貸借
証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
株価20分ディレイ → リアルタイムに変更

2429 ワールドHD

東証P
2,334円
前日比
-4
-0.17%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
8.7 1.02 3.47 111
時価総額 413億円
比較される銘柄
WDB, 
WDBココ, 
NISSO
決算発表予定日

銘柄ニュース

戻る
 

ワールドHD Research Memo(4):2018年12月期はファクトリー事業とテクノ事業が好調(1)


■ワールドホールディングス<2429>の業績動向

2. 事業部門別動向
(1) 人材・教育ビジネス
人材教育ビジネスの売上高は前期比13.6%増の75,038百万円、セグメント利益は同5.5%増の4,964百万円となった。売上高については人材不足があらゆる業界で深刻化するなかで、ブランド力(集まる力)を高めるための人材育成投資を積極的に行い、個のスキルアップに取り組むと同時に多様な顧客ニーズに対応できる組織体制の整備(チーム型派遣等)に取り組むことで、大型案件などの受注獲得が進み2ケタ増収につながった。期中平均の在籍スタッフ数は同7.8%増の2.0万人となっている。

セグメント利益率が前期比で0.7ポイント低下の6.6%となったが、これは人材育成に関わる先行投資を積極的に実行したことが主因となっている。利益の増減要因で見ると、稼働人員増に伴う利益増で855百万円の増益、単価上昇で105百万円の増益となったのに対して、各種投資費用の増加で700百万円の減益要因となった。また、会社計画比でセグメント利益は6.8%下回ったが、主にR&D事業におけるDOTワールド(株)で大型案件を失注し収益が悪化したこと、また、セールス&マーケティング事業において実施してきた事業構造改革がやや長引いたことが要因となっている。今後も人材育成を継続し、高単価・高領域・高スキル人材の階層構築を進め、変動領域以外の人材プラットフォーム化を進める。セグメント別の業績動向は以下のとおり。

a) ファクトリー事業
ファクトリー事業の売上高は前期比18.9%増の49,524百万円、セグメント利益は同22.5%増の3,169百万円と2ケタ増収増益となった。分野別の売上動向について見ると、物流分野が同33.3%増と大きく伸張し、売上構成比で35.8%を占めるまでに成長した。マネジメント人材を中心とした階層教育に取り組んだことで、多拠点における安定した稼働を可能としたほか、年末繁忙期の需要も確実に対応できたことが大幅増収につながった。また、顧客の新拠点立ち上げに向けた投資も先行的に実施するなど、2019年12月期以降の売上拡大に向けた準備も行った。

また、電気・電子分野についても11月以降に生産調整の影響を受けたものの想定の範囲内にとどまり、従前より強化していた請負事業所の拡大や5G等の成長産業での顧客開拓により、売上高は前期比24.7%増と好調に推移した。同様に、機械分野も大手FAメーカー向けを中心に同20.2%増と2ケタ増収となった。

採用面では、新卒採用者数を前年の135名から239名へ大幅増員したほか、人材採用サイト「JOB PAPER」の登録者数も6.2万人(2017年末5.0万人)まで拡大し、採用プロセスの見直しを継続して行うことで、配属人数の拡大につなげた。人材育成面では、適材適所によるOJTや独自のキャリア形成支援によって社員のスキルアップだけでなく定着率も改善するなど、取り組みの成果が顕在化する格好となっている。2018年10月?12月の平均在籍数(海外及び行政受託、他社受入社員含む)は前年同期比11.2%増の16,782人と過去最高を更新している(内訳は、社員が同15.3%増の9,936人、他社受入社員が同7.7%増の5,463人、海外及び行政受託社員が同1.3%減の1,383人)。

