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5262 日本ヒューム

東証P
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前日比
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PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
11.1 0.51 2.98 44.80
時価総額 247億円
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決算発表予定日

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日本ヒューム Research Memo(3):基礎事業、下水道関連事業、太陽光発電・不動産事業を展開


■日本ヒューム<5262>の事業概要

1. 事業概要
報告セグメント区分は、基礎事業(コンクリートパイルの製造・販売・杭打工事など)、下水道関連事業(ヒューム管などコンクリート製下水道関連製品の製造・販売、コンクリート製道路関連製品の製造・販売、下水道関連工事など)、太陽光発電・不動産事業(太陽光発電、不動産賃貸・管理・開発など)、その他(下水道関連工事用機材のレンタル事業)としている。

(1) 基礎事業
基礎事業は、様々な土木・建築物を支える基礎工事に使用されるコンクリートパイルやPCウェルの製造・販売・施工などを行っている。コンクリートパイルは、工場において鋼製の円筒形型枠に鉄筋かごを配置した後、ミキサーで練り混ぜたコンクリートを投入し、遠心力を利用してコンクリートを締め固めて成形する。同社は大手メーカーとして、地盤や上部構造など各種条件に対応した豊富な種類の杭を取り揃えており、工事施工の面では排出残土の少ない中堀工法などを強みとしている。

PCウェルは同社のオリジナル工法である。工場で制作した鉄筋コンクリート造の単体ブロックを施工現場で接続・一体化し、内部をハンマグラブなどにより掘削・排土しながらグランドアンカーなどを反力として圧入・沈設する工法である。PCウェルが適用できる構造物には、橋梁下部構造(基礎と橋脚)、擁壁、工場施設、建築物、人工地盤などの基礎構造をはじめ、入孔・立杭やポンプ井などの内空を利用する地中構造物などがある。外径1.6mから8.0m程度までの構造物に利用され、大深度(実績75m)の施工も可能である。同社では1968年に橋梁基礎で実用化して以来、2,500基を超える実績がある。

(2) 下水道関連事業
下水道関連事業は、ヒューム管、合成鋼管、セグメントなどのコンクリート製下水道関連製品の製造・販売を中心に、壁高欄などのコンクリート製道路関連製品の製造・販売、さらに下水道関連の管渠更生工事などを行っている。ヒューム管は工場において遠心力を利用して成形し、上・下水道、農業・工業用水、雨水管、電線・ケーブルを通すための地中管など、様々な分野で幅広く使用されている。なお、コンクリート製品の製造方法には、遠心力を利用する遠心力製法のほか、振動と圧縮の作用を利用するバイコン製法などもあるが、同社は遠心力製法を特徴・強みとしている。

(3) 太陽光発電・不動産事業、その他事業
太陽光発電・不動産事業は、子会社のヒュームズ及び環境改善計画が太陽光発電(NH東北太陽光発電所、NH岡山太陽光発電所)、不動産賃貸・管理、環境関連機器販売・コンサルティングなどを行っている。その他事業では、(株)エヌエクス及びコンフロンティアが、下水道関連工事用機材のレンタル事業、脱炭素マテリアル事業などを行っている。コンフロンティアは今後、都市インフラソリューション事業、再生可能エネルギー事業、脱炭素マテリアル事業を展開する方針である。


下水道関連事業が利益柱
2. セグメント別業績推移
過去5期(2019年3月期~2023年3月期)及び2024年3月期第2四半期のセグメント別売上高・営業利益・営業利益率の推移は以下のとおりで、利益面では下水道関連事業が柱である。なお、公共工事の売上高・利益は年度末にあたる1~3月(同社の第4四半期)に集中する傾向があり、特に2024年3月期は下水道関連事業の出荷・工事が下期に集中する見込みであることから、下水道関連事業の第2四半期の数値は参考として見ておきたい。

基礎事業は売上高・営業利益とも減少傾向で、営業利益率も低下傾向であったが、2023年3月期からやや持ち直している。下水道関連事業は売上高がおおむね横ばいで推移しているが、営業利益率が上昇傾向にある。基礎事業と下水道関連事業の営業利益率に大きな差があるが、これは、基礎事業は民間建築工事が中心であり、下水道関連事業は公共工事が中心のためである。民間中心の建築関連工事の利益率が公共工事中心の土木関連工事に比べて低いという傾向は、同社だけでなく建設関連業界全般に共通した傾向である。太陽光発電・不動産事業は大きな変動がなく、利益率の高い安定収益源である。


ヒューム管とコンクリートパイルの両方で上位シェアを有するのは
同社のみ
3. 特徴・強み
同社の強みは時代のニーズに合った製品や工法を開発する技術力である。1925年に日本で初めて遠心力を利用して下水用ヒューム管の製造を開始し、その技術を活用して事業領域をコンクリートパイルのほか、大口径分野や道路分野を含む各種プレキャストコンクリート製品※へ広げ、下水道分野では老朽化対策の管更生事業とストックマネジメント事業へ拡大した。

※工場で製造した後、建設現場で組立・据付を行うコンクリート二次製品のこと。


地震対策や社会インフラ老朽化対策では、各種コンクリート製品の機能・強度向上に努めているほか、施工の面でも下水道管路・マンホール耐震化工法や管渠更生工法などを開発するなど、新たな工法の開発を進めている。近年は、施工効率化に向けてICTを活用した施工管理「Pile-ViMSys(パイルヴィムシス)(R)」、カーボンニュートラルに向けた脱炭素型・長寿命化対応コンクリート「e-CON(R)」など、次世代に向けた新技術・新製品の開発を強化している。

事業環境に関しては、下水道関連事業ではヒューム管の需要が過去10年間で減少傾向にあるが、同社は一定規模の出荷量を確保しており、2024年3月期第2四半期の同社の市場シェア(出荷量ベース)は18.6%(1位)である。基礎事業で主に使用されるコンクリートパイルの需要は過去10年間おおむね横ばいで推移し、2024年3月期第2四半期の同社の市場シェア(同)は9.6%(3位)である。ヒューム管専業あるいはコンクリートパイル専業が多い業界にあって、ヒューム管とコンクリートパイルの両方で上位市場シェアを獲得しているのは同社のみである。このことは、同社の技術力や品質力の高さを示している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)

《SO》

 提供:フィスコ

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