極洋 Research Memo(1):2018年3月期に売上高2,600億円、営業利益50億円、ROE10%超を目指す
極洋<1301>は、昭和12年(1937年)に設立された水産物を中心とした総合食品会社である。米国やヨーロッパ、東南アジアなどにも拠点を有しており、現在では水産商事、冷凍食品、常温食品、物流サービス、及び鰹・鮪の5部門で事業を展開している。強みは水産会社として永年培ってきた原料の調達から加工、販売までの一貫したバリューチェーン及び水産食品のプロフェッショナルとしての力にある。
2016年3月期(2015年4月?2016年3月)は売上高で226,626百万円(前期比3.8%増)、営業利益で2,433百万円(同1.1%減)、経常利益で2,814百万円(同33.5%増)、親会社株主に帰属する純利益で1,799百万円(同26.1%減)となり、中間期時点での予想を若干下回る結果となった。前期に営業外費用として計上した持分法による投資損失と為替差損がなくなったため経常利益は増益となったが、一方で特別利益(厚生年金基金代行返上益)もなくなったことから親会社株主に帰属する当期純利益は減益となった。
2017年3月期は、売上高で244,000百万円(前期比7.7%増)、営業利益で3,500百万円(同43.8%増)、経常利益で3,300百万円(同17.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益で2,100百万円(同16.7%増)が予想されている。営業利益は高い伸びが予想されているが、前期に発生したマイナス要因がなくなるとの前提なので、特に高い目標ではない。通期の収益は水産物市況に左右されるが、現在の予想は現状に沿って予想された数字なので、この目標が達成される可能は高いとみている。
同社は2018年3月期の目標を売上高で260,000百万円、営業利益で5,000百万円、ROEで10%超とする新しい中期経営計画を発表している。実際の利益水準は水産市況の変動による影響を受けるが、現在の足元の状況からすると達成はそう簡単ではなさそうだ。定量的な数値目標の達成も重要だが、後述のように同社は「バリューアップ・キョクヨー2018」を掲げており、定性的に同社の体質がどのように変わっていくかにも注目しておきたい。
■Check Point
・自社ブランド「シーマルシェ」を立ち上げ、家庭用冷凍食品市場に参入
・17/3期は増収、大幅な営業増益を見込む
・グローバル戦略、シナジー戦略、差別化戦略を強化
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
《HN》
提供:フィスコ