明日の株式相場に向けて=データセンター関連株に新たな「光」
きょう(27日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比178円高の3万8288円と反発。早いもので明日が8月権利付き最終売買日にあたる。エヌビディア<NVDA>の決算発表を目前に、 半導体関連株には持ち高調整の売りが続いたが、それでもプライム市場の値上がり銘柄数は全体の8割を占めた。前向きな解釈をすれば「脱半導体相場」の地ならしが進んでいるという捉え方もできる。
エヌビディアの決算発表を契機に半導体関連株への物色人気が復活する可能性はあるが、過度な期待は持ちにくい。例えばエヌビディア向け半導体テスターで高水準の納入実績を誇り、エヌビディア関連の最右翼に目されるアドバンテスト<6857>の場合、急速なリバウンドはみせたものの、買い一巡後は再び75日移動平均線近辺まで水準を切り下げるなど脚力の弱さが露呈した。もし、エヌビディアが首尾よく決算発表後に上値追い態勢を明示したとして、アドテストの株価はそれにいったんは追随しても、大勢上昇トレンドを維持できるかには疑問符がつく。半導体製造装置関連の大相場も買い疲れ感が垣間見える。
しかし、GPU爆需を創出した 生成AIの存在は幻想ではない。商業的ビジョンで今後過剰な設備投資は控えられる可能性はあるが、現在進行形で社会への浸透が続いている以上、テーマ性が色褪せることはないと思われる。そのなか「GPU、つまりAI用半導体とは別の領域で需要の飛躍的な伸びが見込まれるものもある。米国では光デバイス関連に注目する動きが出ている」(ネット証券アナリスト)という指摘がある。
具体的には データセンター向けで使われる光モジュール(光トランシーバー)で、これが膨大なデータを処理するうえで必須のデバイスとして認知されている。東京市場でもデータセンター向け光デバイスを手掛ける有力メーカーは存在する。注目銘柄としてはデータセンター向けケーブリングソリューションなどで技術力を発揮する精工技研<6834>。同社は自動車部品用金型でも高実績を持つが、売り上げの半分を光デバイス関連で稼いでいる。25年3月期は営業38%増益予想とV字回復を見込み、26年3月期以降も2ケタ成長が続く公算が大きい。株価は目先動意含みで、大勢2段上げに向け機が熟した感がある。
また、santec Holdings<6777>の押し目もマーク。同社は光測定器や、光パワーモニター、光フィルターなどの光関連部品をグローバル展開しており、商品競争力も抜群。以前は5G関連株の一角として存在感を際立たせた。最近は通信向けの需要が鈍化傾向にあるものの、生成AI特需を反映したデータセンター向け光製品の割合が増勢にあるという。株価は戻り一服から目先売りに押される展開ながら、週足ベースでは26週移動平均線との上方カイ離を解消したところで、再浮上への期待が膨らむ。
日経平均は3万8000円台での累積売買代金が多く、ここから3万9000円台に向かう道程は“心臓破りの坂”ともいえる。暴風雨をなんとかやり過ごしたものの連れて売買代金も急減しており、当面は胸突き八丁の上値の重い展開が予想される。しかし、その一方でグロース市場の戻り足が鮮明となってきた。今月2日と5日の暴落によって信用買い残の整理が急速に進んだことで、リバウンドがしやすくなった。貸株市場のコスト上昇で外資系証券経由のヘッジファンド筋の空売りもままならず、ショートカバーを入れた後は“ドテン買い”に動くケースも増えているという。ネット証券から外資系に貸し出す際の貸株金利は年利で約20%と言われており、短期の叩き売りが奏功しなければそのコストを思い切り被ることになる。戦略の転換は必至となる。空売りターゲットだったバイオ関連はその象徴で、きょうはメディシノバ・インク<4875>がストップ高、クリングルファーマ<4884>なども本領を発揮し始めている。バイオ関連は短期の割り切りスタンスが必要だが、需給相場の醍醐味を味わうには最適である。シンバイオ製薬<4582>やオンコリスバイオファーマ<4588>といった銘柄にも出番が回ってくる可能性がありそうだ。
