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9304 澁澤倉庫

東証P
3,040円
前日比
-5
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PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
12.8 0.77 3.12 50.58
時価総額 463億円
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決算発表予定日

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澁澤倉庫 Research Memo(10):2023年3月期は予算超過達成、中期経営計画前倒し達成と業績は極めて順調


■業績動向

1. 2023年3月期の業績動向
2023年3月期の業績は、営業収益78,504百万円(前期比9.4%増)、営業利益4,894百万円(同8.4%増)、経常利益5,847百万円(同15.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益3,759百万円(同28.5%減)となった。高水準で推移した海上・航空運賃単価による押し上げはあったが、営業収益、営業利益ともに2ケタ近い増加となった。経常利益と親会社株主に帰属する当期純利益の減益は特殊な営業外収益の解消と特別損失の計上という一時的な要因によること、期初の澁澤倉庫<9304>予想に対して超過達成したこと、「澁澤倉庫グループ中期経営計画 2023」の目標値を前倒し達成したことを考慮すると、業績は極めて順調だったと言えよう。

日本経済は、新型コロナウイルス感染症抑制と社会経済活動回復の両立が進んだため、個人消費や企業の設備投資は緩やかに持ち直しの動きが見られたものの、ウクライナ情勢の長期化に起因した原材料価格の高騰や物価上昇、急激な円安や世界的な金融引締めが景気下振れ要因として懸念されることから、依然として先行き不透明な状況で推移した。物流業界では、国内貨物・輸出入貨物ともに回復のペースが鈍化したうえエネルギー価格の上昇や労働力不足などによりコストが増加、不動産業界では、都市部オフィスビルにおける空室率の上昇と賃料相場の下落が継続するなど、いずれも厳しい状況が続いた。

こうした環境の下、同社は、「澁澤倉庫グループ中期経営計画 2023」で掲げた事業戦略に基づき、物流事業で競争力のある物流サービスの提供や業域の拡大に向けて、横浜市や埼玉県北本市での拠点稼働開始や千葉県松戸市の拠点増床など国内外で投資や営業活動を積極化して貨物取扱量を拡大したほか、業務の効率化や採算性の向上にも努めた。不動産事業では、既存施設の計画的な保守及び改良工事を実施するとともに、適正料金の収受により安定的な収益基盤の維持強化に努めた。この結果、物流事業で倉庫、港湾運送、陸上運送及び国際輸送の各業務において取扱量が増加したこと、海上・航空運賃単価は一時の高騰から正常化に向かっているものの高水準で推移したこと、第2四半期より新たに子会社1社を連結したこと、不動産事業で不動産賃貸収入やビル管理業務が増加したことにより、営業収益は2ケタ近い増加を確保した。

利益面では、電気料金の高騰などのエネルギーコストが高止まりしたことや、海外運賃の高騰により一部サービスで低採算になったことから営業総利益率が若干低下したこと、また、取扱い増加に伴う作業費、新設拠点などの施設賃借費などが増加したが、増収効果でカバーして物流事業、不動産事業ともに営業増益となった。経常利益は、コロナ禍からの回復と経済成長に伴って物流ニーズが強まり単価が上昇しているベトナムは好調だったものの、データ・キーピング・サービス社の負ののれん発生益が解消したことにより、持分法による投資利益が大幅に減少、減益となった。また、親会社株主に帰属する当期純利益は、特別利益で平和みらいの子会社化に伴って負ののれん発生益を計上したものの、特別損失に倉庫のスクラップ&ビルドに伴う固定資産処分損などを計上したため、経常利益を上回る減少率となった。

セグメント別では、物流事業、不動産事業ともに順調で、それぞれ増収となった。物流事業では、倉庫業務で化粧品や機械部品などの保管業務や流通加工業務が増加した。港湾運送業務は倉庫業務と連動して船内荷役業務や輸出入荷捌業務が増加した。陸上運送業務は外食向けに飲料などの輸配送が戻ったことや、輸入貨物や機械部品などの輸配送業務が好調に推移した。国際輸送業務は第1四半期を中心に上海ロックダウンの影響はあったがその後回復、加えてコンテナ不足を背景とする輸入航空貨物の取扱い増加、海上・航空運賃単価の高止まり、円安などにより30%を超える増収となった。その他の物流業務も、横浜地区のR&D施設など物流施設の稼働率向上により増収率は30%を超えた。この結果、物流事業全体の営業収益は2ケタ近い増収となり、取扱い増加に伴う作業費、新設拠点などの施設賃借費用、単価上昇による仕入れ運賃や光熱動力費などの増加を吸収して、営業利益は2ケタ増益を達成した。不動産事業は、ビル管理業務の増加に伴う作業費や単価上昇による光熱動力費の増加を、一時的に若干低下していた稼働率が戻った不動産賃貸やビル管理業務の増収でカバーし、増収増益を達成した。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)

《SI》

 提供:フィスコ

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