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3179 シュッピン

東証P
1,016円
前日比
+3
+0.30%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
8.4 2.33 3.94 52.25
時価総額 236億円
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シュッピン Research Memo(9):ローリング方式の3ヶ年の中期経営計画を推進


■中長期の成長戦略

1. シュッピン<3179>における環境認識
(1) カメラ市場
カメラ市場は、スマートフォンの台頭によりしばらく縮小傾向が続いてきたが、2020年度よりフルサイズミラーレスカメラへの本格移行が始まったほか、メーカー各社から注目の新製品が発売されたことで活況を呈しており、カメラ専門店にとっては追い風となっている。2022年前半までの半導体不足解消に伴いフルサイズミラーレスカメラへの移行が本格化し、日本向け総出荷台数は2022年は前年比131.9%(金額では前年比163.3%)、2023年は同120.4%(金額では同106.8%)※と伸び続け、パリ五輪が開催される2024年も高成長が期待されている(五輪の年にはフラッグシップ機種の販売が恒例となっている)。またカメラを本格的な趣味にしたり、映像関連の仕事をする人も年々増加傾向にあり、より専門性を求めて量販店から専門店に流れ込む動きもあるようだ。中古品市場についても、新製品の発売に伴って世代前のモデルが中古品として販売されるため、しばらく好調な市場環境が続く見通しである。

※同社資料による。出所は(一社)カメラ映像機器工業会。


(2) 時計市場
日本国内の輸入腕時計市場については、2022年がコロナ禍によるインバウンド需要(免税売上)の低迷や高級腕時計の世界的な価格相場の下落のなかで、価格を下げてでも販売を行う動きが強かったこともあり、7,381億円(前年比26%増)の規模に拡大すると、価格相場が比較的安定した2023年も9,557億円(同29%増)と高成長を続けており、1兆円規模に迫ってきた※。特にシェア約2%の同社にとっては、伸びしろの大きな市場と言える。同社では、2021年9月から「ロレックス」製品の取り扱い日本一を目指す方針を打ち出し、戦略的な在庫投資を行ってきた。2021年12月末には「ロレックス」の取り扱いで国内最大級にまで拡大しさらなるラインナップの拡充を図ってきたが、その積極姿勢が相場下落の影響を受ける格好となり一時的な苦戦を強いられた。ただ2023年に入ってからは、価格相場の安定とともに同社の業績も回復した。

※同社資料による。出所は(一社)日本時計協会。


2. 中期経営計画
同社は、毎年向こう3ヶ年の中期経営計画を更新しており、2024年5月に新たな中期経営計画を公表した。前回の中期経営計画と比べてトップラインの伸びを増額修正するとともに、売上総利益率の目標を引き上げた。一方、利益を生み出すための投資(システム人財の育成、AI施策強化に向けたシステム投資、コンテンツ撮影スタジオ新設等)についても若干積み増した。ただ、今後の方向性に見直しはない。引き続き新たなテクノロジーの活用によりECに注力する方針であり、主軸となる「カメラ事業」のさらなる成長と「時計事業」の回復からの拡大、越境ECによるグローバル展開の活性化などに取り組む。特に売上高の成長以上に利益成長を重視し、1) AI活用による利益率の改善、2) スリムな経営による販管費比率の低減、という2つの施策を推進し、最終年度となる2027年3月期の目標として売上高73,514百万円(3年間の年平均成長率14.6%)、営業利益5,598百万円(営業利益率7.6%)を目指す。

3. 中長期的な注目点
AIの活用や様々な価値の追求により特定分野でさらにプレゼンスを高め、利益成長を重視する戦略は、弊社でも合理性があると評価している。戦略的に取り組んできた「時計事業」は想定外の相場変動による影響を一旦は受けたものの、これをきっかけとして先を進む「カメラ事業」と同様にAIやテクノロジーを導入し、ビジネスモデルの精度を高めることができれば、他社との差別化を図るうえでも大きな転機となる可能性がある。1兆円規模を誇る市場においていかにシェアを高めていくのか、今後の進展に期待が膨らむ。また、長期的なアップサイド要因として注目されるのは、M&Aや事業提携を含む、海外への本格展開、並びに新たな収益源の創出にある。海外展開については、すでにテストマーケティング的に取り組み「時計事業」を中心に認知度が上がってきており、越境ECを通じて着実に利用者から高い評価を受けている。国内と同様、海外でのブランド力や買取の仕組みを確立することができれば、新たな成長の軸となる可能性は大きい。さらに新たな収益源の創出(例えば、情報力及び会員基盤を生かした有料サービスの導入、メディア事業への展開等)についてもポテンシャルがある。その具現化のためにはロイヤリティ(熱量)が高く、質・量ともに充実した会員基盤をはじめ、愛好者にとって魅力的なコンテンツ情報が集まる仕組みを、いかに収益化に結び付けていくかがカギを握ると見ている。外部資源の活用を含め、同社ならではのビジネスモデルの確立に注目したい。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)

《AS》

 提供:フィスコ

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