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5262 日本ヒューム

東証P
840円
前日比
+6
+0.72%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
11.1 0.51 2.98 44.80
時価総額 247億円
比較される銘柄
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決算発表予定日

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テノックス Research Memo(2):「テノックスブランド」で定評の基礎工事のパイオニア


■会社概要

1. 会社概要
テノックス<1905>は、基礎工事に特化した建設事業及び建設資材の販売を行っている。また、子会社で土木建築コンサルティング全般等事業や海外事業も展開している。主力の建設事業では、戸建て住宅やマンション、学校、病院、商業施設、物流施設、工場、データセンターなど中低層建築構造物や、道路・鉄道の橋梁や盛土、上下水道施設、土留めなどの土木構造物を建設する際の杭工事や地盤改良工事といった基礎工事を請け負っている。杭工事と地盤改良工事の2つの工法を有する企業は極めて少なく、様々な地盤に対応する施工技術力と豊富なラインアップは同社の大きな強みと言える。基礎工事は、構築物が主に地下にあるため一般の目に届きにくいが、文字どおり日本の基礎を支える重要な工事であるため、施工への信頼が大きな前提となる。そうした業界でパイオニアとして専業を貫く同社は、長年培ってきた経験やノウハウによって、中低層建築物向けに業界で広く浸透しているテノコラム工法や、高速道路や鉄道などの土木工事に用いられるガンテツパイル工法を開発するなど国内トップクラスの施工技術力を有しており、「テノックスブランド」として定評を得ている。こうした同社の技術力は社会的に大きな財産であり、同社の信頼につながっている。


近年はM&Aや提携などを通じて事業領域を拡大
2. 沿革
同社は1970年に創業者の安田善次郎(やすだぜんじろう)氏によって設立され、旭化成工業(株)(現旭化成<3407>)の代理店としてコンクリート杭の販売及び施工を開始した。1977年に既製杭の施工法(中掘り工法)で特許を取得し、1984年には現在もなお全国各地の地盤改良工事で使われているテノコラム工法の特許を取得した。こうした施工技術力を背景に、同社は1980年代後半から1990年にかけて営業拠点網を全国に広げた。1991年に日本証券業協会に株式を店頭登録した後は業容拡大期に入り、1995年にガンテツパイル工法を開発し技術審査証明を取得したほか、ATTコラム工法、TN-X工法、ピュアパイル工法などを開発し、各種認証を次々と取得していった。また、同年には(株)山本組を子会社化して(株)テノックス技研に改称し、1997年には(株)複合技術研究所を設立した。さらに、2015年にベトナムのホーチミン市にTENOX ASIA CO., LTD.を設立し、2018年にはテノコラム工法でベトナムの技術認証を取得するなど、海外での事業展開も本格化した。

近年はM&Aや提携などを通じて事業領域を拡大しており、創立50周年の2020年に杭引抜き工事などに強みを持つ(株)広島組をM&A、同年コンクリート杭の製造・販売・施工を行う日本ヒューム<5262>、2021年に同じくコンクリート杭メーカーで二酸化炭素固定化技術を持つ日本コンクリート工業<5269>と業務資本提携をした。2022年には静岡県を基盤に基礎工事を行っている大三島物産(株)を子会社化している。このようにM&Aや連携を進める一方で、新たな技術の開発も引き続き推進している。2023年12月末時点では、国内営業拠点として北海道から九州まで6営業所、3出張所を擁し、ほかに東京機材センター・試験研究室、関連子会社5社(うちベトナム1社)を持つ。ちなみに、社名の「TENOX」は、安田善次郎氏を慕って集まった設立当初の10名の青年が雄牛のように力強くまい進することを願い、10名の「TEN」と雄牛の「OX」を結び付けて名付けられた。


施工への信頼は基礎工事の大前提
3. 基礎工事とは
基礎とは、建築構造物や土木構造物の荷重を地盤に伝え、安全に支える構造のことである。構造物の基礎は安定した地盤に直接建設するのが良いとされるが、軟らかい地盤の場合はその下方にある硬い地盤(支持層)で支えなければならず、「地盤と建物の条件に適した土台づくり=基礎工事」が必要とされる。日本は地震が多いうえ、人口の大半が河川下流の土砂が堆積した平野に集中しているため、特に基礎工事は重要視される。基礎工事は主に、支持層が浅い場合の直接基礎と支持層が深い場合の杭基礎に分けられる。そのほかにも軟弱地盤上での浮き基礎や液状化対策を兼用した基礎など、地盤の条件によって様々な工法がある。

このうち直接基礎は、支持層が1メートル以内と非常に浅い場合(または建築物が非常に軽い場合)に、基礎を直接地面に建てる工法である。直接基礎には地盤改良を併用する場合も含まれ、支持層が1~2メートルとやや浅い浅層改良と、2~10メートル程度のやや深い深層改良があり、いずれも原地盤に改良材などを混ぜ合わせながら硬い地盤に変えていく工法である。地盤改良は、基礎工事のみならず山留めや土壌汚染対策などにも採用される。

杭基礎は、支持層がおおむね10メートルより深い場合に用いられる工法である。杭工事は建築物の支え方で、杭の先端を硬い支持層に到達させて支える支持杭と、杭周面の地盤との摩擦力で支える摩擦杭に分けられる。また製造方法で、工場で製造され均一性や施工の容易さに特長のある既製杭と、工事現場で製造するため杭径の大きさなどの調整が利きやすい場所打ち杭に分けられる。場所打ち杭は、高層ビルなど重量の非常に重い構造物や既製杭での施工が難しい特殊な地盤などに用いられる。既製杭は材料によって、靱性(大地震にねばれるしなやかさ)が高い鋼管杭と、プレストレスをかけた超高強度コンクリートにより高い支持力が得られるコンクリート杭に分けられる。鋼管杭は加工しやすいことから、鋼管の先端に羽根を取り付けるなど支持力を高める工夫や、セメントと鋼管の長所を兼ね備えたハイブリッドな合成杭への利用なども可能である。

基礎工事の対象は、様々な地盤に建つ戸建て住宅から高層ビル、橋梁まで大小多岐にわたる建築・土木構造物となるため、基礎工事を行う企業も中小企業から大企業まで様々である。また、基礎工事は地中が目視できない分、「品質が良くて当たり前」という施工への信頼が重要な前提条件となる。近年は大地震や大型台風、集中豪雨といった激甚災害に対する防災意識の高まりから、基礎工事は一般の人からの注目も増している。そうした業界で、同社のように杭工事と地盤改良工事の2つの工法を有する企業は極めて少なく、同社の大きな特長となっている。また、施工品質の信頼を高めるため、施工管理システムの開発なども行っている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)

《SO》

 提供:フィスコ

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