貸借
証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
株価15分ディレイ → リアルタイムに変更

3179 シュッピン

東証P
1,016円
前日比
+3
+0.30%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
8.4 2.33 3.94 52.25
時価総額 236億円
比較される銘柄
BEENOS, 
ワットマン, 
あさひ

銘柄ニュース

戻る
 

シュッピン Research Memo(1):2024年3月期は過去最高業績を更新。2025年3月期も増収増益を見込む


■要約

シュッピン<3179>はカメラや高級腕時計など「価値あるもの」に特化したEC(eコマース)企業である。中古品と新品のそれぞれのニーズの違いや商品特性の違いを生かし、中古品と新品が相互に作用し合いながら会員基盤の拡大や業績の伸びを実現してきた。最近では独自のEC買取やOne to One マーケティング※1、CGM※2の活用などにも取り組み、プラットフォーム型事業モデルとして進化を続けている。この数年間を振り返ると、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)が店舗売上に影響を及ぼしたほか、戦略的な在庫投資に取り組んできた「時計事業」は世界的な価格相場の下落を受けて一時的に落ち込んだ。しかし、主軸である「カメラ事業」はAI活用による新たな機能の導入※3などによりECを軸に順調に業績を伸ばし、事業モデルの進化という点においては一段上のステージに入ってきたと言える。2024年5月には中期経営計画の更新(ローリング)とともに、「EC小売企業から変革し、最先端テクノロジーを駆使し続けるEIC※4企業になること」を宣言し、リバリューとテクノロジーの掛け合わせをさらに進化を進める方向性を打ち立てた。

※1 顧客の購買履歴や行動履歴を読み取り、顧客一人ひとりに合わせたマーケティングを展開すること。
※2 Consumer Generated Mediaの略。掲示板や口コミサイトなど一般ユーザーが参加してコンテンツができるメディアのこと。
※3 AIMD(AI技術を用いたマーチャンダイジングシステム)や、AIコンテンツレコメンド(同社が作成し保有している大量のコンテンツ記事をAIが顧客の嗜好性を分析して配信)など。
※4 Electronic Intelligent Commerceの略。EC(Electronic Commerce)にIntelligenceを掛け合わせた同社オリジナルの標語。


1. 2024年3月期の業績
2024年3月期の業績は、売上高が前期比7.1%増の48,841百万円、営業利益が同35.7%増の3,343百万円と増収増益となり、売上高・各利益とも過去最高を更新した。主力の「カメラ事業」は、引き続きAI活用によるOne to Oneマーケティングや動画配信を中心としたコンテンツ拡充が奏功し、EC売上高が好調に推移した。好調なインバウンド需要を背景とする免税売上(店舗)も伸び、増収に寄与した。一方、2023年3月期下期においてグローバル価格相場の下落の影響を受けた「時計事業」は通期では減収となったものの、価格相場は安定し、在庫の入替や業界初となるワンプライス買取※1の強化等により急回復し、黒字転換を実現した。利益面でも、AIMD※2のバージョンアップなどを通じて「カメラ事業」を中心に高い売上総利益率を確保した。一方で平均給与増により人件費が増加したが、売上総利益の伸びがこれを吸収し、大幅な営業増益を実現することができた。活動面では、2024年3月にシグマクシス・ホールディングス<6088>の子会社2社(以下、シグマクシス・グループ)との資本業務提携を締結し、テクノロジー・カンパニーへの変革に向けて踏み出した。

※1 同社が指定した商品に関して定額買取金額を保証するサービス(2013年7月より開始)。カメラ事業での成功に続き、2024年3月期からは時計事業にも本格導入した。
※2 AIを活用した中古カメラの買取価格・販売価格の自動アシストシステムである。従来は約2万アイテムの取扱品目をすべて人の手により価格を決めてきた。このためタイムリーな価格決定は一部に限られ、結果的に機会損失となるケースも多い。同システムは価格を全自動で決めることができようにするものであり、適正かつタイムリーな価格決定により機会損失を減らすことが期待される。


2. 2025年3月期の業績予想
2025年3月期の業績について同社は、売上高を前期比15.9%増の56,617百万円、営業利益を同15.3%増の3,854百万円と引き続き増収増益を見込んでいる。「カメラ事業」及び「時計事業」がECを軸に増収に大きく寄与する。特に「時計事業」のEC売上については、ワンプライス買取の大幅強化やAIサポートMD※の本格導入などにより同35%の成長を見込んでいる。利益面では、「BRILLER」(レディースブランドサロン)のリニューアルやコンテンツ撮影スタジオの新設など先行投資を予定しているものの、引き続きAIMDの効果や「時計事業」による収益の底上げにより売上総利益率は18.8%(前期は18.7%)と過去最高水準を更新し、営業増益を実現する想定である。

※時計価格のトレンドを先読みするAIのこと。


3. 今後の成長戦略
同社は毎年向こう3ヶ年の中期経営計画を更新しており、2024年5月に新たな中期経営計画を公表した。引き続き、カメラ事業・時計事業のさらなる成長と越境ECによるグローバル展開の活性化などに取り組む方針であり、シェア拡大に伴うEC売上の持続的成長をドライバーとして位置付けている。また、AI活用による利益率の改善とスリムな経営による販管費比率の低減により売上高の成長以上に利益成長を重視する方針に変わりはなく、最終年度となる2027年3月期の目標として売上高73,514百万円(3期の年平均成長率14.6%)、営業利益5,598百万円(営業利益率7.6%)を目指す。

■Key Points
・2024年3月期は主力の「カメラ事業」が順調に拡大し、過去最高業績を更新
・「時計事業」は減収となったものの、価格相場が安定し、在庫の入替とワンプライス買取の強化により黒字転換を実現し急回復
・2025年3月期は「カメラ事業」及び「時計事業」のEC売上の拡大により増収増益を見込む
・中期経営計画では、カメラ事業・時計事業のさらなる成長と越境ECによるグルーバル展開の活性化にも取り組み、EC売上の持続的成長とAI活用による利益率の改善を進める方針

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)

《AS》

 提供:フィスコ

株探からのお知らせ

    日経平均