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6927 ヘリオスTH

東証S
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100株
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時価総額 108億円
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決算発表予定日

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ヘリオス テクノ Research Memo(4):新規分野としてタッチパネル製造装置の販売を狙う


■事業部門別の動向

(3)製造装置事業

a)製造装置事業の詳細
製造装置事業は、セグメント別で見た場合、ヘリオス テクノ ホールディング<6927>の収益の中核となっていることに加え、2015年3月期から2017年3月期にかけて売上高の大きな上下動をもたらす原因となっている事業でもある。

製造装置事業は子会社のナカンテクノが手掛けている事業だ。この事業部門は各種の印刷技術を応用して液晶ディスプレイやタッチパネルなどの部材の製造装置を製造販売している。同社は現状、製造装置事業を「フレキソ印刷機」、「プラント」、「新規装置(HRT)」及び「その他」の4つのサブセグメントに分けて管理している。

フレキソ印刷機の主たる製品は、液晶パネルの配向膜製造装置だ。配向膜製造装置の種類としては、フレキソ印刷技術によるものとインクジェットプリンターによるものがあるが、フレキソ印刷技術による配向膜製造装置メーカーは現在では同社のみとなっている。2つのタイプには一長一短があるが、フレキソ印刷による配向膜製造装置はガラスサイズの8.5世代あたりまでの領域で優位性があるようだ。同社はまた、インクジェットプリンターによる配向膜製造装置についても要素技術開発を終えている模様だ。

新規装置というのは、タッチパネルの製造装置として、インクジェットプリンター、グラビアオフセット印刷、フレキソ印刷などの各技術を活用した製品を提供しているものだ。HRPとあるのは高精細度印刷機(High Resolution Printer)を意味している。タッチパネルの製造においては、高精細度の配線加工が必要となるためだ。

プラントというのは、上記の2つとは異なり、中古の液晶やタッチパネルの製造装置の移設を行う事業だ。日本や台湾などで発生する中古の製造装置を買取り、中国のメーカーに販売するというのが基本的なビジネスモデルとなっている。同社は中古製造装置を中国に搬送し、現地工場に据え付けるまでを一貫して請け負っている。それゆえ事業リスクは決して低くないうえ、中国企業の商慣習に基づく、資金回収の難しさなどもあって、一般的にいえば高リスク事業となっている。同社は中古製造装置の取扱いを、ナカンテクノ発足時から行っているが、その背景にはナカンテクノ代表取締役社長の佐藤良久(さとうよしひさ)氏の中国での人的ネットワークの存在がある。属人的ではあるが、同氏の人脈を活用してリスクとってこの事業に参入したことで、高リスク事業を低リスク化させ、他社と差別化と参入障壁構築へとつなげている。

プラント事業の取扱い品目は液晶やタッチパネルの製造装置が中心だが、将来的には半導体製造装置(具体的にはステッパーやスキャナなどの露光装置)を取り扱うことに意欲を見せている。半導体用露光装置は、中古品であっても価格が数十億円単位になるとみられるため、収益インパクトは大きいと期待される。しかしながら、微細加工のレベルでは、半導体と液晶・タブレットでは、ケタが違うため、中古機器の搬入・据え付けにおいて要求される技術レベルが格段に高くなり、それだけ事業リスクも増すことになる。早期に半導体製造装置の取扱いが開始されると過度に期待するのは避け、今後の推移を見守るというスタンスが妥当であると弊社では考えている。

“その他”の中にはフレキソ印刷機で使用される消耗品(フレキソ印刷版)の販売や、既存の製造装置のメンテナンス・改修・改良などの作業が含まれる。ここ数年急速に伸びているのがメンテナンスや改造作業だ。この背景には同社の製造装置の累計販売台数が50台を大きく超えてきていることがある。メンテナンスや改良工事は、事業として採算性も高く、今後、収益源に成長していくものと同社では期待を寄せている。

製造装置事業を総括すると、新規製造装置と中古製造装置に大別される。新規製造装置では、現状はフレキソ印刷による液晶製造装置(配向膜製造装置)が主力製品で、新規分野としてタッチパネル製造装置の販売を狙っているという状況だ。将来的には省エネ圧膜印刷装置やPCB装置なども視野に入れているが時間がかかるだろう。中古装置事業は、前述のように、液晶製造装置を中国に販売することが中心だ。将来的には半導体製造用露光装置の扱いも検討しているが、それには時間がかかるとみられる。

b)製造装置事業セグメントの業績動向
2016年3月期の製造装置セグメントの売上高は17,460百万円(前期比179%増)と予想されている。これは、中古製造装置を扱うプラント部門において、1件で117億円という超大型案件の売上計上が今期に予定されているためだ。ただし、この大型案件からの利益への貢献は大きくはないもようだ。物流費の見積もり違いなどで利益が大きく圧迫されたためとみられる。弊社ではこの大型案件からの利益貢献額を100百万円~200百万円程度と推測している。

中期的にも製造装置は同社の収益の屋台骨を支える存在であり続けると考えている。既存の配向膜製造装置、中古液晶製造装置のビジネスの着実な伸長に加え、タッチパネル用製造装置の売上が緩やかに拡大していくと期待される。さらに、メンテナンス・改良の売上や、消耗品売上が着実に増加すると期待されるためだ。メンテナンス需要は、同社製品のみならず同社が扱った中古製造ラインについても発生するため、過去の納入台数の蓄積が大きくものを言う。また、消耗品についても主力の印刷版において新製法によるG8(第8世代)対応版の量産体制が確立したもようで、今後の一段の発展が期待される。

短期的には2017年3月期の業績が気になるところだ。2016年3月期に計上予定の117億円の超大型プラント案件が一気になくなるためだ。この点について弊社は懸念必要はないと考えている。前述のように当該大型案件の利益貢献額は100百万円~200百万円にとどまるとみられ、これは他の製造装置の拡販によって十分に埋め合わせることが可能だろうと考えている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)

《HN》

 提供:フィスコ

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