セグメント利益率が前期比0.2ポイント上昇の6.4%となった。人材採用・育成費用の増加はあったものの、増収効果や社員の定着率上昇、業務請負案件の生産性改善などが寄与したものと見られる。

b) テクノ事業
テクノ事業の売上高は前期比25.0%増の15,200百万円、セグメント利益は同5.9%増の1,337百万円となった。エンジニアの育成・配属を目的とする人材育成スキーム「人が活きるカタチ アカデミア」※の拡充により、自動車関連の機械設計技術者や5G関連等のシステムエンジニアの配属人員を拡大できたこと、また、社員のスキルアップと適正配置によりチャージアップが進んだことも増益要因となった。

※既存社員はキャリアチェンジのための教育や、保有技術のさらなる深化に取り組み、未経験者については「デザインセンター」での3D-CAD研修、「プロダクションエンジニアリングセンター」での生産技術研修、アドバンと連携したJAVAやPython、組込C等のプログラミング研修等を実施した。


分野別売上動向について見ると、売上構成比の42.6%を占める半導体向けが前期比32.3%増と好調に推移したほか、情報通信サービス向けが同11.3%増、自動車向けが同33.5%増とそれぞれ好調に推移した。また、その他分野についても建設、リペア事業を中心に同3.3%増と堅調に推移した。

2018年の新卒採用者数は、前年の107名に対して114名と7名増となり、2018年10月?12月の平均在籍数は前年同期比19.3%増の2,437人と過去最高を更新している(内訳は、生産技術が同8.8%増の739人、設計開発が同26.5%増の1,331人、建設/リペア他技術者が同18.0%増の367人)。なお、設計開発者の増加のうち約50人は2018年2月に子会社化した西肥情報サービス(株)の技術者となる。

セグメント利益率が前期比1.6ポイント低下の8.8%となったが、これは人材育成にかかる教育・研修費用の増加が主因となっている。

c) R&D事業
R&D事業の売上高は前期比4.5%増の6,779百万円、セグメント利益は同11.9%減の559百万円となった。会社計画比でも売上高で8.6%減、セグメント利益で19.3%減といずれも未達となった。前述したとおり、DOTワールドで臨床試験受託事業の大型案件を失注し、収益が悪化したことが要因となっている。

分野別売上高を見ると、医薬・バイオが前期比17.0%増、化学が同0.7%減、臨床が同1.2%増となり、DOTワールドが行う臨床試験受託については同7.7%減となった。

(株)ワールドインテックで行う研究者派遣については、優秀な人材の確保と教育研修制度の充実化により個のスキルアップを図ることでチャージアップを実現したほか、高度な専門技術を有した研究者による大学との共同研究も新たに開始するなどで収益は順調に拡大した。一方、DOTワールドについては臨床試験受託業務において、試験の延期等による案件の失注で売上減と構造改革費用等により若干の営業損失に転じた。このため、同社では今回新たに遺伝子細胞治療や再生医療など今後の成長分野を専門領域としている外部有識者から事業戦略や社員教育に対する検証とアドバイスを受けながら、2019年12月期以降の収益回復に取り組んでいく方針となっている。

2018年の新卒採用者数は前年の83人から78人に減少しており、2018年10月?12月の平均在籍数(現業社員)も前年同期比0.6%減の1,023人と若干ながら減少した(内訳は、R&D在籍で同0.5%減931人、DOT在籍で同横ばいの93人)。

d) セールス&マーケティング事業
セールス&マーケティング事業の売上高は前期比38.4%減の3,533百万円、セグメント損失は100百万円(前期は219百万円の利益)となった。会社計画比でも売上高で34.3%減、セグメント利益も計画の80百万円から下回っている。

同事業に関しては、2017年12月期の途中から事業構造改革に着手しており、小売業界向け派遣についての取引先の見直しを進めてきたほか、2019年12月期以降の成長を見据えて管理システム構築等の仕組みの強化と採用コールセンターの新設等の先行投資を実施したことが収益悪化要因となっている。

2018年10月?12月の平均稼働スタッフ数は前年同期比39.3%減の1,335名となっている。構造改革についてはほぼ一巡し、2019年下期以降、損益状況も改善する見通しとなっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《YM》

 提供:フィスコ

株探からのお知らせ

    日経平均