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7823 アートネイチャー

東証S
756円
前日比
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PTS
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業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
21.2 0.91 3.70 6.31
時価総額 260億円
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決算発表予定日

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アートネイチャ Research Memo(6):6つの重点Challenge施策で様々な課題を解消へ


■中期経営計画

1. 中期経営計画
アートネイチャー<7823>を取り巻く内外環境には様々な課題が生じている。コロナ禍の長期化やウクライナ情勢など先行き不透明感が増しているうえ、国内毛髪市場において、高齢化社会の進展や定年延長、女性労働の活性化、アンチエイジング志向の高まりなどにより需要の拡大が見込める一方、毛髪業界の成熟化や他社・隣接業界との競争激化、代替商品・サービスの台頭など厳しさも増している。ほかにも、労働市場の縮小や優秀な従業員確保、SDGsに関わる株式市場や社会への向き合い方、技術革新による急速な変化(DXの進展)などへの対応も課題といえる。同社は、こうした課題を解消し「次代を切り拓くアートネイチャー」の礎を築いて成長を持続するため、3ヶ年(2021年3月期~2023年3月期)の中期経営計画「アートネイチャーChallengeプラン」を策定した。また、プラン達成のため、(1)業績伸長、(2)新領域の開拓、(3)採用の強化、(4)人財の育成、(5)市場との対話、(6)業務の刷新―という6つの重点Challenge施策を実行することになった。

具体的には、(1)業績伸長では、引き続き顧客ニーズに応えた高品質な製品とサービスを開発、定期的に市場投入することで商品ラインナップを増やし、「反響営業」によって需要を掘り起こし、「リピート営業」によって定着に向けた施策を実践する。また、ECサイトや海外市場など各媒体や地域にフィットした施策を講じてさらなる需要を掘り起こし、国内外の市場で顧客数の増加を図る。(2)新領域の開拓では、近年進出した比較的手ごろな価格帯のウィッグ事業や医薬品販売事業、医療機関サポート事業を着実に軌道に乗せる一方、国内外でのM&Aや新規事業の立ち上げなどにより一層の業容拡大を図る。(3)採用の強化と(4)人財の育成では、まず、約1,800名の理・美容師の資格保有者に対し、最大限のパフォーマンスを発揮できるよう様々な研修や施策を講じるほか、女性活躍推進法に基づく優良企業としてダイバーシティマネジメントや、ワークライフ・バランスを重視した「働き方改革」を積極的に推進する。これらにより、優秀な人財の安定的な確保、従業員の定着化の推進、現場力・接客力の向上を図る。営業部門以外の従業員についても、企画立案やグループ会社の経営管理を担える様々な人財を育成する教育研修や自己研鑽支援の制度を確立し、各分野のエキスパートを増やす仕組みを構築、本社における企画力や経営管理力の引き上げを図る。(5)市場との対話では、既にSDGsに関わる様々な取り組みを実践しているが、新たに「プラスチックの削減」と「新しいサービス体制の構築」に挑むとともに、IR活動などを通じて市場との対話やコーポレートガバナンスを強化し、中長期的な企業価値の向上を図る。(6)業務の刷新では、ペーパーレス化やシステム化など各種制度の見直しや本社業務の刷新により、無駄を省き、固定費を圧縮することで、損益分岐点を引き下げる。生産性を向上させ、より収益を生み出しやすい体制への転換を図る。

2. 重点施策と進捗
同社は、「アートネイチャーChallengeプラン」で年度ごとの目標を定めている。初年度「Challenge2020」では、既存事業の事業基盤を再整備するとともに、スタンダードウィッグ、発毛剤、医療機関サポートなど新規事業の基盤の拡充に挑む。2年目の「Challenge2021」では、既存事業の再拡大に挑むとともに、さらなる新領域の拡充に向けた体制を整える。最終年度「Challenge2022」では、既存事業の安定的な拡大に挑むとともに、さらなる新領域に踏み出す。毎年着実にプランをこなすことで、同社は2023年3月期に売上高442億円、経常利益率8.7%、ROE8.7%を当初目標として目指していた。しかし、コロナ禍が想定以上に長期化したことで目標達成は厳しい状況となった模様だが、課題解消~持続的成長という中期経営計画の目的は変わっておらず、6つの重点Challenge施策も以下のようにある程度順調に進捗している。

中期経営計画の進捗としては、(1)業績伸長に関しては、メンズについては、ウィッグ中心のプロモーション強化などにより、定着率の高いウィッグの新規顧客が増加するなど、おおむね計画どおりに進捗、今後の定着に期待がかかる。レディースについては、ピンでとめないオーダーメイドウィッグ「フィーリン」が好調となるなど、成長に向けた取り組みを積極的に展開した結果、計画以上の進捗となっている。(2)新領域の開拓については、国内外で様々なM&A案件を検討してきたが、コロナ禍の長期化もあって具体的な進捗はなかった。(3)採用の強化と(4)人財の育成に関しては、給与水準など募集条件の改定を実施するなど採用活動の強化や、現場力強化・本社人財育成に向けた研修を継続している。(5)市場との対話は、機関投資家向けパーセプション調査や個人投資家向け潜在株主アンケートの実施、個人投資家向けオンライン説明会の開催など積極的に対応した。(6)業務の刷新については、業務の効率化を継続しているほか、人事制度やシステムの刷新を検討しているところである。これにより、同社は最終年度である2023年3月期に売上高429億円、経常利益率8.1%、ROE7.3%の達成を目指している。このように重点Challenge施策が順調に進捗していることは、足元でコロナ禍の行動制限の解除という追い風が強まっていることもあり、来期スタートが予想される次期中期経営計画に向けてよい弾みになると思われる。次期中期経営計画では、メンズの安定成長を継続するとともに、定番化しつつある「フィーリン」の好調をテコにレディースでトップシェアを目指す成長戦略が期待される。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)

《NS》

 提供:フィスコ

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