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9950 ハチバン

東証S
3,415円
前日比
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PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
55.8 2.64 0.59
時価総額 105億円

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北陸企業News-北陸のベトナム関連企業-【今村証券アナリストレポート】

担当 近藤浩之
●北陸のベトナム関連企業

 ベトナム経済が好調だ。個人消費が好調だったうえ、輸出も伸びたことで、ベトナムの7~9月期実質国内総生産(GDP)は前年同期比8.23%増と高成長を見せた。米関税政策の影響を受けた中国の成長率が4.8%にとどまったこととは対照的だ。タイやインドネシアなど東南アジアの成長率も伸び悩む。

アジア主要新興国の経済成長率(四半期実績・前年同期比)
【タイトル】

赤: ベトナム、青: 中国、緑: インド、橙: タイ、水:インドネシア
出所:ブルームバーグ


 ベトナム経済は世界やASEAN(東南アジア諸国連合)の伸びを上回る水準での成長が続いている。今後もベトナムの成長率は高水準で推移するとみられ、国際通貨基金(IMF)では2030年まで年5~6%の成長が続くと予想している。

 こうしたなか、日本企業のベトナム進出は進み、日系企業の拠点数は2010年の981拠点から2.5倍以上の2,543拠点(2024年10月1日現在。外務省調査)に増加した。北陸の企業も製造業を中心に進出し、9社(富山県:田中精密工業 <7218> [東証S]、石川県:高松機械工業 <6155> [東証S]・大同工業 <6373> [東証S]・三谷産業 <8285> [東証S]、福井県:前田工繊 <7821> [東証P]・日華化学 <4463> [東証S]・フクビ化学工業 <7871> [東証S]・三谷商事 <8066> [東証S]・松屋アールアンドディ <7317> [東証G])が子会社を有しており、コーセル <6905> [東証P]は非連結子会社を、中越パルプ工業 <3877> [東証P]が持分法適用関連会社を有する。ハチバン <9950> [東証S]は現地企業とマスターフランチャイズ契約を結び2019年7月に1号店を開業し、現在は3店舗を運営する。

ベトナムの経済成長率 実績・見通し(前年比)
【タイトル】

 今回は連結子会社を有する企業のなかから、前田工繊、日華化学、三谷産業を取り上げる。



●前田工繊 <7821> [東証P]
レーティング:OUTPERFORM

◆今期会社予想は減益だが、上振れが見込める

【タイトル】

 「ソーシャルインフラ事業」は、がけ崩れや地すべり、洪水といった自然災害から身を守る防災・減災対策用の資材(盛土補強材、排水材、河川護岸材、耐震補強材等)の製造・販売(公共工事関連)などを手掛ける。ベトナムの拠点は合成木材等を製造し日本に供給するほか、ASEAN諸国への拡販の営業拠点と位置付ける。「インダストリーインフラ事業」の主力は、自動車用軽合金鍛造ホイール「BBS」ブランドの製造(BBS事業)だ。

 前期(2025年6月期)が売上高、営業利益、経常利益、純利益のすべてで過去最高を更新したのに対して、今期(2026年6月期)会社予想は減益だ。BBS事業が減益予想であり、自動車メーカー向けOEM(相手先ブランドによる生産)供給が端境期であること、トランプ関税が自動車販売に及ぼす影響が不透明なことを織り込んでいる。公共工事関連は買収効果により増益予想だが、既存事業は前期に大型案件があった反動が出るとの想定だ。ただ、自然災害が激甚化、頻発化するなか、防災・減災対策は急務になっている。人手不足の建設業者に対して、施工性に優れた製品、工法を組み合わせた提案をしている成果も出ているようで、既存事業は堅調な受注が続くだろう。

売上高・利益の推移
【タイトル】

(注)22.6期より決算期変更


 今年4月に子会社化した三井化学産資(現、前田工繊産資)は売上高を年間約100億円押し上げる。一方で利益率が低く(2024年3月期:売上高営業利益率1.8%)、改善余地がある。①経費の見直し、②両社の製品を両社が持つ販売網で販売、③受注が増えた製品を稼働率が低い前田工繊産資の工場で生産して生産効率を高める―などの対策を講じていく。また今期以降も年間最低でも1件の買収に意欲を示す。

 今村証券による今期業績予想は、会社予想を上回るとみて、売上高700億円(前期比+9.2%)、営業利益120億円(同▲0.2%)。来期(2027年6月期)は売上高750億円、営業利益132億円を予想し、新たな買収が実施されれば上積みが見込める。投資判断は「OUTPERFORM」とする。


