Jストリーム Research Memo(6):リアル回帰が一巡する2024年にはオンラインが成長力を取り戻す見込み
■市場環境と強み
1. 市場環境
動画配信市場と言っても、Jストリーム<4308>同様、様々な動画配信にトータルで対応できる専業企業はほとんどない。しかし、部分的に類似する企業としては、動画共有・配信プラットフォームでは米Brightcove Inc<BCOV>や米Vimeo Inc<VMEO>、CDN事業者では米Akamai Technologies, Inc.<AKAM>やAmazon CloudFrontを提供する米 Amazon.com Inc<AMZN>が主として挙げられる。いずれもグローバルな巨大企業である。そのほか、自社会員へのサービスとして配信を行っている大手ISP事業者や、大手コンテンツホルダーと提携して副次的に配信サービスを提供するポータルサイト事業者なども、一部同社と類似した事業を行っている。同社の売上高で大きな割合を占める医薬領域のWeb講演会に限ると、木村情報技術(株)やエムスリーデジタルコミュニケーションズ(株)などと事業が重なる。
一方、インターネット動画の視聴環境は、スマートフォンなど動画視聴可能なデバイスを個人が常時携帯するようになったことに加え、Wi-Fi環境の充実や5Gの普及などもあって、屋内外で整備が進んだ。また、SNSや社内ポータルなどでの動画利用の増加、動画を利用することによるコストダウンや販促効果に対する認知向上などが、動画配信の環境を一層充実させている。このため、デジタル化とともに育ったZ世代のみならず、全世代がインターネットで動画を視聴するようになり、さらにコロナ禍においてオンライン化ニーズが高まったこともあり、動画配信市場は急速に拡大した。アフターコロナもハイブリッドなど動画配信に対するニーズは引き続き強い状態が続くと見られていたが、2023年5月の新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴い、特に医薬領域やEVC領域においてリアル回帰の動きが強く現れ、業界はいったん短期的な踊り場を迎えたようだ。しかし、動画配信の利便性や利用価値の高さから、リアル回帰が一巡する2024年にはハイブリッドを含めオンラインが成長力を取り戻すとの見方が強い。こうした環境のなかで、パイオニアかつ専業として長年蓄積してきたノウハウを持ち、常に先端技術を取り込んでいる同社も、成長トレンドへの復帰が期待される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
《HH》
提供:フィスコ