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2874 ヨコレイ

東証P
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PER PBR 利回り 信用倍率
20.1 0.71 2.31 45.91
時価総額 617億円
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ヨコレイ Research Memo(4):2023年9月期は増収減益も、「創る力」の各種施策が確実に進捗を見せる


■業績動向

1. 2023年9月期の連結業績
横浜冷凍<2874>の2023年9月期の連結業績は、売上高が前期比16.1%増の133,862百万円、営業利益が同11.0%減の3,785百万円、経常利益が同15.9%減の4,203百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同14.6%減の2,831百万円となった。

堅調な需要を受け、冷蔵倉庫事業と食品販売事業の売上高がそろって拡大した。一方で利益面に関しては、冷蔵倉庫事業が過去最高のセグメント利益を達成したものの、食品販売事業が前期比で減益となったことに加えて、販売経費や人件費の増加、本社移転費用等も連結ベースの利益を押し下げる要因となった。ただ、食品販売事業においては新・中期経営計画(第I期)で重点施策と定める収益性向上のための構造改革が確実に進捗し、適正な在庫管理の推進を徹底した。外部環境においては戦争や禁輸など、業績下押し要因があったものの、構造改革が進展するなかで業績への影響を最小限に抑えた格好だ。冷蔵倉庫事業においても各種施策が着実に進捗を見せたことが増収増益に寄与した。

a) 冷蔵倉庫事業
冷蔵倉庫事業の売上高は前期比5.9%増の31,827百万円、セグメント利益は同3.8%増の6,689百万円と増収増益となり、過去最高の売上高・セグメント利益を達成した。堅調な需要に支えられ、前期に引き続き在庫水準が高位安定して推移するなかで、保管料収入(荷物の種別、量、保管期間に応じて顧客から徴収する料金)が同9.1%増の16,209百万円と大きく伸長したことが各セグメントの業績拡大に寄与した。特に中期経営計画の重点施策で、環境配慮型経営を支援する「複合型マルチ物流サービス」において冷凍食品の取扱量が増加したことも保管料収入の拡大に寄与した。一方、荷役料(荷物の入出荷作業に伴い顧客から徴収する手数料)は、同0.1%増の6,513百万円と微増だった。利益面に関しては、電気料金高騰などのマイナス要因があったものの、増収に加えて既存設備の入れ替え等による省エネ化や料金改定交渉を実施したことが増益に寄与した。

また、新・中期経営計画第I期「創る力」で掲げた4つの重点施策も着実に進捗が見られた。環境配慮型物流センターの新設に関しては、期中に新たに箱崎物流センター(福岡)、ベンルック物流センター(ベトナム)、十勝第四物流センター(北海道)、岡山物流センター(岡山)が着工している。ヨコレイ品質の推進と深化では、オートメーション化に向けた投資を積極化するなか、物流センターへの作業ロボット導入などを実施したほか、DX化の推進及びペーパーレス化による生産性の向上にも取り組んだ。国内事業の新たな展開に関しては、複合型マルチ物流センターの提供を加速させたほか、通関事業の拡大にも注力した。海外事業の拡張に関しても、アセアン地域でのさらなる事業拡大を目的としてベトナムに子会社を設立するなど、大きな進展が見られた。これら各種施策への取り組みも、同セグメントの業績拡大に寄与した。

同事業は安定した業績を上げてきており、同社利益創出の柱となっている。今後も冷蔵倉庫に対するニーズは堅調に推移することが予想され、安定した業績を上げていくものと弊社は見ている。

b) 食品販売事業
食品販売事業の売上高は同19.8%増の101,976百万円、セグメント利益は同12.5%減の1,158百万円となった。売上高に関しては水産品、畜産品、農産品・その他がそろって前期の実績を上回り増収となったものの、利益面に関しては、上半期にエビやチキンの価格が需給バランスの崩れから下落したことやALPS処理水の放出がマイナス要因となった。結果、第3四半期で利益を挽回したものの、通期では減益となった。水産品は、新・中期経営計画I期で注力している事業品のノルウェーサーモン、前浜の餌料用イワシやサバの取り扱いが好調だったほか、豊漁によりビンチョウマグロ等の取り扱いも増加し、売上高は前期比22.8%増の83,634百万円に拡大したものの、北海道商材の値崩れなどの影響を受けて減益となった。畜産品はインバウンド向けの外食需要が回復してくるなかで、ポークの取り扱いが伸長したほか、量販店向けチキンの販売が好調に推移し、売上高は同5.7%増の16,101百万円に拡大した。一方、需給バランスの崩れからチキンなどの利益率が低下したことを受けて減益となった。農産品・その他に関しては、異常気象という外部要因があったものの、顧客のニーズを丁寧に汲み取りながらイモ類、キャベツをはじめとして販路を拡大させた。これらにより売上高は同23.4%増の2,239百万円に拡大したほか、利益も前期の実績を上回って着地した。

新・中期経営計画第I期「創る力」で掲げた5つの改革・成長パッケージも着実に進捗が見られた。独自商品の開発に関しては、量販店向けにレンジアップ商品の開発を推進した。販売チャネルの開発に関しては、量販店の新規開拓が堅調に進んだほか、クローズドマーケットに向けEC事業も開始している。事業品の販売拡大に関しては、先述のとおりノルウェーサーモンなどが好調に推移した。海外における販路拡大に関しても海外売上高比率が着実に高まった。また、適切な在庫管理を徹底するなど、収益性向上のための構造改革にも進展が見られた。特に、収益性向上のための構造改革を遂行したことにより、外部環境の変化が業績に与える影響を最小限に留めた。

同事業は同社全体の売上の中心となっている事業であり、今後は収益性が高まってくるものと弊社は見ている。顧客のニーズに沿った適正仕入れや正確な在庫管理など、量から質への変革が着実に進んでいることなどが理由だ。同事業の収益性が高まることによって、連結ベースの利益率も高まっていくものと弊社は見ている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)

《SI》

 提供:フィスコ

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