明日の株式相場に向けて=出遅れ半導体関連が最強の赤札となる時
きょう(25日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比70円安の3万7870円と5日ぶり反落。朝方は円高環境を嫌気するムードがあったが、あすに配当権利付き最終日を控え、フタを開けて見れば押し目買いニーズが強く容易に下がらない。しかし、上値も重く、取引終盤は五月雨的な持ち高調整の売りによって結局マイナス圏で引けている。
前日の欧州株市場は全面高となったが、これは欧州と経済的つながりの強い中国で金融緩和策を軸とした景気刺激策が発表されたことを好感したもの。直近の上海総合指数と香港ハンセン指数の戻り足の強さは特筆に値する。中国株高→欧州株高の流れを引き継いだのが前日の米株市場で、NYダウは小幅ながら連日の最高値更新となった。対中規制の徹底強化を前面に押し出す米国が、中国の景気刺激策を好感するというのも何かジョークのように聞こえるが、ともあれ中国株底入れはリスクオフへの警戒を緩めるひとつの大きな要因となっている。これは足もと東京市場で中国関連株を買い戻す動きにも反映された。
東京市場は自民党総裁選を前に思惑が入り乱れるが、あと2日で答えは出る。仮に決選投票に小泉氏が上がってくれば勝利する公算は大きそう。しかし、石破VS高市となった時にどうなるか。株式市場がどちらを望むかは言うまでもないが、小泉支持の票が石破氏に流れるという永田町の事情を指摘する声もある。いずれにしても、総裁選を通過すれば解散総選挙モードとなる。「過去30年の総選挙アノマリーとしては、投票前から全体株価は上昇基調となり、投票後もその流れは続く。特に自民党が単独過半数を確保した場合はほぼ100%の確率で上げ潮相場に突入する」(中堅証券ストラテジスト)という。
個別株物色の流れは徐々に世界的な金融緩和モードを織り込み、半導体関連株の水準訂正の動きが始まっている。国内は日銀が遅かれ早かれ追加利上げに動くことになるが、欧米や中国とは金融政策の方向性が真逆であり、急いでアクセルを踏み込む気配はない。日米で金利差縮小の流れにあるのは確かだが、言葉で表されたイメージと現実の状況とは少なからぬカイ離がある。直近の10年債利回りは米国が3.7%台、対して日本は0.8%前後である。水準的な部分で文字通り日本の金利はケタ違いに低い。利上げ路線とはいってもモラトリアムの期間が長ければ、それだけ日本株市場にとってユートピア的環境が続く。
半導体関連セクターについては依然として見方が分かれるが、金利上昇の突風さえ吹かなければ、東京市場では「売られ過ぎの反動」が徐々に顕在化することが予想される。個別に業績動向をチェックしておく必要があるのは当然として、極論すれば半導体関連に位置付けられる銘柄群は、今のタイミングで拾いに行って報われないケースの方が稀と考えておいてよさそうだ。
投資家サイドとしてはチャート的に出遅れ感が強く、収益が上向きかつロケットスタートが可能な脚力の強い銘柄をリストアップしておくところ。超高精度X線ミラーで独占的な供給能力を有し、次世代半導体向けに独自開発した半導体研磨装置で需要を捉えるジェイテックコーポレーション<3446>。ICソケットの世界シェア約4割を有するグローバルニッチトップの山一電機<6941>。半導体製造装置向け真空シールで世界シェア6割を誇り、中国関連でもあるフェローテックホールディングス<6890>。半導体向けを主力とする超純水装置大手で、最先端半導体への設備投資対応で商機を高めている野村マイクロ・サイエンス<6254>。先端半導体向け絶縁膜材料で高い技術力を駆使し世界トップクラスの競争力を持つトリケミカル研究所<4369>などをマークしておきたい。
あすのスケジュールでは、日銀金融政策決定会合の議事要旨(7月30~31日開催分)、国際決済銀行(BIS)国際資金取引統計及び国際与信統計の日本分集計結果発表、40年物国債の入札など。また、「東京ゲームショウ2024」が29日までの日程で開催される。この日はIPOが4社予定されており、グロースエクスパートナーズ<244A>、INGS<245A>、キッズスター<248A>がいずれも東証グロース市場に、東証グロース市場と名証ネクスト市場にアスア<246A>が新規上場する。海外ではスイス中銀の政策金利発表、4~6月期米実質国内総生産(GDP)確定値、週間の米新規失業保険申請件数、8月の米仮契約住宅販売件数など。また、NY連銀主催のイベントでパウエルFRB議長やウィリアムズNY連銀総裁、バーFRB副議長などに発言機会がありその内容が注目される。(銀)
