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2016年06月09日16時06分

アンジェス Research Memo(3):デコイオリゴの2つの開発品は試験結果が良好であれば年内に製造販売承認申請へ


■主要パイプラインの開発状況

アンジェス MG<4563>の主要開発パイプラインは、自社開発品であるHGF遺伝子治療薬とNF-κBデコイオリゴ、他社導入開発品となるCIN治療ワクチンなどがあり、開発状況は以下のとおりとなっている。

(1) HGF遺伝子治療薬

○重症虚血肢向け
HGF遺伝子の血管新生作用の効果を活用して、重症虚血肢とリンパ浮腫向けの治験が実施されている。同社の開発パイプラインの中で最も注目されているのが、重症虚血肢向けのプロジェクトとなる。重症虚血肢の患者数は米国だけで推定50万人とみられており、このうち血管内治療や外科的バイパス手術など既存の治療法の適応とならない、またはリスクの高い患者に対して有効な治療法が開発された場合に創出される市場規模は約50億ドルと推計されているためだ。

重症虚血肢とは重症の末梢性血管疾患を指し、血管が閉塞することによって血流が止まり、下肢切断を余儀なくされることもある重篤な状態を指す。HGF遺伝子治療薬を血管が詰まっている部分周辺に注射投与することによって新たな血管を作り出し、血管新生による血流回復によって症状の改善を図る効果が期待されている。

国内では大阪大学医学部附属病院が主導となり、先進医療B制度を活用した医師主導型臨床研究を実施しており(2014年10月に1例目、2016年3月に2例目の投与開始)、6例のデータを持って条件及び期限付承認制度を活用した承認申請を早ければ2016年内に行うことを目標としている。治験デザインとしては1ヶ月ごとに2回投与し、2ヶ月の観察期間を設けており、主要評価項目として痛み、潰瘍の改善を挙げている。承認申請の時期は臨床研究の進捗の影響をうける。現在は残り4症例の実施に向けて、6ヶ所の医療施設で被験者のスクリーニングを進めている段階にある。症例数が少ないことや、今回はデータの再現性を確認するものであることから、観察期間を終えて結果が良好であれば、承認申請を行うまでの時間は通常よりも短期間で済むと考えられる。ただ、1例目から2例目の投与開始まで1年半程度かかるなど、スクリーニングの条件に合致する被験者が見つかりにくいことから、スケジュールが伸びる可能性もある。

一方、海外では第3相のグローバル臨床試験を2014年10月からスタートしている。症例数約500例を欧米、アルゼンチンの100施設以上の医療施設で実施し、まずは2019年頃に米国、その後に欧州で承認申請を行う予定となっている。治験施設の開設スピードが当初の想定よりもやや遅れ気味ではあるものの対象施設数の半分以上まで進んでおり、症例数も着実に積み上がっているもようだ。治験デザインとしては、2週間に1回の投与を4回繰り返すのを1クールとし、合計4クールを行い、観察期間は投与開始から18ヶ月となっている。また、主要評価項目は下肢の切断・死亡に至るまでの期間となっている。

販売提携先は田辺三菱製薬で、日本と米国における販売権許諾契約を締結している。また、欧州エリアについては現在、販売提携先を探索中となっている。

○原発性リンパ浮腫向け
原発性リンパ浮腫向けに関してもHGF遺伝子治療薬の投与により、「リンパ管の新生」作用が動物実験において確認されたことから、2013年10月よりPOC※の確認を目的に第1/2相の臨床試験を開始している。症例数は約20症例で、観察期間は投与開始から1年間となり、浮腫の体積変化やQOL(生活の質)等を経時的に評価する。2016年4月までに最後の症例登録が完了しており、2017年4月には臨床試験が終了する見込みだ。POCが確認されれば、次の開発ステージ(更なる臨床試験の実施やライセンス契約等)に移ることになる。リンパ浮腫の遺伝子治療薬としては世界初の臨床試験となり、開発意義の高さから費用の一部はNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の補助金が充てられている。

※POC(Proof of Concept):基礎的な発見が実際の臨床試験でも起こることを検討し、治療コンセプトの正しさを確認すること

リンパ浮腫とは、リンパ管の障害によりリンパ流が停滞することで手足等が高度に腫れる疾患のことで、日本における推定潜在患者数は原発性リンパ浮腫で約3,000人、二次性リンパ浮腫で10万人以上とみられる。二次性リンパ浮腫に関しては、子宮がんや乳がん術後の発生率が高く、最近では加齢によるリンパ浮腫も増える傾向にある。治療法は理学療法(弾性着衣、リンパマッサージ等)、薬物治療、手術などがあるが根治療法はいまだなく、HGF遺伝子治療薬がその候補として期待されている。

(2) NF-κBデコイオリゴ(核酸医薬)

NF-κBデコイオリゴ核酸は、人工核酸により遺伝子の働きを制御する「核酸医薬」の一種で、生体内で免疫・炎症反応を担う「転写因子NF-κB」に対する特異的な阻害剤となる。このNF-κBデコイオリゴ核酸による治療法は、1995年に同社の創業者である森下竜一氏により発明された。主にNF-κBの活性化による過剰な免疫・炎症反応を原因とする疾患の治療薬として、研究開発を進めている。

