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4372 ユミルリンク

東証G
1,319円
前日比
-17
-1.27%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
12.0 2.04
時価総額 51.3億円
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ユミルリンク Research Memo(4):メッセージングソリューションで顧客のデジタルマーケティングを支援(2)


■会社概要

4. ユミルリンク<4372>の強み
(1) 大規模配信を確実、高速、かつ効率的に行う技術力
大規模メール配信市場においては一般的なメールサーバーをチューニングして高速化に対応するのが普通だが、同社は高速化に特化した設計思想と高速化実現に適した並列処理言語「Erlang(アーラン)」を採用し、ゼロから送信プログラムを独自に設計している。高速・確実な通信制御を可能にし、1時間に500万~1,000万通規模(月間配信数は60億通)の配信にも対応できる点が大きな強みだ。このレベルの大規模・高速配信に対応できる企業は同社を含めて2社のみであり、Eコマースやデジタルマーケティングの進展によって企業が所有するメールアドレスが増大するなかで同サービスに対する引き合いは強いという。

また、月間60億通に及ぶメールを分析する専門のチームを設置している点も特徴だ。データを分析し、各メールサービス・キャリアごとに最適な到達率を算出。約20年にわたって分析を行ってきたなかで蓄積したデータ分析手法と最適値によって、高い到達率を可能にしている。

長年にわたって培われた技術力と効率的配信のノウハウは他社が一朝一夕に模倣できるものではなく、競争優位になっていると弊社は考える。1,000万通規模の大規模・高速配信に対応できる企業が少ないことからも競争状況はそこまで熾烈ではなく、しっかりと利益を確保することが今後も可能であると弊社は見ている。

(2) 分散されたサービス拠点と高い稼働率
デジタルマーケティングやDXを実践する顧客、特にミッションクリティカルなシステムが要求される金融業界などの顧客にとって「継続してサービスが提供されること」が非常に重要になってくる。同社は国内3エリア、6ヶ所にデータセンターを分散させ、99.99%以上の高い稼働率を実現しているほか、災害発生時にも同一IPアドレスの使用を継続できる「ディザスターリカバリープラン」を提供している。

IPアドレスが従来のものと異なると迷惑メールと判断されてしまう可能性がある。継続的なデジタルマーケティングの実施という観点からも、有事の際も同一IPアドレスを使用できる点は顧客にとって訴求力があると弊社は見ている。

(3) 充実したサポート体制
充実したサポート体制により、業界平均を下回る解約率を実現している点も同社の魅力の1つだ。同社の顧客は大手企業が多く、中小企業と比較すると元々解約率が低い傾向にあるものの、しっかりと顧客をサポートすることにより2021年1月~2021年12月の月次平均解約率を0.38%と非常に低い数値に抑えることに成功している(同業界では1~2%でも低いと言われる)。企画・設計から販売・保守まで一気通貫で行っている同社だからこそ顧客の抱える疑問や問題に迅速に対応することができ、これにより顧客満足度の向上を実現している格好だ。また、充実したサポート体制に加えて、定期的な顧客アンケートも実施。顧客のニーズや満足度をサポート体制に適宜反映させることで継続的に顧客満足度を高く維持する仕組みを構築している。

(4) 解約率の低さ
SaaS型ビジネスモデルの魅力の1つは、定期的に決まった売上が安定して上がるストック型の売上比率が高いこと。解約率を低く抑えることによって、安定した売上を継続して上げることができる。この意味で低い解約率は、同社の魅力の1つであると弊社は考える。

(5) 売上に占めるストック比率の高さ
ここで言うストック売上とは、月額料金など定期的に計上される売上のことだ。ストック売上は同社売上の98%を占め、継続して安定した収益を上げることができる収益構造を構築している。また、従来のような売り切りモデルと違って、少ない労力で効率的に売上を上げることができる点も魅力的だ。

(6) 優良顧客層
大企業が使用するシステムはミッションクリティカルである必要があり、慎重に判断してから購買行動に移るため、中小企業と比較すると解約率はかなり低い傾向にある。解約率の低い大手企業を顧客として多く抱え、収益を安定して上げることができる顧客層を持っていることも同社の強みの1つであると弊社は考える。実際、TOPIX Core30、Large70、Mid400のうち、同社のサービスを導入している企業の割合はそれぞれ23.3%、22.9%、15.0%と大企業における採用率が高くなっている。

これらの各強みが相互に関連し合って安定した売上と高い利益率(2022年12月期第2四半期は営業利益率で22.0%、四半期純利益率で15.2%)を可能にしている。また、主要KPIとして同社が重視するMRR※1と月次解約率は好調に推移しており、同社の強みがいかんなく発揮されている結果である。MRRとは既出のとおり、月次経常収益などと訳され、毎月定期的に計上される収益のことである。ある月のMRRは、「前月のMRR+(New MRR※2+Expansion MRR※3-Downgrade MRR※4-Churn MRR※5)」という計算式で算出することができる。つまり、MRRが増加しているということは、解約した顧客の契約金額と既存の契約をダウングレードした顧客の契約金額を新規顧客と既存契約アップグレードの顧客の契約金額が上回っていることを意味している。同社のMRRは右肩上がりで成長しており、順調に事業が拡大していることが窺える。

※1 月次経常収益:毎月定期的に売り上がる収益
※2 New MRR:新規顧客から得られる経常収益
※3 Expansion MRR:既存顧客が契約をアップグレードしたことにより獲得される経常収益
※4 Downgrade MRR:Expansion MRRとは逆に、既存顧客が契約をダウングレードしたことにより、減少する経常収益
※5 Churn MRR:既存顧客が解約したことにより減少する経常収益


これらの強みに加えて、デジタルマーケティング市場自体の今後の拡大が見込まれるなかで、同社の売上は順調に拡大していくと弊社は見ている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)

《SI》

 提供:フィスコ

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