あすのスケジュールでは、7月の白物家電出荷額が午前取引時間中に発表される。海外では7月の豪消費者物価指数(CPI)のほか、米国ではウォラーFRB理事がインドで公演予定にあり、その発言内容が注目される。また、ベネチア国際映画祭(~9月7日)、パリ・パラリンピック(~9月8日)が開催される。なお、米国の主要企業の決算発表では、エヌビディア以外にセールスフォース<CRM>の決算発表も注目される(銀)
出所:MINKABU PRESS
エヌビディアの決算発表を契機に半導体関連株への物色人気が復活する可能性はあるが、過度な期待は持ちにくい。例えばエヌビディア向け半導体テスターで高水準の納入実績を誇り、エヌビディア関連の最右翼に目されるアドバンテスト<6857>の場合、急速なリバウンドはみせたものの、買い一巡後は再び75日移動平均線近辺まで水準を切り下げるなど脚力の弱さが露呈した。もし、エヌビディアが首尾よく決算発表後に上値追い態勢を明示したとして、アドテストの株価はそれにいったんは追随しても、大勢上昇トレンドを維持できるかには疑問符がつく。半導体製造装置関連の大相場も買い疲れ感が垣間見える。
しかし、GPU爆需を創出した 生成AIの存在は幻想ではない。商業的ビジョンで今後過剰な設備投資は控えられる可能性はあるが、現在進行形で社会への浸透が続いている以上、テーマ性が色褪せることはないと思われる。そのなか「GPU、つまりAI用半導体とは別の領域で需要の飛躍的な伸びが見込まれるものもある。米国では光デバイス関連に注目する動きが出ている」(ネット証券アナリスト)という指摘がある。
具体的には データセンター向けで使われる光モジュール(光トランシーバー)で、これが膨大なデータを処理するうえで必須のデバイスとして認知されている。東京市場でもデータセンター向け光デバイスを手掛ける有力メーカーは存在する。注目銘柄としてはデータセンター向けケーブリングソリューションなどで技術力を発揮する精工技研<6834>。同社は自動車部品用金型でも高実績を持つが、売り上げの半分を光デバイス関連で稼いでいる。25年3月期は営業38%増益予想とV字回復を見込み、26年3月期以降も2ケタ成長が続く公算が大きい。株価は目先動意含みで、大勢2段上げに向け機が熟した感がある。
また、santec Holdings<6777>の押し目もマーク。同社は光測定器や、光パワーモニター、光フィルターなどの光関連部品をグローバル展開しており、商品競争力も抜群。以前は5G関連株の一角として存在感を際立たせた。最近は通信向けの需要が鈍化傾向にあるものの、生成AI特需を反映したデータセンター向け光製品の割合が増勢にあるという。株価は戻り一服から目先売りに押される展開ながら、週足ベースでは26週移動平均線との上方カイ離を解消したところで、再浮上への期待が膨らむ。
日経平均は3万8000円台での累積売買代金が多く、ここから3万9000円台に向かう道程は“心臓破りの坂”ともいえる。暴風雨をなんとかやり過ごしたものの連れて売買代金も急減しており、当面は胸突き八丁の上値の重い展開が予想される。しかし、その一方でグロース市場の戻り足が鮮明となってきた。今月2日と5日の暴落によって信用買い残の整理が急速に進んだことで、リバウンドがしやすくなった。貸株市場のコスト上昇で外資系証券経由のヘッジファンド筋の空売りもままならず、ショートカバーを入れた後は“ドテン買い”に動くケースも増えているという。ネット証券から外資系に貸し出す際の貸株金利は年利で約20%と言われており、短期の叩き売りが奏功しなければそのコストを思い切り被ることになる。戦略の転換は必至となる。空売りターゲットだったバイオ関連はその象徴で、きょうはメディシノバ・インク<4875>がストップ高、クリングルファーマ<4884>なども本領を発揮し始めている。バイオ関連は短期の割り切りスタンスが必要だが、需給相場の醍醐味を味わうには最適である。シンバイオ製薬<4582>やオンコリスバイオファーマ<4588>といった銘柄にも出番が回ってくる可能性がありそうだ。
あすのスケジュールでは、7月の白物家電出荷額が午前取引時間中に発表される。海外では7月の豪消費者物価指数(CPI)のほか、米国ではウォラーFRB理事がインドで公演予定にあり、その発言内容が注目される。また、ベネチア国際映画祭(~9月7日)、パリ・パラリンピック(~9月8日)が開催される。なお、米国の主要企業の決算発表では、エヌビディア以外にセールスフォース<CRM>の決算発表も注目される(銀)
出所:MINKABU PRESS