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2412 ベネフィット・ワン

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100株
PER PBR 利回り 信用倍率
61.7 15.28 5.42
時価総額 3,446億円
決算発表予定日

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ベネ・ワン Research Memo(3):2023年3月期は増収減益、中長期成長加速に向けた先行投資実施(1)


■業績動向

1. 2023年3月期の連結業績概要
ベネフィット・ワン<2412>の2023年3月期の連結業績は、売上高が前期比10.5%増の42,376百万円、営業利益が同17.9%減の10,484百万円、経常利益が同17.6%減の10,565百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同14.5%減の7,655百万円となった。将来の成長加速に向けて、プロモーション、システム開発等への先行投資を実施しつつ、主力の福利厚生・パーソナル・CRM事業が安定して業績を拡大したほか、購買・精算代行事業、ペイメント事業、海外事業の各種事業に関しては、おおむね想定水準の着地となった。

ヘルスケアの新型コロナワクチン接種支援事業は前期比で減収減益となったものの、コロナ禍が想定以上に長引いたため、売上高・利益ともに計画を大きく上回って着地した。インセンティブ事業とヘルスケアの保健指導事業は苦戦した。インセンティブ事業では新システムの安定運用に人員リソースを割いたこともあり、新規・既存双方に対する営業活動に影響が出た。保健指導事業では、コロナ禍が長引いたことで市場回復が遅れたこと、対象者への受診促進が低調だったことも影響した。

連結ベースで見ると、福利厚生・パーソナル・CRMとヘルスケアのワクチン接種支援事業の営業利益が計画比で上振れたものの、保健指導事業の利益下振れが相殺した格好となった。

2023年3月期における営業利益率は24.7%、親会社株主に帰属する当期純利益率は18.1%となった。2022年3月期の水準と比較すると減少したものの、依然として高い水準を維持した。高利益率を維持できたのは、同社の事業は固定費の割合が低く(総資産に占める有形固定資産の割合は2.9%)、相対的に損益分岐点が低くなり限界利益率が高くなったことが要因であると弊社は見ている。プラットフォームビジネスは勝者総取りの理論が働くビジネスモデルである。事業規模が拡大するにつれて競争の影響が薄れる傾向にあることからも、同社の利益率は高水準を維持するものと弊社は考えている。

(1) ベネフィット・ステーション関連事業(福利厚生+パーソナル+CRM)
2023年3月期の売上高は前年同期比24.5%増の27,616百万円、営業利益は同3.0%減の9,203百万円となった。事業ごとの売上高は、福利厚生事業が同27.3%増の25,205百万円、パーソナル+CRM事業は同1.3%増の2,411百万円と前期比ベースで堅調であった。計画比ベースでは、JTBベネフィットの統合により売上が拡大したものの、コロナ禍が長引いたことにより、顧客企業が福利厚生サービスの導入に関して意思決定を先延ばしにしたことを受け、計画を下回った。利益面では、成長加速に向けたプロモーション投資などを実行したものの、M&Aによる外部成長や利用回復の遅れに伴う補助金の未消化等を受け、計画を上回って着地した。2023年4月から新たに会員になった大型団体においては、導入当初から非正規社員を福利厚生サービスの対象に含めるトレンドも見られ、ほかの企業も福利厚生導入に関して、こうした団体に追随する可能性が高いと同社は見ている。2024年3月期においては期中での新規会員を含め、他企業の追随が期待される。

(2) インセンティブ事業
2023年3月期の売上高は前年同期比10.8%減の3,098百万円、営業利益は同30.3%減の544百万円となった。新システムの安定運用までに時間を要したため、既存顧客のポイント交換が想定よりも遅れた。また、システムの刷新・安定運用に向けたリードタイムが長引き、新規営業活動と既存営業活動が制約を受けたことも業績の足かせとなった。ただ、労働市場における需給のひっ迫など外部環境は依然として良好だ。今後のプラス要因として、システム開発体制を万全なものにするために開発要員の増強を行ったほか、営業人員に関しても増員を行った。円滑なシステム構築体制を築いたうえで営業活動に取り組むことで、業績拡大に寄与することが期待される。依然として未交換となっているポイント残高は高止まりしており、2024年3月期以降にポイント残高消費キャンペーンを強化することによって、利益の積み上げが期待される。

(3) ヘルスケア事業
2023年3月期の売上高は前期比14.8%減の8,192百万円、営業利益は同29.1%減の3,229百万円となった。ワクチン接種支援事業に関しては、前期比ベースで減収となったものの、コロナ禍が想定以上に長引いたことを受け、計画比ベースでは売上高・利益は大きく上回って着地した。健診・保健指導事業に関しては、保健指導の市場回復が遅れたこと、対象者の受診が想定どおり進まず、計画を下回って着地した。2024年3月期以降においては新規受注が拡大することが想定される。加えて、新型コロナウイルス感染症が5類感染症に移行されたことも保健指導実施率を上昇させそうだ。保健指導に関しては、今後は腹囲の減少など実質的な成果で評価される傾向にあり、保健指導の実施率向上が想定される。

(4) 購買・精算代行事業
2023年3月期の売上高は前年同期比5.6%増の677百万円、営業利益は同102.4%増の194百万円となった。コロナ禍による影響が徐々に薄れ出張利用が緩やかながら回復し、出張精算ソリューションに対するニーズが好調に推移したことにより、売上高・利益は前期を上回った。計画比ベースでは、コロナ禍が想定以上に長引いたことが影響した。

(5) ペイメント事業
2023年3月期の売上高は前年同期比20.7%増の21百万円、営業利益は57百万円の損失(前年同期は61百万円の損失)となった。2024年3月期からの営業活動の本格化に向けて、コンテンツなどの拡充に注力した。給与天引きの仕組みを活用した「給トク払い」を通じて職域価格で利用することができるサービスとして、幅広い動画作品を配信している動画配信サービスNetflixとの提携を予定しているほか、2023年3月にはau PAYギフトカードの優待提供も開始した。これまでも「給トク払い」に対応したコンテンツとして、毎日新聞、個人向け光回線サービスUSEN光01、Amazonギフト券などのコンテンツを追加した。

(6) 海外事業
2023年3月期の売上高は前年同期比28.7%増の1,897百万円、営業利益は342百万円の損失(前年同期は170百万円の損失)となった。シンガポールが好調となった一方、北米において体制拡充のために先行投資を行ったことが響いた。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)

《SI》

 提供:フィスコ

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