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需要衰え知らず「外国人材」、技能実習法などの改正で更なる拡大へ <株探トップ特集>


―円安下でも外国人労働者は増加基調続く、関連ビジネスの商機も拡大へ―

 技能実習に代わる 外国人労働者の新制度「育成就労」を新設する技能実習法や出入国管理法などの改正案が6月14日に可決、成立した。2027年までに新制度がスタートする予定で、今後は外国人材が働きやすい環境へ向かうことが期待されている。

 足もとの円安もあって、日本で働く外国人材には厳しい環境が続くが、それでも東南アジアを中心とした新興国では、日本の技術を学ぶことへのニーズが依然高い。新制度への期待も追い風となり、外国人材関連ビジネスのチャンスは拡大しそうだ。

●法改正の注目ポイント

 旧来の「技能実習」は、国際貢献のための技術移転を目的に据えていたものの、実態は人手不足の解消策であり、賃金の不払いや実習生の失踪など多くの問題を抱えていた。

 改正法は、人材育成と人材確保の両方を目的としたもので、育成就労の期間は3年間を基本とし、一定の技能を持ち最長5年間働ける「特定技能1号」の対象職種や分野を原則一致させることで、「特定技能」に移行しやすくし長期の就労に道を開いた。また、1~2年の就労後に同じ業務分野での転職が可能になり、これまでのように劣悪な労働環境に耐えられず失踪する例を防ぐ。

 今回の法改正の背景には、外国人労働者の重要性が年々増していることがある。日本の少子高齢化が進むなか、人手不足は大きな問題となっているが、将来的に更に深刻化する可能性が強いためだ。

●生産年齢人口の減少は深刻

 生産年齢人口とも称される15~64歳人口は戦後一貫して増加を続け、1995年の国勢調査では8726万人でピークに達したが、その後減少局面に入り、2020年の調査によると7509万人となった。将来的には更に減少する見通しで、国立社会保障・人口問題研究所の「日本の将来推計人口」(令和5年推計)によると長期の合計特殊出生率を1.36と仮定して45年の生産年齢人口は5832万人へ、出生率1.13と仮定すると5736万人になると予測している。

 一方、日本の労働力人口(15歳以上人口のうち、就業者と完全失業者を合わせた人口)は23年平均で6925万人となり、前年に比べて23万人の増加となった。働き方改革の推進などで、これまで非労働力人口であった主婦や高齢者の労働への参加が増えたことが背景にあるとされ、2年ぶりに増加した。

 ただ、長期的な視点でみると、少子高齢化により生産年齢人口は今後更なる減少が予測されており、比例して労働力人口も減少が予測されている。働き手の減少は、人手不足が更に深刻化することにつながるほか、国全体の生産力の低下にもつながり、労働力の確保は喫緊の課題だ。

●外国人労働者数は直近10年で2.9倍

 そこで重要性を増すのが外国人労働者の存在だ。足もとで外国人労働者は増加傾向にあり、労働力を外国人に依存する度合いは高まっているが、更に受け入れを拡大する必要があり、技能実習法の改正などはその一環だ。

 国内の外国人労働者数の現在の状況は、23年10月末時点で204万8675人(厚生労働省「外国人雇用状況」の届出状況)となり、07年に届け出が義務化されて以降、過去最多を更新し初めて200万人を突破した。先ほどの労働力人口からみると3%程度に過ぎないが、13年には71万7504人だったことを考えると、この10年間で2.9倍に急拡大したことになる。

 特に、技能実習生は13年には13万6608人だったが、23年には41万2501人と3.0倍となっており、在留資格のなかでも3番目に大きな割合を占めている。また、特定技能の外国人労働者も23年には13万8518人(前年比75.2%増)となっており、増加が著しい。外国人材にフォーカスしたビジネスも成長余力が大きそうだ。

●外国人材に力を入れる人材会社に注目

 UTグループ <2146> [東証P]は子会社のUTエイムが、半導体製品テスト開発業務とともに、外国人技能実習制度での団体管理型の活用や、特定技能ビザを持つ外国人の活用支援などを展開。外国人材の採用から日本国内における日常生活のサポート、日本語教育支援などで外国人が安心して働くことができる環境を整えている。

 nms ホールディングス <2162> [東証S]はHS(ヒューマンソリューション)事業の一環として、外国人技能実習制度に関わる入国後教育研修の受託及び実習生受け入れ先への業務支援などを展開。ベトナム人材会社3社と協力覚書を締結したほか、ラオス政府と人材採用拡大に向けたパートナーシップ協定を締結。また、今年2月には、日本に入国した外国人材の早期活躍が可能となる環境を整備するため、技能実習施設「nmsテクノロジートレーニングサイト」を開設している。

 パーソルホールディングス <2181> [東証P]は、グループ会社PERSOL Global Workforceが外国人材に特化した人材サービスを提供。企業の即戦力として活躍できるミドル層の人材や総合職レベルの人材を対象に、人材の募集・育成から就業・受け入れまでを一貫してサポートしている。

 ウィルグループ <6089> [東証P]は子会社ウィルオブ・ワークが外国人雇用支援サービス「JapanWork」を展開。介護、製造分野を中心に、宿泊、外食など幅広い業種で支援を行っている。また、外国人材の紹介事業を展開しており、ベトナムのホーチミン市工業大学やヴィン工業大学と提携して優秀な人材を確保し企業へ紹介している。

●日本語学校や外国人労働者支援の企業も

 人材サービス事業を主力とする企業以外で注目したいのは、外国人材の受け入れ拡大に伴いニーズが高まっている日本語学校を経営する企業だ。日本語学校の経営のほか、外国人向け転職サイトの運営なども行うヒューマンホールディングス <2415> [東証S]や、JCLI日本語学校を運営する明光ネットワークジャパン <4668> [東証P]などが注目される。

 また、介護付き有料老人ホームの運営などを手掛けるウチヤマホールディングス <6059> [東証S]は、海外人材紹介・支援事業として、インドネシア人材の紹介事業を手掛けており、「登録支援機関」として特定技能外国人の受け入れに関する支援も行っている。賃貸住宅の一括借り上げ事業を展開するJPMC <3276> [東証P]は、フォースバレー・コンシェルジュ(東京都千代田区)と資本・業務提携し、外国人材の住居問題を解消する取り組みを推進する。アルバイト採用コンサルティングなどを行うツナググループ・ホールディングス <6551> [東証S]は外国人採用・人事における総合支援サービス「グローバルワークフォース」を提供しており、これらの企業も外国人材市場の拡大による恩恵を受けそうだ。

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