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7823 アートネイチャー

東証S
756円
前日比
-1
-0.13%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
21.2 0.91 3.70 6.31
時価総額 260億円
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決算発表予定日

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アートネイチャ Research Memo(7):男女ともウィッグが好調で営業利益は大幅増益


■業績動向

1. 2023年3月期第2四半期の業績
アートネイチャー<7823>の2023年3月期第2四半期の業績は、売上高21,288百万円(前年同期比10.1%増)、営業利益2,372百万円(同51.9%増)、経常利益2,374百万円(同59.2%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益1,463百万円(同70.7%増)と非常に好調だった。日本経済は、長期化していたコロナ禍の活動制限緩和に伴って個人消費に持ち直しの動きが見られるものの、ウクライナ情勢の長期化に伴う原油高や原材料価格の高騰、急激な円安の進行が個人消費に影響を及ぼしており、依然として先行き不透明な状況が続いた。このような環境下、同社は、中期経営計画「アートネイチャーChallengeプラン」最終年度となる2023年3月期も、前期同様「次代を切り拓くアートネイチャー」の礎を築くため6つの重点Challenge施策を着実に実行した。その結果、特にコロナ禍の長期化で需要が減退していたレディースが、新製品やプロモーションの効果などにより売上高が過去最高になるなど大きく改善、通期予想の上方修正につながった。

2023年3月期第2四半期は、新製品開発とマーケティング戦略を強化した。メンズでは、2022年3月に「ウエットブラスト加工」によって増毛する人工毛の結び目を細く削るなど他社にない技術を駆使して自然さを徹底追求した増毛商品「マーププライム」を発売、同年6月には自毛を活かしてより手軽な着け心地とナチュラルな見た目が特長のオーダーメイドウィッグ「ネイチャーワン」を発売した。これに加えて、イメージキャラクターの城島茂氏を活用した増毛のCMを、地上波だけでなくBSやYouTubeなど様々なメディアで展開するなどプロモーションを強化、教育施策の成果である現場のスキルアップもあって、ウィッグ顧客の新規導入数を拡大することができた。

レディースでは、「プッシュdeフィット」の機能により、従来のウィッグ装着時の課題であった「ピン装着の難しさ」や「長時間の使用への懸念」が解消されたことで、「フィーリン」の需要喚起につながった。2022年9月には、既製品ブランド「ジュリア・オージェ」でも「クリップキャッチ」を利用したピンでとめないウィッグ「レフィア ピュアボーテ」を発売した。これに合わせ、レディースアートネイチャーのCMキャラクターとして人気の森山良子氏と清水ミチコ氏を、「ジュリア・オージェ」のアンバサダーとしても起用したほか、新規相談や催事イベントなどにおいてブランド間の相互送客施策を実施した。こうした同社内ブランドの垣根を越えた広告・販売戦略を店舗展開にも適用、2022年9月、世界の人気ブランドの旗艦店が立ち並ぶ銀座に、「レディースアートネイチャー」で取り扱うオーダーメイドウィッグのほか、「ジュリア・オージェ」で取り扱う既製品ウィッグやサロン品質のヘアケアアイテムなど、幅広い商品・サービスを取り揃えた「レディースアートネイチャー銀座プラチナガーデン」をオープンした。

こうしたマーケティング戦略の結果、売上高はメンズが前年同期比4.3%増と安定成長、レディースが同18.0%増と高成長となった。その他が同17.3%増と伸長したが、「LHスカルプヘッドスパ プラス」など通信販売のヘアケア商品が好調だったことが要因である。また、商品・サービス別売上高で、メンズの新規顧客獲得とレディースの「フィーリン」好調によりオーダーメイドウィッグが同2ケタ増となり、コロナ禍の緊急事態宣言などにより特に苦戦していた「ジュリア・オージェ」は同20%を超える伸びとなった。なお、増毛商品が減収となったのは、ウィッグにフォーカスしたプロモーションを展開した影響により新規顧客が増毛でなくウィッグを選ぶ傾向が強まったためで、同社の戦略に適した結果だったと言えよう。

利益面では、売上拡大に伴い固定費的要素の強いスタイリスト人件費率が処遇を改善しながらも低下、円安や原材料高に伴う商品原価率の上昇をカバーし、売上総利益率は同0.7ポイントの上昇となった。為替の影響については、オーダーメイドウィッグは数年分の原材料在庫があるため影響はほぼないが、既製品ウィッグは米ドル建ての仕入のうえアイテムが多く在庫期間が短いため、ややインパクトがあった。第2四半期の円安の影響は収益圧迫要因として1億円程度生じた模様である。販管費は人員強化を進めている人件費を中心にほぼすべての費目で増加したが、売上拡大により販管費率は同2.4ポイントの改善となった。この結果、営業利益は同51.9%増と大きな伸びとなり、業績改善に加速がついたといえる。計画比では、新商品やプロモーションの効果に加えコロナ禍からの事業環境改善もあって、「フィーリン」の好調など男女ともに売上高が計画を上回って推移、つれて利益も計画を上回った。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)

《NS》

 提供:フィスコ

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