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3341 日本調剤

東証P
1,482円
前日比
-20
-1.33%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
10.3 0.75 1.69 21.25
時価総額 460億円
比較される銘柄
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綿半HD
決算発表予定日

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日本調剤 Research Memo(4):国が薬局に求める業務を機敏に対応できる店舗運営


■日本調剤の特徴と強み

(1)調剤薬局事業

調剤薬局ビジネスを理解するうえでの最大のポイントは、調剤薬局が基本的には健康保険制度に組み込まれた保険薬局であり、報酬(収入)が健康保険制度で定められた(収入算定の基礎となる)点数によって決まってくるということだ。人件費やシステム費などコスト削減においては自主努力の余地はそれなりにあるが、売上高を増やす方策は大きく分ければ2つだ。1つは店舗当たりの顧客数(個々の顧客が持参する処方箋の処理枚数で表現されることが多い)の増加であり、この観点から出店戦略として、門前型、医療モール型、面対応型、などへと展開が進む。もう1つが処方箋1枚当たりの収入増加だ。健康保険制度によって、処方箋1枚を処理するうえでの収入項目が細分化され、それぞれの作業ごとに点数が定められているが、様々な加算点制度がある。調剤薬局事業において、現状、加算点獲得のための主たるポイントになっているのが、ジェネリック医薬品の普及と居宅療養管理指導(以下、「在宅医療対応」)の取組みだ。

a)店舗戦略
日本調剤<3341>は調剤薬局を全国47都道府県で523店舗(2015年9月末現在。他に物販専門店舗を1店舗)を展開している。同社の店舗戦略の第1の特徴は、M&Aによる手法を採らず、オーガニック出店によって店舗網を拡大させてきたことだ。この理由の1つには、同社が自社店舗の効率性・収益性が他社に比べて高いと自負しており、効率性の低い他社店舗を買収することについて消極的であったことがある。また、薬局については立地が重要な意味を持っており、恵まれた立地の案件になかなか出会えないということも理由の1つと考えられる。

店舗展開においては、門前型(大規模病院近隣の出店)、医療モール型(クリニックや薬局を集積したビル内の出店)、面対応型(特定の医療機関の患者ではなく、通行量の多い場所での集客にフォーカスした出店)などを組み合わせている。こうした戦略は同社のみならず同業他社も同様に行っている。同社の場合、近年は面対応型店舗の成長率が他タイプの店舗に比べて際立って高い状況にある。同社は出店型別構成比を開示していないが、今後は、面対応型店舗を増やしていくものと弊社では推測している。

b)ジェネリック医薬品使用率の向上
政府は社会保障費の中の医療費削減に向けて、処方薬に占めるジェネリック医薬品の割合(分母はジェネリック医薬品が存在する先発薬品とジェネリック医薬品の合計)を2020年3月末までの間のなるべく早い時期に80%にするという目標を掲げている。同社はこの基準において、2015年4月の段階で74.4%を達成しており、さらに2016年3月の段階では85%を目標としている。

同社は、2015年3月末時点では全国で510店舗を展開しているが、そのうち83.7%の店舗がジェネリック医薬品調剤加算2(22点)を、10.0%が同加算1(18点)を獲得しており、加算なしの店舗は6.1%にとどまっている。加算点獲得店舗の割合は、同業他社に比べて最も高くなっている。

同社がジェネリック医薬品の使用促進と同様に注力するのが在宅医療対応への取組みだ。各店舗において、24時間調剤体制と在宅患者への適切な薬学的管理や服薬指導の体制が整備されると、基準調剤加算が当該店舗の調剤基本料に対して成されるほか、在宅医療対応ごとに介護保険報酬として「居宅療養管理指導料」を受け取ることができる。回数に制限があるが、特別養護老人ホームや有料老人ホームなどの居住者も対象となるため、対象市場は大きい。同社は全店舗の95.1%(2015年8月時点)で在宅医療対応を行っており、その効果もあって、基準調剤加算2と算定された店舗は全体の21.4%にまで高まっている状況だ。

現状ではジェネリック医薬品と在宅医療対応の2つに焦点が当たっているが、重要なことは、いかにして加算点を獲得していくかということだ。加算点の仕組みは「国が薬局に求める業務を行ったこと」に対するインセンティブである。また、制度や方針が変われば加算基準も一夜にして変わることになるが、そうした制度変更にどこまで機敏に対応できるかという対応力が問題だ。この点では強いリーダーシップを有する経営者に率いられた同社は優位な位置にあると弊社では考えている。調剤薬局1店舗当たり売上高で同社が309百万円と最も高くなっているのは、大学病院などの高機能病院を主応需対象とする店舗展開の要因が大きいと思われるが、効率よく加算点を稼ぐ店舗運営が見逃せない。ここに同社の最大の強みあると弊社では考えている。

c)調剤薬局事業の業績動向
同社の調剤薬局事業の業績は、売上高は右肩上がりが続いているものの、セグメント利益は必ずしも右肩上がりではない。2年に1度の薬価改定の影響や出店に伴う費用増加などの影響が出るためだ。基本的には新規出店店舗は2年目からフルに寄与してくるため、店舗数の増加が続く限りは長期トレンドとしては増収増益基調をたどると弊社では考えているが、単年ごとの予想においては注意が必要だ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)

《HN》

 提供:フィスコ

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