関連 1,434百万円、セラピー事業関連 904百万円、子会社SELCに係るのれん420百万円等)・関係会社株式評価損: 701百万円(セラピー事業に係る関係会社株式)・投資有価証券評価損: 59百万円(神戸国際フロンティアメディカルセンター特定目的会社の投資有価証券評価損)・会員権評価損: 5百万円(当社所有ゴルフ会員権の評価損)・貸倒引当金繰入額: 408百万円(セラピー事業に係る子会社への貸付金)・投資損失引当金: 140百万円(株式会社ヨーク国際留学センター株式)・賃貸契約解約損: 168百万円(ニチイホーム昭島移転に伴う物件解約金)3.繰延税金資産の取り崩しについて 繰延税金資産の取り崩しについて当社は、税効果会計に係る会計基準に従って繰延税金資産を計上しておりました。当期の業績と将来の利益見通しを踏まえて 繰延税金資産の回収可能性を慎重に検討した結果、繰延税金資産4,318百万円を取り崩し、同額を法人税等調整額に計上することといたします。4.今後の重点施策(1)人材確保 医療、介護、保育事業に係る人材の着実な確保に向け、講座受講者の就業までのアプローチの更なる強化、研修態勢の強化、職場環境の改善等に取り組み、講座修了生の就業促進と従業員満足度の向上を図ってまいります。 各支社においては、管轄エリア内の人材情報を統括し、事業現場態勢の強化、広域での適材・適所の人材配置を進めてまいります。 また、戦略事業である語学、ヘルスケア事業に対しては、グローバルな視点での人材採用ルートの早期構築等により、人材の安定確保に努め、将来を志向した磐石な人材養成基盤を築いてまいります。(2)語学事業の早期収益改善 ニチイグループでは、2011年の株式会社GABAの子会社化以降、COCO塾およびCOCO塾ジュニア(フランチャイズ展開含む)の立上げ、SELCオーストラリア(シドニー、カナダ)の子会社化・SELCマニラの設立、ヨーク国際留学センターの設立、ニューヨーク大学の語学学校日本校の開設など、幅広い層の幅広いニーズに応える語学ネットワークを構築する戦略的投資を実施してまいりました。 本年4月からは、COCO塾全80校にスクールマネージャーを配置し、マネジメント力の強化を図るとともに、SELCマニラとの連携によりオンライン英会話の展開を開始いたしました。オンライン英会話の導入によって、多忙なビジネスマン層から手軽に利用したい一般層まで、更なる受講者開拓を進め、オンラインを足がかりとした、COCO塾・COCO塾ジュニアへの効果的なプロモーションを行ってまいります。 (3)地域マネジメントシステムの構築 当社が展開するサービスは、人に根ざしたサービスであり、各地域で人材の養成からサービス提供態勢までを一貫し、個々のニーズや地域社会の要請に応えていく必要があります。そのため、全国の支店マネジメント態勢を強化し、人材活用から地域ニーズにあわせたサービス提供まで、各地域に最適な事業戦略を進めてまいります。 国内においては、全国に執行役員を配した重点的な経営執行態勢のもと、支店・現場の事業運営態勢を強化し、地域の状況にあわせた迅速な人材活用、個別ニーズに対応しうる人材の育成、サービス管理・運営態勢の再構築に注力してまいります。 中国においては、現地の各事業会社のマネジメントを中心とした事業運営態勢を強化するとともに、各地におけるスタッフ養成とサービス提供のマッチングシステム(ニチイオペレーションシステム)を早期に確立し、迅速なエリア展開(スケールアップ)を推し進めることで、規模による差別化を図ってまいります。(4)基幹事業の強化と事業間連携 基幹事業である医療関連、介護、保育の各事業は、ブランドスローガンである「やさしさを私たちの強さにしたい」を具現化する、極めて社会性の高い事業である一方、国の方針や制度等に左右されるため、収益力の安定化が課題となっております。 そのため、サービスの質的追及、サービス領域の拡大および業務運営機能の向上を図り、制度動向に対応しうる事業収支モデルの構築を進めてまいります。そして、少子高齢化、グローバル化が進むわが国において、事業間連携(医療、介護、保育、ヘルスケア、語学)を進め、同時に、日中等の地理的連携を図り、付加価値創造と事業規模拡大の可能性を追求しながら、わが国の社会保障分野の発展に貢献してまいります。(注意事項)上記に記載した予想数値は、本資料の発表日現在において入手可能な情報に基づき作成したものであり、多分に不確定な要素を含んでおります。従いまして、実際の業績等は、今後様々な要因により、この資料に記載されている予想とは大きく異なる場合があることをご承知おきください。
