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2471 エスプール

東証P
299円
前日比
-3
-0.99%
PTS
301円
20:21 05/02
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
12.9 2.96 3.34 31.95
時価総額 236億円
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エスプール Research Memo(10):3分野を重点事業領域としてさらなる成長を目指す


■今後の見通し

3. 今後の成長戦略
エスプール<2471>は、2021年11月期からスタートした5ヶ年の中期経営計画※を今回取り下げ、2024年11月期を次の10年を見据えた準備期間と位置付け、2025年11月期からスタートする新中期経営計画の策定に着手することを発表した。2022年11月期以降、人材ソリューション事業で減収減益が続くなど当初計画に対して収益状況に乖離が生じてきた事業があることを踏まえ、新たな成長戦略を示す必要があると判断した。新たな成長戦略としては、「障がい者雇用支援」「サステナビリティ支援」「地方創生支援」といったSDGsに関連する3分野を重点事業領域に設定し、各分野において既存顧客マーケットの有効活用、事業領域の拡大、M&A・新規事業開発による成長加速に取り組みながら成長を図る。新規事業開発については社内カンパニー制を導入し、若手人材を中心に積極推進する。具体的な経営数値目標については、2024年11月決算発表と合わせて開示する予定である。同社はこれまで10年周期で事業構造を変革し、成長を実現してきたが、今回も事業ポートフォリオの再編により3つの中核事業に経営リソースを再配分することで、さらなる成長を目指す。

※業績目標として2025年11月期に売上高410億円、営業利益50億円を掲げていた。


(1) 障がい者雇用支援
障がい者雇用支援分野においては、現在、約600社の企業に貸農園サービスを提供しており、潜在市場としては約5,000社あると見ている。約5,000社の基準は、障がい者雇用数が3名以上必要な東名阪エリアに本社を置く企業となる※。企業規模としては、従業員数で120人以上、売上高50億円以上、営業利益2億円以上の企業を対象としている。2023年の民間企業の障がい者雇用率は2.33%と年々上昇傾向にあるものの、法定雇用率が現行の2.3%に対して2024年4月から2.5%、2026年7月から2.7%と段階的に引き上げられることもあって、今後も障がい者雇用支援の需要は拡大するものと弊社では見ている。実際、2023年時点の障がい者雇用者数は642千人だが、法定雇用率2.7%に達するためには、現状から1.2倍に雇用者数を増やす必要があり、今後も同サービスは新規農園の開設を進めながら着実に成長するものと予想される。

※貸農園サービスは6区画(障がい者3名+管理者1名)を1パッケージとして販売しており、農園については東名阪エリアで開設しているため。


また、新規サービスの開発・提供による成長も目指す。具体的には、農園就労以外の働き方の開発や障がい者雇用に関連したDXサービス、能力開発支援サービスなどを想定しており、早ければ2024年11月期中にも新サービスをリリースすべく準備を進めている状況にある。

(2) サステナビリティ支援
サステナビリティ支援分野では、企業のSDGsへの取り組み強化が進むなかで、TCFDやCDP回答支援だけでなく、TNFD開示支援やLCA算定支援など様々なサービスメニューを顧客ニーズに合わせて提供することで高成長を目指す。既存顧客数は約400社だが、当面はプライム上場企業約1,700社をターゲットに顧客開拓を推進する。

新規サービスとしては、グリーンサプライチェーンマネジメントやサーキュラーエコノミー、サステナビリティ情報管理などSDGsに関連したメニューを拡充することで、今後も積極的な人材投資を行いながら旺盛な需要に対応する。

(3) 地方創生支援
地方創生支援分野に関しては、広域行政BPOサービスを核にして現在、260自治体が顧客となっているが、ターゲットとなる自治体数は約1,500自治体(人口10万人以下の自治体数)あり、開拓余地は大きい。特に、小規模自治体は財務面、人材面から住民サービスに関するアウトソーシングニーズが大きいと見ており、窓口サービスのオンライン化ニーズを取り込む考えだ。また、脱炭素支援サービスについても受注実績が増え始めており、今後の成長が期待される。そのほか、自治体向けでは防災や自治体BCPに関するコンサルティングサービス、子育て支援・高齢者の見守りサービスなど様々なサービス展開の可能性が考えられる。

一方、企業向けサービスとして事業承継問題や経営課題などを解決・支援すべく、プロフェッショナル人材活用サービス「タクウィル」※の展開を進める。中小企業の顧客基盤を持つ金融機関と連携することで、効率的に需要を取り込む戦略だ。2023年12月には(株)足利銀行と業務提携を発表しており、同銀行の取引先である中小自動車部品メーカーに対してプロフェッショナル人材を派遣・紹介するほか、場合によっては資本出資を行う可能性もある。自動車部品業界では、完成車メーカーのEVシフトにより、部品点数の減少が想定されるなかで今後の経営について多くの課題を抱えている状況下にある。こうした課題の解決や技術支援等を行うため、プロフェッショナル人材あるいは後継者候補を「タクウィル」を通じて提供することで、中小企業を支援し地方経済の活性化に貢献していく。

※豊富な経験や高いスキルを持つ1.4万人のプロフェッショナル人材をネットワークしており、顧客ニーズに合わせてこれら人材を派遣・紹介するサービス。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《SO》

 提供:フィスコ

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