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4308 Jストリーム

東証G
381円
前日比
+4
+1.06%
PTS
379.9円
13:55 04/26
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
43.2 0.91 4.20
時価総額 107億円
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決算発表予定日

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Jストリーム Research Memo(4):動画配信のためのプラットフォームとインフラを提供


■事業概要

2. 配信事業
配信事業では、各種のインターネット動画配信用ソフトウェアを用いて、インターネット上で映像や音声などコンテンツを配信するサービスを行っている。顧客はインターネットを通じてコンテンツを配信しようとする一般企業やメディア企業、コンテンツプロバイダーで、音楽・映画・イベント映像、企業の説明会、教育映像、広告などコンテンツの種類や配信対象の端末を問わず配信が可能となっている。インターネットを通じて多数の視聴者に映像や音声を配信するためには、大量のアクセスに耐える回線やサーバーの確保と安定した運用が必要であり、一般企業にはこうした投資は難しい。このためJストリーム<4308>のサービスは、各企業にとって、そうした投資や運用にコストをかけることなく、必要なときに必要なだけ配信ができるという利便性がある。

また、同社は同時に大量の視聴に対応できるCDNを自社で保有しており、イベントなどで一度に数万人以上からのアクセスがあるような場合でも、安定してコンテンツを視聴者に届けることができる。また、コンテンツ配信を行う際の付随的なサービスとして、配信対象を限定する認証機能や、DRM(Digital Rights Management:デジタル著作権保護)、コンテンツ販売に必要な課金決済システム、海外からのアクセスを制限できる国内外判別配信といったサービスも提供することができる。

(1) 動画配信プラットフォーム
同社は、コンテンツ管理やセキュリティなどの配信設定、あらゆる端末で視聴を可能にするマルチデバイス対応、アナリティクス機能など、動画配信に必要な機能とワークフローを一元的に提供している。その中心となるのが同社の主力商品「J-Stream Equipmedia」である。「J-Stream Equipmedia」は、ライブ機能も含め、企業の動画活用に必要なあらゆる機能を装備する動画配信プラットフォームであり、国内最大規模の1,500アカウント(2018年2月時点)の導入実績を誇る。同社が自社保有・自社運営するCDNによって常に安定した動画配信を実現するだけでなく、利用者のスキルに依存しない使いやすい管理画面、他社システムと連携できる柔軟性、月5万円からというリーズナブルな価格など、一般企業でも手軽に動画を活用できる仕様になっている。さらに、アカウント営業と専任スタッフが両面からサポートする体制も取っている。同社の動画配信プラットフォームには、「J-Stream Equipmedia」のほかに、プレミアム版で高度な拡張性やカスタマイズ性、マネタイズ機能を持つ「J-Stream MediaLize」、「J-Stream Equipmedia」をベースにCRMソリューションサービスのSalesforce(セールスフォース・ドットコム<CRM>)向けに開発された「Equipmedia動画共有ライブラリfor Salesforce」などがラインナップされている。

(2) CDN
動画や音声などリッチコンテンツのファイルは、一般にWebサイトを構成するHTML※やテキストなどに比べてサイズが大きく、インターネット上で配信を行うとネットワークに大きな負荷がかかる。特にデータが1ヶ所から集中して配信された場合には、トラフィックが集中するためレスポンスの悪化や通信速度の低下、時には配信の停止といった現象が発生する。サーバーや回線を増強することで対応は可能だが、非常に大きなコストがかかり、また増強してもアクセスが少ないときには余剰な設備となってしまう。

※HTML(Hyper Text Markup Language):Webページを作成するための言語。現在、ほとんどのWebページがHTMLで作成されている。


このため、同社は専用のCDNを顧客に提供している。CDNは、アクセスの集中によるコンテンツ配信のレスポンス悪化や通信速度低下などのトラブルを防止し、Webコンテンツを快適に閲覧・利用できるようにするためのネットワークシステムである。大容量のデジタルコンテンツを配信する際、多くのアクセスを複数のサーバーに振り分け、CDNが顧客の配信データを一時的に保存(キャッシュ)し、顧客のサーバーに代わってエンドユーザーに近いサーバーからデータ配信を行うことで、最短経路で効率的なコンテンツ配信が可能となる。数万人の視聴者を想定した場合でも安定した高速の配信を実現できるので、多くの一般企業やコンテンツプロバイダーは、いつでもどこでも高品質で安定したコンテンツを、安心してエンドユーザーに配信することができる。

「J-Stream CDNext」は、柔軟な配信制御が可能な管理コンソールと顧客サポートがセットになったCDNサービスである。その特徴は、国内ISPやIDC(Internet Data Center)に配信用サーバーを分散配置した同社独自のネットワークのほか、柔軟な運営を実現する管理画面からの詳細設定、高速プログラムや高性能サーバーなど最新技術の導入、SSL※処理の高速化と幅広く利用できるSSL機能??などである。このため、「J-Stream CDNext」を導入した企業は、同社のCDNを利用することで、重くなりがちな動画やゲーム、インターネット通販、さらには一時的にピークを形成するキャンペーンなどのコンテンツを、より高速により安定してユーザーに届けることができる。