●日華化学 <4463> [東証S]
レーティング:NEUTRAL

◆事業の収益性を改革

【タイトル】

 化学品事業の主力である繊維加工用薬剤は国内シェアNo.1であり、繊維産業が盛んなアジアにも多くの拠点を有する。現在は「環境(Environment)」「健康・衛生(Health)」「先端材料(Digital)」領域(EHD事業)に事業を集中している。化粧品事業は美容室専売品のヘアケア剤やスカルプケア剤等や、ODM・OEM(相手先ブランドの受託開発・受託生産)を展開する

 今期(2025年12月期)第2四半期累計期間の売上高、営業利益は過去最高を更新した。化学品、化粧品の両事業ともに堅調で、化学品事業はトランプ関税の影響により5月から中国やアジアの繊維生産が減速した影響を受けたものの、EHD事業が伸長した。化学品事業に占めるEHD事業の売上比率は45.0%(前年同期比+0.4ポイント)となり、「フッ素を用いない」撥水剤、繊維加工工程削減・短縮、排水の公害値低減などに貢献する薬剤の販売が伸長した。EHD製品の利益率は従来製品より10ポイント高く、EHD事業の売上比率が向上することで、化学品事業全体の利益率が高まっている。また化粧品事業は、ODMや美容室向け新商品・注力商品の販売が伸びた。一方で経常利益、純利益は減益となり、主に為替差損益の悪化、化粧品新工場(2027年本格稼働予定)建設資金調達にかかる支払手数料の計上が押し下げた。

売上高・利益の推移
【タイトル】

 通期会社予想に関しては、想定為替レートを1米ドル=150円から147円へ円高方向に見直したため、経常利益を3億円、純利益を2億円減額修正した。売上高、営業利益に変更はなく、過去最高見通しだ。今村証券では、今期業績を売上高570億円(前期比+5.4%)、営業利益38億円(同+8.0%)と予想、会社予想からは営業利益が2億円上回るとみた。来期(2026年12月期)は売上高590億円、営業利益40億円を予想する。配当に関しては、会社の配当方針に沿えば、来期もDOE(自己資本配当率)の引き上げ、増配が見込め、高い配当利回りが続くことになる。投資判断は「NEUTRAL」とするが、配当重視の投資対象として検討に値する。


●三谷産業 <8285> [東証S]
レーティング:NEUTRAL

◆多面的な事業領域を活用したシナジー創出・新たな価値創出に取り組む

【タイトル】

 商社機能とメーカー機能を併せ持ち、首都圏、北陸、ベトナムを軸にした6セグメントによる複合力で企業価値向上を目指す。ベトナム関連事業は売上高全体の15%を占め、自動車向けの樹脂成形品などの製造・販売(樹脂・エレクトロニクス事業)、空調設備工事・住宅設備機器の設計・積算、化学品の製造・販売などを手掛ける。

 今期(2026年3月期)第1四半期累計期間の売上高、営業利益、経常利益、純利益は第1四半期として過去最高だった。利益への貢献が大きかったのは、「空調設備工事」と「情報システム」だ。「空調設備工事」は増収効果に加えて、省エネ・創エネへの対応やICT・IoTを活用した高効率な空調設備の提案など案件の高付加価値化に努めた成果がみられた。「情報システム」は文教関連顧客への納入、複数の基幹システム更新案件が順調に進捗した。

 今村証券による今期業績予想は、売上高1100億円(前期比+6.7%)、営業利益24億5000万円(同+18.1%)とし、営業利益は会社予想を2億円上回ると予想する。また来期(2027年3月期)は売上高1150億円、営業利益28億円と成長が続くとみる。一方で、利益率には課題が残る。売上高営業利益率は今期今村証券予想が2.2%、来期今村証券予想が2.4%だ。

売上高・利益の推移
【タイトル】

 利益率が低いのは、多面的な事業領域を活用したシナジー創出、新たな価値創出に向けた先行投資が嵩んでいるためだ。特に「住宅設備機器」で先行投資が嵩んでいる。システムキッチン、システム収納、洗面化粧台を提供するブランド「INTENZA(インテンザ)」、高級バスタブブランド「JAXSON(ジャクソン)」「HIDEO(ハイデオ)」などセグメント内の全ブランドが連携して高級・中高級市場、海外市場での受注活動を推進中であり、費用が先行している。新たな価値創出に向けては、AI・ディープラーニングを主としたデジタル技術への取り組みを加速させている。利益率の改善を待ちたい。


【レーティングの定義】
OUTPERFORM:今後12カ月間のトータルリターンがTOPIXの予想リターンを10%超上回ると予想される。
NEUTRAL:今後12カ月間のトータルリターンがTOPIXの予想リターンの+10%と-10%の間に入ると予想される。
UNDERPERFORM:今後12カ月間のトータルリターンがTOPIXの予想リターンを10%超下回ると予想される。
トータルリターン:株価変動率+配当利回り
目標株価は12カ月間の投資を想定しており、将来発行されるレポートで修正されることもあります。


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今村証券株式会社
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