為替週間見通し:ドルは底堅い値動きか、米重要イベントでドル買いも
【今週の概況】
■米大統領選の行方を巡ってドル買い強まる
今週のドル・円は強含み。米国のインフレ緩和ぺースは減速しつつあること、米国経済の軟着陸への期待は持続していることから、リスク回避のドル売り・円買いは縮小した。
米ドル・円は週初に153円88銭まで買われた後、日本銀行の今後の金融政策を巡って10月31日に151円台後半まで下落したものの、日銀による年内利上げの可能性は高くないとの見方で同日のニューヨーク市場で一時153円台前半まで戻した。
11月1日のニューヨーク外為市場でドル・円は151円79銭まで下落後、153円09銭まで反発した。この日発表された10月米雇用統計で非農業部門雇用者数は市場予想を下回り、8・9月分の増加数は下方改定されたことから、リスク回避のドル売りが広がった。しかしながら、その後発表された10月ISM製造業景況指数の支払価格は大幅に上昇したこと、11月5日に行われる米大統領選挙をにらんで長期金利が上昇に転じたことから、ドルを買い戻す動きが広がった。米ドル・円は152円98銭でこの週の取引を終えた。ドル・円の取引レンジ:151円79銭-153円88銭。
【来週の見通し】
■ドルは底堅い値動きか、米重要イベントでドル買いも
来週のドル・円は底堅い値動きか。日本銀行の早期利上げ観測が浮上し、円買い圧力がやや高まる可能性は消えていないが、米大統領選と米連邦公開市場委員会(FOMC)の両イベントはドル買い要因になるとみられ、ドルは下げづらい状態が続くとみられる。日銀は10月30-31日に開催された金融政策決定会合で現行の政策を維持したが、金融正常化に前向きな方針を堅持。市場では12月にも追加利上げに踏み切るとの見方が浮上している。また、日本の総選挙で連立与党の議席数は過半数を割り込み、政権運営が難しくなっているため、政治不安を警戒してリスク回避的な円買いが増える可能性は残されている。
ただ、11月5日投開票の米大統領選で、共和党のトランプ前大統領は激戦州と呼ばれる複数の州で民主党のハリス氏をややリードしていると一部で報じられており、トランプ氏の大統領選勝利を予想する市場参加者が増えている。トランプ氏が主張する経済政策には長期金利の上昇を招く可能性があるものも含まれており、ドル買い材料となり得る。少なくとも大統領選挙の結果判明までは米ドル買い・円売りが優勢の状態が続く可能性がある。
【米大統領選挙】(11月5日実施予定)
11月5日投開票の米大統領選は民主党候補のハリス副大統領、共和党のトランプ前大統領の大接戦で結果判明は数日を要する可能性も。両者の経済政策は財政拡張路線となる可能性があるため、金利高ドル高の要因となり得る。
【米連邦公開市場委員会(FOMC)】(11月6-7日)
米連邦準備制度理事会(FRB)は11月6-7日開催の連邦公開市場委員会(FOMC)の会合で0.25ポイントの利下げを決定する公算。ただ、インフレ緩和のペースは減速しており、12月会合で金利据え置きの可能性が示された場合はドル買い材料になる。
ドル・円の予想レンジ:151円00銭-155円00銭
《FA》
提供:フィスコ