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2928 RIZAPグループ

札証A
408円
前日比
+1
+0.25%
PTS対象外銘柄
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
19.25 520
時価総額 2,269億円
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RIZAP-G Research Memo(5):コンビニジム「chocoZAP」が急成長(2)


■RIZAPグループ<2928>のchocoZAPの事業モデル

4. 出店戦略とプロモーション
chocoZAPは「コンビニジム」というコンセプトが示すように、コンビニエンスストアと類似した出店展開を行っている。周辺に居住する小商圏の顧客を対象とし、立地としては主に駅前の利便性の高い1階路面に出店する。コンビニ同様にドミナント展開を行っており、同一沿線への集中出店により認知度向上や広告宣伝コストの低減を図る。新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の影響により、基準とする30~40坪程度の候補物件は豊富に存在する点も時代の追い風となっている。出店期間を短縮し、出店関連コストを低減するため、店舗の内外装材料を直接調達し、マシン設備は一括調達するなど、徹底的に標準化している。毎月100店舗規模を少数のスタッフで開店できる体制が整っている。

現在chocoZAP全店舗は、直営で展開している。直営のメリットとしては、店舗管理の機動性が高く、軌道に乗った後の収益性が高いという点が挙げられる。もちろんデメリットもあり、一般的には初期投資が重く、撤退コストも大きくなりがちである。同社ではデメリット面を様々な工夫により最小化しつつ、直営のメリットを享受する出店戦略をとった。途中解約時の制約(違約金など)を排除し、2ヶ月以内に進めるアジャイル出店(柔軟で固定費をかけない出店)を中心としていることなどがその一例である。本格展開後約1年2ヶ月で1,000店舗を超える出店を可能にしたのも、このように出店戦略を工夫している背景がある。今後は、都市部だけでなく、自動車で通いやすい地方のロードサイドにも積極的に出店していく予定である。

また、同社はボディメイクのRIZAPの鮮烈な印象を残すCMで有名だが、chocoZAPの展開に関しては、費用対効果を考慮したコストを抑えた広告宣伝手法を採用している。チラシ、バナー広告、LP(ランディングページ)、交通広告、TVCMなどを活用しているが、いずれもA/Bテスト(複数のデザインや内容のコンテンツを試し効果を検証する手法)を活用して費用対効果の高いやり方を絶えず模索してきた。店舗ごとの特徴について、キャッチコピーを変えたチラシを約500種類作って駅前で配り、バナー広告についてもデザインを4,000種類以上用意して各所に掲出し、効果を検証した。契約に向けて最後の一押しをする場であるLPも、「24時間ジム使い放題プラン月額2,980円」と料金を強調したものから、「てぶらでちょいトレ!」と利用シーンを紹介したものなど、様々なパターンを200種類以上ラインナップした。消費者の認知から入会までの流れを、データを活用しながら最適な手法を見出せることが、消費者の心をつかむ原動力となっている。

5. 強み
chocoZAP事業における同社の特筆すべき強みとして、1)高速改善ループ、2)ヘルステック活用、3)スケール効果・ブランド効果、の3点を挙げることができる。

1) 高速改善ループ
chocoZAPのプログラムにおいて、ボディメイクのRIZAPのノウハウが随所に生かされている。特に専用アプリでの解説動画やカウンセリングにおいて絶大な存在感を発揮するのが、筋トレのことを知り尽くしたRIZAPトレーナーである。ユーザーからの信頼も厚く、トレーニングの心構え、マシンの説明や継続するための声掛けなど、ユーザーを休眠会員にさせないために活躍をしている。ちなみに、一般的にスポーツクラブ業界では休眠顧客も顧客のうちという風潮があるが、同社では休眠をよしとせず、利用促進を積極的に行う。新たに開発したノウハウも数多い。「1日5分の運動」の効果については、エビデンス(体重2.4kg減、体脂肪率1.4%減など)を新たに積み上げた。店舗やマシン、必須サービスや価格に関しても、実験店として別ブランドを掲げたリアル店舗(47店)で約8ヶ月間にわたり徹底検証しながら内容を固めていった。新たな発見の例として、ボディメイクのRIZAPでは無酸素運動を最重要と説いてきたが、筋トレ初心者においては、ランニングやウォーキングなど有酸素運動がより好まれることが判明し、実際に現在のchocoZAP店内にはランニングマシンやエアロバイクが数多く配置されている。前述の広告宣伝におけるA/Bテストにも当てはまるが、複数の打ち手パターンを顧客に提示し、その反応の違いをスピード感を持って事業に生かす、いわば“高速改善ループ”が同社の最大の強みである。

2) ヘルステック活用
ヘルステック活用については、当サービスの事業コンセプトの根幹であると言えるだろう。chocoZAPアプリは、入退会、日々の入退館、混雑情報入手、ライフログ・顧客特性からAIが最適な運動を提案、おすすめ動画の配信、体組成計・ヘルスウォッチ自動連携、継続を支えるゲーム性(くじなど)、顧客同士のコミュニティ機能などで不可欠な存在となっている。また、各店舗に10台以上設置されたカメラ映像をAIが解析し「不審な行為」や「転倒」を検知した場合には、適切な対処を遅延なく行うことができる体制が整っており、無人店舗のセキュリティ確保に大きく貢献している。同社は2022年6月にDX専門子会社であるRIZAPテクノロジーズ(株)を新設した。Web・UIUXデザイナー、デジタルマーケター、データアナリスト、エンジニアなどのDX人財を積極的に採用し、育成を行っている。筋トレやトレーニングジムの業界にはない発想と専門性でさっそくchocoZAP事業の集客や満足度向上に貢献しているという。

3) スケール効果・ブランド効果
スケール効果・ブランド効果は顧客満足度やコストなど様々な面に好影響を与える。chocoZAP会員は全店舗を利用できるため、店舗数が多くなればすき間時間を有効利用する際に利便性が上がる。またTVCMのコストやマシン等の設備の仕入れなどにおいても、店舗数が多くなれば効率的に投資ができる。ブランドに関しては、RIZAPのブランドを生かして事業を軌道に乗せ、早期に「ちょいトレ市場」においてデファクトスタンダードを確立したことで、参入障壁を確立したと言えるだろう。今後は、事業モデルを模倣するプレーヤーも表れると予想されるが、様々な観点から集客力や収益性の点でchocoZAPに追い付くことは至難の業となる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)

《SO》

 提供:フィスコ

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