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3915 テラスカイ

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テラスカイ Research Memo(9):2025年2月期の営業利益も2倍増ペースが続く見通し


■今後の見通し

2. 中期経営計画
テラスカイ<3915>は2022年4月に発表した3ヶ年の中期経営計画において、クラウド・インテグレーターのリーディング企業として持続的な成長を実現していくための成長戦略や業績目標を発表し、長期ビジョンである「Fly Ahead(一歩先ゆく確かな技術で、もっとも信頼されるパートナーに)」を実現することで、2030年には売上規模で700億円超の企業に成長する目標を掲げた。

重点施策として、現状の経営課題と認識している3点(採用力の強化と製品の認知度向上、コア周辺事業への進出、全体の売上に対する製品事業の売上比率向上)に取り組み、業績の飛躍的な成長と企業価値の向上を目指す方針だ。業績計画については、キットアライブが連結対象子会社から外れた影響等も考慮して、今回若干の修正を行った。最終年度となる2025年2月期の業績目標は、売上高で25,422百万円と旧計画から30億円程度引き下げたものの、営業利益は2,415百万円、経常利益は2,504百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は1,557百万円とそれぞれ旧計画を若干上方修正した。今後2年間の年平均成長率では売上高で28.4%、営業利益で117.2%となり、利益ベースでも高成長ステージに移行することになる。

2025年2月期もオーガニックでの高成長を見込んでおり、子会社ではテラスカイ・テクノロジーズの寄与度が大きくなると見ている。成長の源泉となる従業員数(関連会社含む)は前期末の992人から2025年2月期末は1,837人と約1.9倍増となり、このうちテラスカイ・テクノロジーズは200人弱から600人強と3倍に拡大する。国内のIT人材は慢性的に不足していると言われており、同社において未経験者の採用・育成を進めながら、こうしたニーズに応えていくことにしている。人員計画については従来からチャレンジングな目標を立てる傾向にあり、2023年2月期も当初の計画から200人程度下回る結果となったが、業績面での影響は無かった。2020年2月期以降の期初業績計画と実績の推移を見ると、売上高については実質2022年2月期と2023年2月期が未達となった以外は会社計画を上回っており※、営業利益ベースではすべての期において超過達成している。こうした実績も踏まえて考えると、仮に人員の増員ペースが計画を多少下回ったとしても、2025年2月期の業績目標は十分に達成できる水準だと弊社では見ている。

※2023年2月期の売上高は、キットアライブが第3四半期に連結対象から外れたことで2億円の減額要因となったほか、収益認識会計基準等の適用による影響で約2.5億円の減額要因となった。


重点施策の取り組み状況は以下のとおりとなっている。

(1) 採用力の強化と製品の認知度向上
同社は企業ブランドや製品の認知度の低いことが、採用面や製品の拡販における課題の1つとして捉え、2023年1月よりブランド力・認知度の向上を目的にテレビCMを初めて実施した。現在、26局ネットで放送中の人気アニメ番組で6月までCMを流す予定となっている。CMの効果はまだ正確に測定できていないものの、若い世代での認知度は確実に広まっているものと考えられ、中途採用等の応募者数増加が期待される。今後もテレビCMを実施するかどうかは、今回のCMの効果を分析してからとなるが、2024年2月期については追加実施する計画はない。

(2) コア周辺事業への進出
同社グループでは、SalesforceやAWSの構築・導入支援といったクラウドサービスのなかでもコア部分の事業をベースに成長を続けてきたが、ここ数年でコア周辺ビジネスの市場も立ち上がっており、ターゲットとする市場の裾野も広がってきている。同社ではこうした周辺ビジネスについても子会社で展開していくことによって、グループ全体の企業価値向上を目指す戦略となっている。

例えば、技術人材派遣市場ではテラスカイ・テクノロジーズ、データ分析市場ではリベルスカイやQuemix、Marketing Automation市場ではDiceWorks、AI市場ではエノキ、EC構築支援市場ではCuon、MSP市場ではスカイ365がそれぞれ事業展開を進めている。それぞれの事業規模はまだ小さいものの、コア事業で豊富な開発ノウハウや顧客基盤を持つ同社やBeeXと連携することで、競争優位性を打ち出すことが可能であり競合他社に対する優位点になると弊社では考えている。特に、ここ数年はマルチ・クラウドプラットフォームを利用する企業が増えており、AWSやMicrosoft Azure、GCPなどいずれのプラットフォームにも対応可能で、顧客ニーズに応じてグループ会社にプロジェクトを振り分けられることが強みになると考えられる。また、海外市場においても今後の成長が期待されるタイに進出しており、東南アジア市場でのSalesforceの成長を取り込んでいく計画だ。

なお、子会社のうちまだ投資段階にあるのはテラスカイ・テクノロジーズ、Terrasky (Thailand)、Quemix、DiceWorksの4社で、このうちテラスカイ・テクノロジーズとDiceWorksは2024年2月期から黒字化し、その他2社については2025年2月期以降の黒字化を目標としている。テラスカイ・テクノロジーズについては、2025年2月期で600人強まで人員の拡大ができれば売上高で数十億円、営業利益で数億円の収益水準まで拡大していくものと予想され、中期経営計画目標達成の鍵を握ることになる。

(3) 全体の売上に対する製品事業の売上比率向上
製品事業については、グループウェア「mitoco」の育成に注力していく方針で、導入社数を現在の数百社程度から10倍以上に拡大していくことを目標に掲げている。導入社数を拡大していくための戦略としては、イベント出展などプロモーションを強化して認知度向上を図っていく。Salesforce導入企業に対する拡販余地は依然大きいと考えており、競合品からのリプレースも含めてシェア拡大を目指す。「mitoco」の開発費のピークは過ぎており今後は償却費も緩やかに減少していく見込みで、今後は売上成長とともに収益性も向上していくものと期待される。また、子会社のエノキでは自社開発のAIエンジン「ENOKI」を活用したパーソナルアシスタント機能の性能向上に取り組んでいるほか、最近注目度が高まっているChatGPTなどを活用したソリューション展開についての企画・検討も進めている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《SI》

 提供:フィスコ

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