酒井重 Research Memo(4):2024年3月期は下半期に失速するも通期では32.4%の営業増益
■業績動向
1. 2024年3月期の業績概要
酒井重工業<6358>の2024年3月期の連結業績は、売上高が33,020百万円(前期比5.0%増)、営業利益が3,318百万円(同32.4%増)、経常利益が3,324百万円(同42.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益が2,440百万円(同44.0%増)となった。
売上高は、国内では下半期に入ってから主要顧客である建機レンタル会社の投資意欲が後退し5.8%の減収となったが、海外では主に北米がけん引して15.1%の増収となった。利益面では、価格改定とコスト低減による収益構造改革が進み、全体の売上総利益率は前期比2.4ポイント改善した。一方で事業活動再開に伴い販管費は同6.9%増加したが、増収に伴う売上総利益の増加(同14.8%増)により営業利益は大幅増益となった。
営業利益の増減要因を分析すると、増収による増益が405百万円、原価率の改善による増益が800百万円、販管費の増加による減益が391百万円であった。また販管費増の内訳は、人件費の増加300百万円、旅費交通費の増加49百万円、販売手数料の増加27百万円、その他販管費の増加17百万円であった。
2. 地域区分別の動向
国内では、上半期は国土強靭化加速化対策を背景に道路・土木工事などの公共投資関係が比較的堅調に推移したが、下半期に入ってから度重なる価格改定と「2024年問題」を懸念する主要顧客(建機レンタル会社)の投資意欲が後退し、通期の売上高は14,320百万円(前期比5.8%減)となった。海外では、主に北米での建機需要が好調に推移したことから、海外売上高は18,699百万円(同15.1%増)となったが、為替(円安)もプラスに影響した。このうち北米は、住宅着工件数が減少するなか、インフラ投資法を背景とした道路建設投資が拡大したことに加え、シェアアップを目指して行ってきた営業活動の成果もあり、売上高は9,700百万円(同25.1%増)と大幅に増加した。アジアでは、インドネシアは比較的堅調に推移したが、ベトナムと中国が低迷して売上高は7,566百万円(同2.9%減)となった。その他(主に中南米、大洋州、アフリカなど)の売上高は1,432百万円(同103.8%増)となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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提供:フィスコ