○アトピー性皮膚炎(軟膏剤)
対象疾患の中で最も開発が進んでいるのがアトピー性皮膚炎治療薬となる。アトピー性皮膚炎患者のうち、顔面に中等症以上の皮疹を有する患者を対象に、2015年3月より約200例のアトピー性皮膚炎患者を対象とした第3相の臨床試験を国内で開始し、2016年2月に最後の症例の観察期間が終了している。現在は治験データの収集を行っている段階で、順調に進めば2016年6月中に結果が発表される予定となっている。良好な結果が得られれば、2016年内の承認申請を予定している。現在、アトピー性皮膚炎の治療薬としてはステロイド剤などがあるが、副作用への懸念があることから、NF-κBデコイオリゴが承認されれば十分市場を開拓できる可能性がある。国内で好結果が出れば、さらに市場規模が大きい海外への展開も視野に入ってくる。

○血管再狭窄予防(薬剤塗布型バルーンカテーテル)
メディキットと共同開発を進めてきた薬剤塗布型バルーンカテーテルの臨床試験は、既に最後の登録患者の観察期間を終えており、現在は各患者のデータ回収・解析作業を行っている段階にある。2016年6月末までに結果が発表される予定となっている。結果が良好であればメディキットが2016年内に承認申請を行う予定で、2017年中の承認取得が期待される。透析シャント静脈狭窄を対象疾患としているため、国内での市場規模としては小さいが、今後は市場規模の大きい欧米市場への展開や適応疾患の拡大も視野に入れている。なお、薬剤塗布型バルーンカテーテルは従来も抗がん剤を使ったものが販売されているが副作用への懸念があり、同社開発品が承認されれば市場シェアを獲得する可能性は十分あると弊社では見ている。

共同開発した製品は、バルーンの外表面に抗炎症作用を持つNF-κBデコイオリゴDNAを塗布することで、バルーン拡張によって引き起こされる血管炎症の抑制、血管の再狭窄までの期間延長、及び外科的手術の回避といった効果が期待されている。

○椎間板性腰痛症(注射投与)
椎間板性腰痛症を含む腰痛疾患を適応症とした治療薬となり、患部に注射投与することによって、慢性腰痛に対する鎮痛効果とともに、椎間板変性に対しても進行抑制や修復を促す効果が期待できる新しいタイプの腰痛治療薬として注目されている。2013年3月に国内で日本臓器製薬(株)と独占的開発販売権許諾契約を締結したが、2014年12月に相手先の開発方針の変更により契約を解消している。このため、開発に関しては今後、米国で行っていくこととした。米国での椎間板性腰痛症の患者数が多いことや、本薬の治療に必要な手技に精通した医師が多いこと、標準的な治療方針に本薬のような椎間板変性を抑制する薬剤が適合するなど、市場を開拓していくうえでの環境面で適していると判断したためだ。

椎間板変性などを原因とする腰痛症に対する治療薬は、現在のところ消炎鎮痛剤などを用いる対処療法しかないため、NF-κBデコイオリゴの開発動向が注目される。現在は、米カリフォルニア大学にて第1/2相臨床試験の準備を進めている段階にある。

(3)子宮頸部前がん病変治療ワクチン(CIN治療ワクチン)

韓国のバイオリーダース社から導入したCIN治療ワクチンは、子宮頸がん前がん状態の組織を退縮させ、子宮頸がんへの移行、円錐切除手術を回避する効果が期待される乳酸菌L.caseiをベースとした経口剤となる。子宮頸がん予防ワクチンとの違いは、予防ワクチンが子宮頸がんの原因ウィルスであるヒトパピローマウィルス(HPV)未感染者を投与対象者としているのに対して、CIN治療ワクチンは既に子宮頸がん前がん病変であるCIN2/3ステージ(中程度~高程度異形成、上皮内がん)の患者を投与対象とした治療薬ということにある。CIN2/3ステージの全世界の推定年間罹患者数は約1,000万人とも言われており、潜在市場規模は大きい。

現在は東京大学医学部附属病院にて、医師主導型の探索的臨床研究を実施している。これまでの発表結果(2014年9月リリース)では、CIN3を対象とした試験において、投与した17症例において有害事象の発生がなく、適用量を服用した被験者の70%で前がん病変の明らかな退縮(投与開始後9週目)が確認されている。同附属病院ではさらにCIN2を対象として40症例の試験を実施中であり(厚生労働省からの補助金を活用)、結果を待って次の開発ステージへの移行を検討していく考えだ。

(4) DNAワクチンによるエボラ出血熱抗血製剤

同社はDNAワクチン技術を応用したエボラ出血熱抗血清製剤の開発を進めているが、2016年4月にワクチンと感染症の研究開発で世界でも有数の施設を持つカナダのサスカチュワン大学との提携を発表した。提携の内容は、共同で抗血清剤の特性、製造及び品質向上の検討を進めていくというもの。同社が開発を進める抗血清製剤は、エボラ出血熱ウィルスのタンパク質をコードするDNAワクチンをウマに接種し、その血清に含まれる抗体を精製して製造する治療薬となる。

日本国内ではエボラウィルスに対する抗血清の効果や品質を検討する施設がなく、開発を進めていくうえで海外の施設を利用する必要があり今回の提携に至った。エボラウィルスに関する治療薬は一部試験的に利用されている治療薬はあるものの、正式に承認されたものはまだなく、同社でも今後、同大学と共同で開発を進めていくこととなる。ただ、同社の業績面において大きなインパクトはなく、開発費に関してもほとんど掛からないようだ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《HN》

 提供:フィスコ

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