リケンNPR Research Memo(8):市場環境の変化はあるがエンジン生き残りのシナリオも
■リケンNPR<6209>の成長戦略
1. 市場環境
グローバル自動車市場は新興国を中心に需要拡大が見込まれるものの、地球温暖化やエネルギー問題に対応するため、環境規制やEV化が加速し、中長期的にICEの減少が予想されている。
一方で、水素エンジンや、再生可能エネルギーを利用して生成された水素を原料とする合成燃料であるe-fuelエンジンの開発も進められている。EVとHEV(Hybrid Electric Vehicle)のWell to WheelでのCO2排出量を比較すると、現在研究開発が進められている熱効率50%のエンジンを搭載したHEVは、EVに対して競争力があることが示された。これは、HEVが次世代モビリティの選択肢になり得る可能性を示唆している。また直近のトピックとして、2023年3月に、EU(欧州連合)がガソリンエンジン車の新車販売を2035年に禁止するという従来の方針を変更し、CO2と水素を原料とする合成燃料を利用するエンジン車に限り2035年以降も容認することとした。このほかにも、EVの使用済み車載電池の処理方法が課題となっていることや、米国に続きEUが中国製EVへの輸入関税を引き上げたことなどにより、EV化が鈍化する可能性も指摘されている。
このような状況を背景に、同社は、ガソリンエンジンのさらなる低燃費化や、水素や代替燃料などを使用する次世代エンジンへの対応など、エンジンの進化に向けた技術開発を推進するとともに、EV化の流れを踏まえて、非ICE領域での事業の拡大にも注力し、事業ポートフォリオの改革を進める方針だ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
《AS》
提供:フィスコ