出所:MINKABU PRESS
前日の欧州株市場は全面高となったが、これは欧州と経済的つながりの強い中国で金融緩和策を軸とした景気刺激策が発表されたことを好感したもの。直近の上海総合指数と香港ハンセン指数の戻り足の強さは特筆に値する。中国株高→欧州株高の流れを引き継いだのが前日の米株市場で、NYダウは小幅ながら連日の最高値更新となった。対中規制の徹底強化を前面に押し出す米国が、中国の景気刺激策を好感するというのも何かジョークのように聞こえるが、ともあれ中国株底入れはリスクオフへの警戒を緩めるひとつの大きな要因となっている。これは足もと東京市場で中国関連株を買い戻す動きにも反映された。
東京市場は自民党総裁選を前に思惑が入り乱れるが、あと2日で答えは出る。仮に決選投票に小泉氏が上がってくれば勝利する公算は大きそう。しかし、石破VS高市となった時にどうなるか。株式市場がどちらを望むかは言うまでもないが、小泉支持の票が石破氏に流れるという永田町の事情を指摘する声もある。いずれにしても、総裁選を通過すれば解散総選挙モードとなる。「過去30年の総選挙アノマリーとしては、投票前から全体株価は上昇基調となり、投票後もその流れは続く。特に自民党が単独過半数を確保した場合はほぼ100%の確率で上げ潮相場に突入する」(中堅証券ストラテジスト)という。
個別株物色の流れは徐々に世界的な金融緩和モードを織り込み、半導体関連株の水準訂正の動きが始まっている。国内は日銀が遅かれ早かれ追加利上げに動くことになるが、欧米や中国とは金融政策の方向性が真逆であり、急いでアクセルを踏み込む気配はない。日米で金利差縮小の流れにあるのは確かだが、言葉で表されたイメージと現実の状況とは少なからぬカイ離がある。直近の10年債利回りは米国が3.7%台、対して日本は0.8%前後である。水準的な部分で文字通り日本の金利はケタ違いに低い。利上げ路線とはいってもモラトリアムの期間が長ければ、それだけ日本株市場にとってユートピア的環境が続く。
半導体関連セクターについては依然として見方が分かれるが、金利上昇の突風さえ吹かなければ、東京市場では「売られ過ぎの反動」が徐々に顕在化することが予想される。個別に業績動向をチェックしておく必要があるのは当然として、極論すれば半導体関連に位置付けられる銘柄群は、今のタイミングで拾いに行って報われないケースの方が稀と考えておいてよさそうだ。
投資家サイドとしてはチャート的に出遅れ感が強く、収益が上向きかつロケットスタートが可能な脚力の強い銘柄をリストアップしておくところ。超高精度X線ミラーで独占的な供給能力を有し、次世代半導体向けに独自開発した半導体研磨装置で需要を捉えるジェイテックコーポレーション<3446>。ICソケットの世界シェア約4割を有するグローバルニッチトップの山一電機<6941>。半導体製造装置向け真空シールで世界シェア6割を誇り、中国関連でもあるフェローテックホールディングス<6890>。半導体向けを主力とする超純水装置大手で、最先端半導体への設備投資対応で商機を高めている野村マイクロ・サイエンス<6254>。先端半導体向け絶縁膜材料で高い技術力を駆使し世界トップクラスの競争力を持つトリケミカル研究所<4369>などをマークしておきたい。
あすのスケジュールでは、日銀金融政策決定会合の議事要旨(7月30~31日開催分)、国際決済銀行(BIS)国際資金取引統計及び国際与信統計の日本分集計結果発表、40年物国債の入札など。また、「東京ゲームショウ2024」が29日までの日程で開催される。この日はIPOが4社予定されており、グロースエクスパートナーズ<244A>、INGS<245A>、キッズスター<248A>がいずれも東証グロース市場に、東証グロース市場と名証ネクスト市場にアスア<246A>が新規上場する。海外ではスイス中銀の政策金利発表、4~6月期米実質国内総生産(GDP)確定値、週間の米新規失業保険申請件数、8月の米仮契約住宅販売件数など。また、NY連銀主催のイベントでパウエルFRB議長やウィリアムズNY連銀総裁、バーFRB副議長などに発言機会がありその内容が注目される。(銀)
出所:MINKABU PRESS