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3179 シュッピン

東証P
1,016円
前日比
+3
+0.30%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
8.4 2.33 3.94 52.25
時価総額 236億円
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シュッピン Research Memo(5):2024年3月期は「カメラ事業」が順調に拡大。「時計事業」も急回復(2)


■シュッピン<3179>の決算概要

3. グローバル展開
越境ECについては、これまでカメラ事業において2017年8月に「Map Camera」にて世界最大級のオンライン・マーケットプレイス「eBay」へ出店したほか、時計事業においては「GMT」が2019年5月に世界最大級の高級腕時計マーケットプレイス「Chrono24」、2020年7月には「eBay」にそれぞれ出店すると、2022年には海外向け販売サポートサービス「Buyee Connect」※1を導入し、事業拡大に向けた体制を着実に整えてきた。サービスの質を重視した展開が奏功し、海外において同社のブランドが広く認知されつつある。特に「Map Camera」については、「eBay Japan Awards 2023」※2にて販売実績等の総合的評価トップのセラーに贈られる「Seller of the Year」を2年連続で獲得した。これらの取り組みを通じて、越境ECは着々と売上高を伸ばしており、2024年3月期についても前期比29.9%増の3,284百万円に拡大した。

※1 BEENOS<3328>の連結子会社であるBeeCruise(株)が運営する海外向け購入サポートサービス。
※2 イーベイ・ジャパン(株)が運営する「eBay(イーベイ)」において、上位の販売実績等を上げた日本のセラー(販売者)を表彰する賞。


4. 四半期業績とKPIの推移
(1) 四半期業績の推移
2021年3月期からの四半期推移を見ると、コロナ禍の影響により2021年3月期第1四半期に大きく落ち込んだものの、第2四半期からは「巣ごもり需要」による追い風や各施策の効果もありEC売上高が好調に推移し、コロナ禍前を上回る水準に伸びてきた。2022年3月期もコロナ禍の影響が続くなかでEC売上高が順調に拡大したほか、戦略的な商品ラインナップの拡充により「時計事業」の免税売上も大きく貢献し、第4四半期は過去最高水準(四半期ベース)を更新した。2023年3月期は中国におけるロックダウンの影響などを受けて免税売上が低迷したことに加え、世界的な価格相場の下落により「時計事業」が落ち込むも「カメラ事業」は引き続き拡大基調にあり、全体ではEC売上高を中心に高い水準を維持した。2024年3月期に入ってからも「カメラ事業」が伸び続けるとともに「時計事業」も回復傾向にあり、第3四半期の売上高は過去最高水準(四半期ベース)を更新した。

(2) Web会員数
2024年3月期末のWeb会員数は67万名を突破し、670,676名(前期末比50,683名増)と順調に伸び続けている。InstagramなどSNSの普及やコロナ禍に伴う外出制限などもきっかけとなり、手頃で身近な趣味としてカメラを始める人が増えたことに加え、これまでのEC強化策が軌道に乗り同社ブランドや運営サイトの認知度が高まってきたことが背景にあると考えられる。世代別の構成比を見ると年齢層は幅広いが10代~30代の割合は40.2%を占め、そのうち女性比率は23.4%と他年代と比べて高く、新たなターゲット層となっている※。また、若い世代の構成比が増加しているなかでも、利用平均単価が維持されているところも特筆すべき傾向と言える。

※全Web会員のうち女性比率は16.8%だが、2024年3月期の新規加入者(第3四半期累計)のうち女性比率は21.6%を占めている。


(3) 購入会員数とアクティブ率
購入会員数とアクティブ率についても新規会員数が純増するなか、引き続き高い水準を維持している。欲しいリスト登録商品数※1や入荷お知らせメール登録数※2も順調に伸びており、それらのOne to One マーケティング施策もアクティブ率を高い水準で維持する要因となっているようだ。特に入荷お知らせメールについては、メールやアプリだけでなくLINEでのお知らせ機能を2022年5月より開始したことにより配信数が大幅に増加※2したほか、One to One マーケティングとAIMD、さらにはAIコンテンツレコメンドとの掛け合わせによりリクエスト配信数※3も堅調に推移しており、これらも取引機会の拡大に大きく寄与している。また動画配信を中心としたコンテンツの拡充にも注力しており、これまで獲得できていなかった若年層視聴者の獲得も進んでいるようだ※4。

※1 欲しいリストの新規登録数は7~8万件/月と増加傾向にあり、3月には過去最高を更新し、9万件に迫っている。2024年3月期末には2,278,130件(前期末比299,738件増)に拡大した。
※2 入荷お知らせメールの登録数については2024年3月期末で140,241件(前期末比22,218件増)と14万人を突破するとともに、月平均配信数は40万件を超えてきた。特にLINEでの配信数は2年で14倍に増加した。
※3 スマートフォン向けに月平均500万配信を実現している。上記の「入荷お知らせメール」配信と合わせると四半期1,600万件の配信数となり、来店客数換算で約350店の実店舗に相当する情報発信力及び顧客接点を生み出していることになる。
※4 「コンテンツクリエイト部」を新設し、映像制作の実務経験を持つ人財を複数名配置した。今後は映像コンテンツの制作・配信にも注力する方針である。


(4) 中古カメラ買取額
中古カメラ買取額についても、これまでのAI顔認証システム(2020年6月)やAIMD(2021年3月)に加え、AIコンテンツレコメンドの導入(2022年3月)などEC強化を図ってきたことが奏功し、ECでの買取比率は80%近い水準で推移している。また、様々な差別化要因の1つである先取交換や下取交換も好調に推移しており、EC買取比率の底上げに寄与していると言える。

5. 2024年3月期の総括
2024年3月期を総括すると、システム障害による影響を一定期間受けたものの1) AI活用を含む各EC施策の効果発現により「カメラ事業」の成長が続き、業績全体の底上げができたこと、2) 2023年3月期下期に失速した「時計事業」についても急回復できたことにより、過去最高業績を更新できたこと、の2点は改めて同社のビジネスモデルの強さを実証するものとして評価したい。活動面でも、AIMDのバージョンアップや時計のオンライン買取見積り強化、動画配信を中心としたコンテンツの拡充などに取り組み、各種KPIの向上につなげることができたことに加え、後述するシグマクシス・グループとの資本業務提携についても、さらなるステップアップに向けて注目すべき材料と言える。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)

《AS》

 提供:フィスコ

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