6814 古野電気 東証1 15:00
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業績: 今期予想
電気機器
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決算発表予定日  2017/01/13

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2016年03月09日07時40分

エイアンドティー Research Memo(3):主力の臨床検査機器システムが増収をけん引


■2015年12月期決算

a)売上高の検証
エイアンドティー<6722>の増収要因は、全体のおおよそ55%を占める「臨床検査機器システム」の売上高が前期比9.9%増の5,530百万円となったためである。24%程度を占める「臨床検査試薬」と17%程度を占める「消耗品」の売上高もこれに連動する形でそれぞれ同5.0%増の2,414百万円、同6.1%増の1,777百万円となった。一方、4%程度を占める「その他」は前期に総合提案による大型案件の受注拡大があった反動で同26.1%減の415百万円となった。総括すると、自社が提供する、すべての製品系列で増収を実現したわけであり、同社のビジネスモデルの安定性を証明する1つの証拠と考えられる。なお、冒頭でも触れたが、今期より今まで「その他」に計上されてきた検体検査装置のサービス、保守、修理代金とリース料は検体検査装置の売上高に計上されている。

売上高を製品系列別にさらに詳しく見ると、「臨床検査機器システム」のうち、検体検査装置が前期比13.6%の779百万円、臨床検査情報システムが同1.4%減の3,145百万円、検体検査自動化システムが同38.9%増の1,605百万円となった。

検体検査装置の売上高が増加した大きな要因は、国内外においてOEM供給が拡大した点が挙げられる。売上高の20%を占める日本電子など、既存の提携企業向けの電解質製品のOEMが増加した。また、試薬の大手メーカーである和光純薬工業(株)(代表取締役社長:小畠伸三(こばたけしんぞう)氏、本社:大阪市中央区)へは、従来の血液凝固製品に加え、免疫製品のOEMも行っており、今後は検体検査自動化システムの市場展開も検討して行く。さらに、古野電気<6814>へ新たに電解質製品のOEM供給を始める。

検体検査自動化システムは、主に国内大型案件が拡大した。また、トピックスで改めて触れるが、世界的なヘルスケアメーカーであるアボットとの連携強化も実現した。

一方、臨床検査情報システムは総合提案の強化によって前期に大幅な増収を達成した反動による減少と、利益率の低い他社製品の販売抑制による減収であり、事業としては順調と言える。

なお、これら系列ごとの売上増減要因の他に、すべての製品系列に関して、利益率の高い直販が拡大したこともポイントである。同社は、営業及びエンジニアの両方で人員増強を進めており、毎年10人前後の新卒採用を積極的に行っている。ちなみに2016年4月の新卒の入社は19人、2016年12月期の採用は20人前後を予定している。これに加え、4月に大規模な組織改編を行った(2015年9月3日レポート参照)ことも直販による売上の伸びを加速させた。

同社は前述のとおり7期連続で増収を達成しているが、その伸び率は、リーマンショックによる減収を克服した2009年12月期の前期比14.5%増を除いて、1ケタ台にとどまっている。一方で、平均で5.9%と伸び率としては高いレベルでの安定性を示している。新規の参入が極めて難しい市場で高い独自技術を有し、確固とした信頼性を得ている優位性にも関わらず、着実に事業を拡大していく同社の堅実な経営が見て取れよう。また、逆にこのような堅実経営が同社の信頼性をさらに高めているとも考えられよう。

b)利益の検証
利益の伸びが売上高の伸びを大きく越えた理由は、自社製品の販売拡大と特に検体検査自動化システムにおける大型案件の拡大という利益率の高いビジネスの売上増加に加えて、1)利益率の低い他社製品の販売抑制による売上原価率の改善、2)合理的かつ無理のないコストコントロールの実現、が挙げられる。売上原価は売上高の伸びの影響で前期比2.3%増の5,375百万円となったが、売上高に占める売上原価の比率(原価比率)は同1.9ポイント減の53.0%と低下した。

さらに、販管費は人員の増加に伴い同3.0%増の3,559百万円となったものの、売上高に占める販管費の比率(販管比率)は同1.0ポイント減の35.1%となった。販管比率を減少させることができた理由は、研究開発を含めた内製化によって外注費の圧縮を実現するという、コストコントロールがうまくいったためである。

また、同社独自のコスト削減策も実施した。無駄な支出を防止する社内ワークフローがそれである。細かな支出に関しても、その可否を決める認証ラインが明確に設定されており、さらに認証の基準が透明化されていることによって社員一人ひとりが無駄な支出をしなくなるという効果も得られている。無駄な支出の削減を着実に積み重ねることによって人件費の増加に伴う販管費の上昇を抑制していると考えられ、コストコントロール面でも“王道”を行くものとして評価できよう。

さらに、営業外損益に関しては、1,892万円の赤字と前期に比べ赤字幅が約520万円縮小した。長期借入金の短期への切り替えに伴って支払い利息が減少したことにより、営業外費用が21.1%減の2,450万円となったためである。こういった堅実な財務戦略も無駄な支出の削減策を徹底して行っている証左と言えよう。

なお、特別損失として中国の合弁会社である東軟安徳医療科技有限公司(本社:遼寧省瀋陽市)による試薬工場の建設の遅れに伴う投資損失引当金31百万円を計上した。しかし、東軟安徳に関しては、新スキームによる事業の再構築が固まっている。これに関しては、トピックスで説明する。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柄澤 邦光)

《SF》

 提供:フィスコ

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