リケンNPR Research Memo(5):2024年3月期は実質的に大幅な増収増益で着地
■リケンNPR<6209>の業績動向
1. 2024年3月期の連結業績概要
2024年3月期の決算短信ベースの連結業績は、売上高が138,586百万円、営業利益が8,764百万円、経常利益が11,635百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が26,324百万円となった。営業外収益として受取利息及び配当金873百万円、持分法による投資利益1,465百万円、為替差益348百万円など、特別利益として、日本継手の株式取得とリケン・NPRの経営統合に伴う負ののれん発生益19,182百万円など、特別損失として減損損失933百万円などをそれぞれ計上した。予想(2024年2月14日付修正値、売上高137,000百万円、営業利益8,000百万円、経常利益10,500百万円、親会社株主に帰属する当期純利益30,000百万円)との比較で見ると、親会社株主に帰属する当期純利益で負ののれん発生益が見込み(21,000百万円程度)から減少したため予想を下回ったが、売上高、営業利益、経常利益はいずれも予想を上回って着地した。
なお、企業結合会計上、リケンが取得企業になることから、2024年3月期の決算短信の数値にはNPRの2023年4?9月の6ヶ月間の業績が反映されない。このため、リケン・NPRともに12ヶ月間の業績を反映した合算値で比較すると、2024年3月期の売上高は前期比16%増の1,686億円、営業利益は同51%増の106億円、経常利益は同35%増の137億円、親会社株主に帰属する当期純利益は同355%増の279億円、負ののれん発生益を除いた親会社株主に帰属する当期純利益は同42%増の87億円と、大幅な増収増益だった。自動車生産台数の回復、為替の円安効果、リケンが2023年5月に子会社化した日本継手の新規連結などによる増収効果に加え、資材価格・エネルギー価格等の売価転嫁や合理化の進展などが寄与した。
地域別売上高※は、日本が日本継手の新規連結効果などで前期比23%増の842億円(売上高構成比50%)、中国が日系OEM販売不振の影響で同1%減の104億円(同6%)、その他アジアが需要の堅調推移で同3%増の274億円(同16%)、北米が半導体不足解消に伴う受注回復で同16%増の236億円(同14%)、欧州が需要の堅調推移で同11%増の136億円(同8%)、その他が同38%増の94億円(同6%)だった。
※リケン・NPRともに12ヶ月の業績を反映した値。
営業利益増減分析※は、販売増で23億円増加、為替変動で8億円増加、価格転嫁で14億円増加、原材料・エネルギー価格上昇で11億円減少、人件費増加で4億円減少、減価償却費・研究開発費増加で4億円減少、合理化の進展で15億円増加、経費等の増加で5億円減少した。
※リケン・NPRともに12ヶ月の業績を反映した値。
セグメント別※では、自動車・産業機械部品事業は売上高が前期比8%増の1,354億円、営業利益(全社費用等調整前。以下、同)が同48%増の86億円だった。自動車生産台数の回復、為替の円安などによる増収効果に加え、価格転嫁や合理化の進展などの効果も寄与した。配管・建設機材事業は日本継手の新規連結効果により、売上高が同275%増の174億円、営業利益が同131%増の6億円だった。その他は売上高が同4%増の185億円、営業利益が同17%減の12億円だった。
※リケン・NPRともに12ヶ月の業績を反映した値。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
《AS》
提供:フィスコ