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7981 タカラスタンダード

東証P
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時価総額 1,264億円
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テラスカイ Research Memo(6):2020年2月期の業績は会社計画を上回る大幅増収増益を達成


■業績動向

1. 2020年2月期の業績概要
テラスカイ<3915>の2020年2月期の連結業績は、売上高が前期比41.8%増の9,300百万円、営業利益が同477.7%増の725百万円、経常利益が同294.8%増の761百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同464.2%増の880百万円と大幅増収増益となり、期初会社計画や2019年10月に発表した修正計画に対しても上回って着地した。

デジタルトランスフォーメーションの取り組みの一環として、クラウドシステムの導入を検討する企業が増加しており、ソリューション事業、製品事業ともに前期比で40%を超える大幅増収となった。費用面では人員増に伴う人件費や採用費が増加したほか、減価償却費(前期比29百万円増)、のれん償却(同23百万円増)などの増加があったものの、増収効果で吸収して営業利益率は前期の1.9%から7.8%に上昇した。

営業外収支が前期比31百万円悪化したが、これは持分法適用関連会社であったサーバーワークスの株式上場に伴い、その一部を売却し持分法適用関連会社から外れたことで、持分法投資利益(前期71百万円)がなくなったことが主因だ。一方で、株式売却益及び持分変動益558百万円を特別利益として計上し、親会社株主に帰属する当期純利益の大幅増益の一因となっている。

(1) 事業セグメント別の状況
2020年2月期におけるソリューション事業の売上高は前期比41.1%増の7,614百万円、セグメント利益(営業利益)は同56.9%増の1,186百万円と大幅増収増益となった。大企業を中心にSalesforceの導入拡大が続いたほか、BeeXで展開するAWSの導入支援、SAPシステムのクラウド移行支援案件も好調に推移した。また、SalesforceとLINEを連携したCRMソリューション「OMLINE」シリーズについても導入が進み増収に寄与した。四半期別の業績推移を見ても、当第4四半期(2019年12月-2020年2月)は売上高で前年同期比42.8%増、セグメント利益で同48.4%増と右肩上がりに高成長が続いており、需要に対して能力増強が追い付かない状況が続いている。プロジェクトの累計導入実績は4,500件超に拡大している(前期末は3,500件超)。

一方、製品事業の売上高は前期比45.3%増の1,689百万円、セグメント利益は同342.4%増の269百万円となり、利益率が前期の5.2%から15.9%に大きく上昇した。基幹システムなどオンプレミス上にあるデータとクラウドシステムをつなぐデータ連携基盤として、「DataSpider Cloud」は大口受注となったトヨタ自動車<7203>のほか、タカラスタンダード<7981>といった受注が相次いだことや、戦略製品である「mitoco」についても「働き方改革」のツールとして、順調に契約社数を伸ばした。売上高を形態別で見ると、月額利用料等のストック収入は導入社数拡大により前期比24.9%増の889百万円と拡大したほか、導入時に計上する開発料等のフロー収入も大口案件の受注が相次いだことで同77.4%増の800百万円と大きく伸長し、利益率の上昇要因となった。四半期ベースの業績を見ると、当第4四半期に売上高で前年同期比2.9%増と成長が減速したように見えるが、これはフロー収入が前年同期から減少したことによるもので、ストック収入については順調に伸長している。なお、「mitoco」については売上高で2ケタ増収と伸びているが規模はまだ小さく、機能の拡充など開発も継続して進めるなど先行投資段階にある。

(2) 会社別の動向
同社単独業績は売上高で前期比13.9%増の5,864百万円、営業利益で517百万円(前期は2百万円の営業利益)となった。ASW事業をBeeXに移管したため増収率は低く見えるが、既存事業ベースでは大幅増収増益になったと見られる。BeeXやキットアライブ、スカイ365についてもクラウド市場の拡大を追い風に好調に推移した。2019年5月に子会社化したCuonについては、9ヶ月分の業績が加算されているが、業績への影響は軽微となっている(のれん償却23百万円を計上)。

Quemixは研究開発ステージの子会社となり、量子コンピュータを用いてビッグデータ等の解析を行うアルゴリズムの開発を行っている。具体的には、金融系、化学系(創薬、物質科学)をテーマとして大学とアルゴリズムの共同研究を開始している。量子コンピュータで動くアルゴリズムの開発競争は国内外で激しくなっており、Quemixもアルゴリズムの開発とライブラリー化を進め、特許使用料で収益を獲得していく戦略となっている。

テラスカイベンチャーズは、2019年6月に組成した「TSV1号投資事業有限責任組合」を通じてクラウド関連のアーリーステージ企業2社に投資を実施した。同ファンドにはNTTコミュニケーションズ(株)、日本アジア投資<8518>も出資し、スタートアップ企業に引き続き投資を行っていく予定だ。

2019年12月に新設したタイの子会社では、10名弱のエンジニアを現地で採用し育成する計画である。2020年2月期の業績への影響は軽微で、現状についても新型コロナウイルス感染拡大防止のため政府から非常事態宣言が発令されており、実質ストップした状況となっている。今後、業務活動が正常化すればSalesforceの導入支援と併せて「OMLINE」等のソリューションを拡販していく予定となっている。タイはLINEの普及率が高いことや日系進出企業も多いことから顧客開拓も進みやすいと見ている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《ST》

 提供:フィスコ

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