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窪田朋一郎氏【波乱の東京市場、ここは果たして買い場なのか?】 <相場観特集>


―ハイボラ相場も米大統領選などにマーケットの関心集まる―

 9日の東京市場は朝方に日経平均株価が1000円以上も下値を切り下げたが、その後は急速に下げ渋る展開となった。米株安に加え日米金利差拡大を背景とした円高が警戒される一方、足もとで売り飽き気分も出ている。8月初旬の暴落からの戻り局面にうまく乗れなかった投資家にとっては値ごろ感から買いを入れたい気持ちも強いはずだが、ここは果たして買い向かって報われるのか。8月の米雇用統計を通過してもなおビッグイベントは目白押しであり、ここからの相場展望については意見の分かれるところ。相場の分析力に定評があり、個人投資家動向にも詳しい松井証券の窪田朋一郎氏に意見を聞いた。

●「日米政局を横目に11月には戻り局面に移行」

窪田朋一郎氏(松井証券 投資メディア部長 シニアマーケットアナリスト)

 週明けの東京市場はリスクオフの流れが加速し、一時1000円を超える下げに見舞われたが、その後は下げ渋る動きで、地合い悪のなかも一方通行で売られている感じではない。前日の米国株市場ではNYダウナスダック総合株価指数ともに大きく下げ、為替の円高も嫌気されたが、テクニカル的には週足で8月第1週に開けたマドを埋めた形となり、いったんショート筋の買い戻しやリバウンド狙いの押し目買いが誘導されやすくなっている。大勢波動はまだ下落トレンドとみているが、米大統領選の行われる11月には戻り局面に転じる公算が大きいと考える。

 米大統領選はハリス副大統領が勝利するのか、トランプ前大統領が返り咲くのか現状で見極めるのは困難な情勢ながら、トランプ氏の方が法人減税や財政出動に前向きで株式市場にはプラスの面が大きそうだ。その意味で今週10日に予定される両候補者の討論会の内容が注視される。米国株市場はリセッション懸念と、FRBによる利下げ期待の綱引きとなっているのだが、どちらかといえば米景気が後退局面に入ることへの警戒感の方が強い。利下げ開始から半年のタームで株価動向をみた際に、過去のケースでは米経済がソフトランディングに成功した場合には株価も10%程度上昇するが、ハードランディングの場合は半年で15%下がるというデータがある。今月18日まで開かれるFOMCでの利下げは確定的だが、その利下げ幅や年内の利下げ回数見通しなどが相場を動かす重要な要素となる。

 一方、日銀は19~20日の金融政策決定会合で利上げは行わず現状維持となりそうだが、前回会合で予告している量的引き締め(国債買い入れ減額)の取り組みがどうなるのかに市場の関心が高い。このほか国内では自民党総裁選の行方が気になるところ。仮に小泉進次郎元環境相が勝利すれば、規制緩和に積極的な印象から外国人投資家には支持されやすい。

 日経平均の9月と10月、向こう1ヵ月半のレンジとしては下値が3万3500円程度とみている。上値については米大統領選でどちらの候補が優位に立つかで流動的な部分があり、トランプ氏優位であれば日経平均は3万8000円台に乗せるような強調展開もあり得る。ハリス氏が一段と支持を獲得する流れとなった場合、マイナス材料ではないが3万7000円前後が目先の上値上限ラインとなりそうだ。物色対象としては引き続き食品などのディフェンシブでキリンホールディングス <2503> [東証P]、アサヒグループホールディングス <2502> [東証P]など。このほかエンタメ関連でコナミグループ <9766> [東証P]や東映 <9605> [東証P]も注目。更に、ここにわかに人気化している倉庫株で住友倉庫 <9303> [東証P]などを中心にマークしたい。

(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(くぼた・ともいちろう)
松井証券に入社後、WEBサイトの構築や自己売買担当、顧客対応マーケティング業務などを経て現職。ネット証券草創期から株式を中心に相場をウォッチし続け、個人投資家の売買動向にも詳しい。日々のマーケットの解説に加えて、「グロース市場信用評価損益率」や「デイトレ適性ランキング」など、これまでにない独自の投資指標を開発。また、投資メディア部長としてYouTubeチャンネルやオウンドメディア「マネーサテライト」を運営。

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