業績予想の修正
決算期 |
売上高 |
営業益 |
経常益 |
最終益 |
修正 1株益 |
修正 1株配 |
発表日 |
旧 15.10-03 |
138,925 |
673 |
-699 |
-1,204 |
-18.75 |
11 |
15/11/10 |
新 15.10-03 |
136,925 |
-327 |
-1,899 |
-13,704 |
-213.17 |
11 |
16/05/06 |
修正率 |
-1.4 |
赤転 |
赤拡 |
赤拡 |
赤拡 |
|
(%) |
決算期 |
売上高 |
営業益 |
経常益 |
最終益 |
修正 1株益 |
修正 1株配 |
発表日 |
旧 2016.03 |
275,500 |
200 |
-2,400 |
-3,500 |
-54.52 |
22 |
15/11/10 |
新 2016.03 |
273,500 |
-800 |
-3,600 |
-16,000 |
-248.89 |
22 |
16/05/06 |
修正率 |
-0.7 |
赤転 |
赤拡 |
赤拡 |
赤拡 |
|
(%) |
※単位:売上高、営業益、経常益、最終益…「百万円」。修正1株益、修正1株配は「円」。率は「%」
※最新予想と従来予想との比較
今期の業績予想
決算期 |
売上高 |
営業益 |
経常益 |
最終益 |
修正 1株益 |
修正 1株配 |
発表日 |
14.10-03 |
135,853 |
2,454 |
1,368 |
-177 |
-2.6 |
10 |
15/05/14 |
予 15.10-03 |
136,925 |
-327 |
-1,899 |
-13,704 |
-213.2 |
11 |
16/05/06 |
前年同期比 |
+0.8 |
赤転 |
赤転 |
赤拡 |
赤拡 |
|
(%) |
決算期 |
売上高 |
営業益 |
経常益 |
最終益 |
修正 1株益 |
修正 1株配 |
発表日 |
2014.03 |
271,447 |
6,322 |
4,940 |
2,831 |
40.5 |
20 |
14/05/14 |
2015.03 |
271,868 |
5,173 |
3,144 |
416 |
6.0 |
20 |
15/05/14 |
予 2016.03 |
273,500 |
-800 |
-3,600 |
-16,000 |
-248.9 |
22 |
16/05/06 |
前期比 |
+0.6 |
赤転 |
赤転 |
赤転 |
赤転 |
|
(%) |
※最新予想と前期実績との比較。予想欄「-」は会社側が未発表。
※上記の業績表について
- ・「連」:日本会計基準[連結決算]、「単」:日本会計基準[非連結決算(単独決算)]、「U」:米国会計基準、「I」:国際会計基準(IFRS)、「予」:予想業績、「旧」:修正前の予想業績、「新」:修正後の予想業績、「実」:実績業績、「変」:決算期変更
- ・[連結/非連結]決算区分の変更があった場合は、連続的に業績推移を追えるように、連結と非連結を混在して表示しています。連結と非連結が混在しない場合は、「連」「単」表記は省略します。
- ・決算期表記後の「*」は上場前の決算を示し、2018年以前に新規上場した銘柄では1株あたりの項目は株式分割などによる換算修正は行っていません。
- ・前期比および前年同期比は、会計基準や決算期間が異なる場合は比較できないため、「-」で表記しています。
- ・米国会計基準と国際会計基準では、「経常益」欄の数値は「税引き前利益」を表記しています。
- ・業績予想がレンジで開示された場合は中央値を表記しています。
【注意】「決算速報」「個別銘柄の決算ページ」で配信する最新の業績情報は、東京証券取引所が提供する適時開示情報伝達システム(TDnet)において、上場企業が公表する決算短信と同時に配信されたその企業自身の作成によるXBRL(企業の財務情報を電子開示するための世界標準言語)に基づいたデータをそのまま使用しています。同一の会計基準内で規則変更が行われた場合については、変更は考慮せずに比較を行っています。また、業績予想がレンジで開示された場合はレンジの中央値を予想値として採用しています。なお、この配信されたデータには、新興企業を中心に誤ったデータが配信される場合が希にあります。投資判断の参考にされる場合は、より正確な決算短信のPDFファイルを併せてご確認くださいますようお願いします。