【植木靖男の相場展望】
「市場的にみた10月高の条件」
●利下げ先送りは米国の本音なのか
株式市場は大波乱を演じたあと安値もみ合いに転じている。一見、このパターンは13年5月から6月にかけて波乱をみせた形に似ている。
確かに当時の高値から安値にかけての値幅は、今回とほぼ同じであり、筆者の見通しでも下値メドは1万7278円。この結果、下値に届いたとみてよいだろう。
そして、今年後半の市場の最大テーマの一つである米利上げを決めるFOMCを迎えた。そして、結論は9月利上げ先送りである。もっとも、この結論は早くから予想されていた。ただ、FRBの本音なのか、もしくは周りの圧力に屈しての結論なのか。IMFや世界銀行、OECDあるいはサマーズ元財務長官などからは、いま利上げをすべきでない、と牽制されている。
本音だとすると、米国景気の先行きは厳しいということであろう。OECDは15年、16年の世界経済成長率を下方修正している。そして、米国は強い物価上昇がなく、利上げはゆっくりとしたペースで、さらに中国の成長鈍化や利上げが新興国経済に悪影響を及ぼす可能性を指摘している。
仮にこうした懸念があるとすれば、内外の株式市場の先行きは楽観視できないであろう。
●当面、内需株でつなぐ
では、こうした情勢下で株価はどう展開するのであろうか。利上げ先送り決定の直後、米国市場もわが国市場も下げて始まっている。
これはすでに見切り発車した向きの利益確定売りであり、やがて持ち直すとの見方がある一方、これまでと同じようにいつ実施するのか、と不透明感が払拭されないままの状態が続き、株価は当面浮上しないとの観測もある。
ところで、市場的にみれば、利上げ先送り直後の週末18日、日経平均は下げてしまった。この日上げるか下げるかは10月相場に大きな影響をもたらすと考えている。
もっとも下げたからといって悲観することもない。9月末頃までに9月17日の1万8432円を上抜けば10月高の公算もあろう。その意味で第5週初めは配当落ちで100円ほど下がる。時間的余裕はあまりない。
さて、当面の物色対象はどうみたらよいであろうか。利上げ先送りで円安トレンドは当面見えにくい。だとすれば、内需株でつないでいくことになろうか。情報通信、小売り、インバウンド、建設、医薬品などに注目したい。
個別には大林組 <1802> 、セブン&アイ <3382> 、アインファマ <9627> 、ラオックス <8202> [東証2]などに妙味があろう。
2015年9月18日 記
株探ニュース