※SSL(Secure Sockets Layer):インターネット上で個人情報やクレジットカード情報などの重要なデータを暗号化して送受信する仕組み。


CDNに関連する領域では、「Imperva Incapsula」、「Kollective SD ECDN」、「Cedexis」などの海外の優れたサービスも組み合わせて販売している。「Imperva Incapsula」は、DDoS※1防御/WAF※2統合型セキュリティソフトで、アプライアンス型WAF市場のリーディングカンパニーである米Imperva(インパーバ<IMPV>)が提供する、高い検知精度と信頼性を持ったクラウド型WAFサービスである。100Gbps規模の攻撃を9時間防御し続けたという優れた実績を持つ。「Kollective SD ECDN」は、米Kollective Technologyが提供する企業向けCDNサービスで、大企業の社内情報共有など動画利用の際に外部インターネットに接続される回線を抑制する。ソフトウェアなので回線増強などの設備投資が不要となっている。「Cedexis」は、米Cedexisが提供するマルチCDNサービスであり、コンテンツの配信状況が可視化でき、契約する複数のCDNから最適なCDNを自動選択して配信することができる。

※1 DDoS攻撃(Distributed Denial of Service Attack):複数のマシンから1つのサービスに仕掛ける一斉攻撃。
※2 WAF(Web Application Firewall):Webサイト上のアプリケーションに特化したファイアウォール。


(3) ライブ配信
撮影から運用、配信まで、同社はプロフェッショナルなライブ配信サービスを提供している。配信技術の進歩を背景に、株主総会などIRイベント、業界特化型の専門的なセミナー、スポーツやコンサートなどのプロモーションを含むイベント、企業内情報共有、研修など、インターネットを利用したライブ配信の活用範囲が急速に拡大している。また、モバイル端末の普及により、視聴者がアクセス場所を気にしなくなったことも、ライブ配信の活用を後押ししている。しかし、「失敗できない生放送」であるライブ配信を成功させるには、現場での回線や機材の準備、ミスのないオペレーション、仕様の違うデバイスへの配慮、そして安定した配信ネットワークが必要である。このため、同社の豊富な実績に裏打ちされたノウハウと技術による総合力は、非常に高い優位性を持っている。

同社は、配信ネットワーク以外にも、カメラやエンコーダーなど機材、ライブ専門のディレクターやエンジニア、撮影クルー、ネットワーク技術者といったリソースを、ニーズに合わせ最適な構成にカスタマイズしてワンストップで提供している。また、企画演出やライブイベントの進行などもサポート可能である。特に現場での対応力は他社にない魅力と言えるだろう。さらに、パソコンやスマートフォン、タブレット端末など多様なデバイスに加え、街頭ビジョン(全国主要18都市28ヶ所)やYouTubeのようなメディアへのライブ配信が可能である。また、アンケートや掲示板などを利用したイベント中の視聴者コミュニケーション、視聴者の反応をリアルタイムに可視化する機能や追いかけ再生、スライド連携、セキュリティ、決済??など、視聴者にとっても便利な機能が充実している。このため、同社のライブ配信は年間1,800件以上の実績を誇る。最近ではVR(仮想現実)/AR(拡張現実)対応を進めており、360度ライブ配信も実施している。ライブ配信のほかに、PCとネットワークだけで簡単・手軽に開催できる、双方向ライブ(Web会議)のサービスも行っている。

(4) 広告関連サービス
広告関連サービスでは、広告の企画制作をはじめ、コンテンツマーケティング支援、動画アドネットワーク「MovieAD」を提供している。広告の企画制作では、動画広告を中心に効果的な広告をトータルプロデュースしている。動画とWeb記事を組み合わせたネイティブアド、さらにTVCMやチラシ・ポスター、リアルイベントなど、幅広いメディアや表現形態に対応することができる。コンテンツマーケティング支援では、記事と動画をセットにした広告企画制作やメディア展開を通じて、Webだけでなく動画メールやデジタルサイネージ、シネアドなどリアルなメディアへの展開もサポートしている。

「MovieAD」は同社が提供する動画アドネットワークである。インストリーム型※動画アドネットワーク、コンテンツシンジケーション、動画メールアドネットワーク、タイアップ動画記事広告の4つのサービスから構成されており、キャンペーンの目的に応じて選択する。国内では広告挿入可能な動画コンテンツを保有・配信するメディアが一部に限られる上、新たに動画コンテンツの制作や調達をするのはハードルが高い。動画広告枠の不足も課題になっている。このように、メディア事業者はコンテンツ(広告在庫)不足に課題があり、広告主は一般に最新IT技術の取り込みに難がある。こうしたミスマッチを解消するのが、「MovieAD」コンテンツシンジケーションで、広告挿入可能な動画コンテンツをコンテンツホルダーから調達し、「MovieAD」を経由してパートナーメディアに配信(シンジケーション)するサービスである。必要に応じて、動画コンテンツを配信するWebサイトを構築するためのページテンプレートも提供している。

※インストリーム型広告:動画サイトで配信される従来のバナー広告より大画面で音声がデフォルトでONの広告。


(5) コンテンツ保護・DRM
コンテンツ配信の付帯機能としてのサービスで、アクセス制限や不正コピー対策などによって重要なコンテンツを守りながら、適切にユーザーに配信することができる。「SecureCast Pro PT Edition」は、Adobe Primetimeベースの高度なDRMが可能で、主要なデバイスやブラウザに対応しており、有料コンテンツや社外秘など重要コンテンツに最適である。「SecureCast Plus」は、スマートフォン向け音楽・動画コンテンツのDRMサービスで、スマートフォン向け配信に必要なアプリケーションの開発や手間の掛かる端末検証を顧客側で行うことなく、音楽ストリーミング配信サービスを開始することができる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)

《MH》

 提供:フィスコ

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