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8508 Jトラスト

東証S
447円
前日比
+2
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PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
9.6 0.40 3.13 74.18
時価総額 615億円
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決算発表予定日

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Jトラスト Research Memo(5):東南アジア金融事業の損失計上により減益


■業績動向

1. 2019年3月期第2四半期の業績概要
Jトラスト<8508>では2018年3月期第1四半期からはIFRSを任意適用することとし、この結果、グループ内の会計処理の統一による経営の迅速化や財務情報の国際的な比較可能性の向上などにより経営の透明性が高まることになった。2019年3月期第2四半期累計の営業収益は36,575百万円(前年同期比5.6%増)、営業利益は25百万円(同99.4%減)であった。日本金融事業、韓国及びモンゴル金融事業は堅調に推移したが、東南アジア金融事業において一部債権の不良化とIFRS第9号導入による負担増に伴い貸倒引当金の繰入れが増加し、営業損失を計上したことが響いた。また、親会社の所有者に帰属する四半期利益は、非金融事業の連結子会社売却決議に伴う損失計上等により2,182百万円の損失(前年同期は2,269百万円の利益)となった。以上から、2019年3月期通期の会社予想に対する進捗率では、営業収益は43.9%であったが、営業利益は0.4%、親会社の所有者に帰属する四半期利益は損失計上となった。

2. セグメント別の動向
セグメント別では、日本金融事業、韓国及びモンゴル金融事業、非金融事業で利益を確保したが、東南アジア金融事業、投資事業が損失を計上し、業績の足を引っ張った。

日本金融事業では、子会社の日本保証がアパートローン保証に注力した結果、債務保証残高の合計は173,325百万円(前年同期比54.5%増)となった。また、日本保証、パルティール債権回収による債権回収業務でも、不良債権の買い取りが順調に進み、請求債権残高は合計9,000億円超となった。以上から、日本金融事業の営業収益は4,905百万円(同1.5%増)を計上し、セグメント利益は買取債権の将来キャッシュ・フローの見直しに伴い貸倒引当金の繰入れを行ったこと等により2,151百万円(同13.6%減)となったものの、安定した高い利益水準を維持した。

韓国及びモンゴル金融事業では、JT親愛貯蓄銀行及びJT貯蓄銀行の貸出残高は296,451百万円(前年同期比20.0%増)と順調に拡大した。この結果、同事業の営業収益は20,248百万円(同16.1%増)、またセグメント利益はIFRS第9号の適用に伴い貸倒引当金の繰入れが増加したこと等により2,400百万円(同2.0%減)となったものの、セグメント中最大の利益を上げた。

東南アジア金融事業では、長らくインドネシア預金保険機構の管理下にあった銀行業のJトラスト銀行インドネシアにおいて再生に向けた事業構造改革に取り組んだ。2019年3月期第2四半期は、貸出ポートフォリオの入れ替えに伴い大口の貸出金を圧縮した一方で、小口・リテールの貸出金を増加させたが、計画に比べて貸出資産残高の積み上げは遅れた。また、IFRS第9号の適用に伴う債権格付けの悪化や一部債権の不良化による収入減と貸倒引当金の負担増等が響いた。結果、貸出残高は90,433百万円(前年同期比2.3%減)となった上、平均貸出金利が低下し利息収益が伸び悩んだことから、営業収益6,261百万円(同14.1%減)、貸倒引当金の繰入れ増加からセグメント損失2,418百万円(前年同期は256百万円の損失)と不振であり、同社グループ全体の利益を押し下げた。

2018年3月期にGL関連の大きな損失を計上した投資事業は、営業収益は有価証券に対する利息収益の減少により655百万円(前年同期比49.9%減)、GLに対する訴訟関係費用の増加によりセグメント損失291百万円(前年同期は1,073百万円の利益)であった。また、ハイライツ・エンタテインメントの売却決議に伴い前期実績が非継続事業に分類された結果、総合エンターテインメント事業、不動産事業を合算した非金融事業では、営業収益は3,114百万円(前年同期比11.7%増)、セグメント利益44百万円(同70.5%減)となった。

3. 財政状況と経営指標
2019年3月期第2四半期末の資産合計は、前期末比38,104百万円増の695,065百万円になった。これは主に、銀行業における貸出金、営業債権及びその他の債権が増加したことなどによる。一方、負債合計は、同44,756百万円増の550,941百万円になった。これは主に、銀行業における預金、社債及び借入金が増加したことなどによる。資本合計については、同6,651百万円減の144,124百万円となった。これは主に、親会社の所有者に帰属する四半期損失を計上したことに加えて、会計方針の変更による影響額等により利益剰余金が減少したことによるものである。

以上の結果、2019年3月期第2四半期末の親会社所有者帰属持分比率は19.9%であった。資産合計が拡大した一方、資本合計が減少したことから、同比率は前期末の22.0%から低下したが、今後は利益の積み上げに伴い、改善に向かうと予想される。

2019年3月期第2四半期のキャッシュ・フローの状況では、現金及び現金同等物は前期末比9,238百万円減の75,485百万円になった。営業活動によるキャッシュ・フローの減少13,199百万円は、主に銀行業における預金が増加した一方で、銀行業における貸出金の増加などにより資金が減少したためである。投資活動によるキャッシュ・フローの減少3,333百万円は、銀行業における有価証券の取得による支出が、銀行業における有価証券の売却による収入を上回ったことが主因である。また、財務活動によるキャッシュ・フローの増加5,985百万円は、短期社債が減少した一方で、長期借入金が増加したことなどによる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)

《HN》

 提供:フィスコ

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