雨宮京子氏【日経平均続急伸、4万円大台復帰は見えてくるか】(1) <相場観特集>
―ザラ場3万9000円台回復、6月相場反騰のシナリオは―
3日の東京株式市場は日経平均株価が続伸し一時フシ目の3万9000円台に乗せる場面があった。前週末の米国株市場でNYダウが570ドル高超と約1年ぶりの大幅高を演じ、これに追随する動きとなっている。ただ、3万9000円台は滞留出来高も多く戻り売り圧力も意識されやすい。ここから一段と上昇基調を鮮明に4万円台復帰を目指す展開となるかどうかは、はっきりしない部分もある。夏場に向けた相場展望とここからの物色対象について、経験豊富な市場関係者2人に意見を聞いた。
●「4年前と同じ軌道をイメージ」
雨宮京子氏(雨宮総研 代表)
日経平均は年初からの急上昇パフォーマンスとは打って変わり、4月新年度入りして以降は調整局面に移行、今なお上値の重い動きから抜け出せない状況にある。だが、今秋にかけて流れは良い方向に変わるとみている。
今年は11月に米大統領選が予定されるが、株式市場は4年前の大統領選の時に見られた動きをなぞるようなトレンドを形成するのではないか。4年前は、春先にコロナショックによる全体株価崩落があったが、その後は短期間で立ち直った。しかし6月以降は大統領選が近づくまでは2万円台前半でもみ合いに終始した。しかし、大統領選通過後に上放れた経緯がある。今回もバイデン・トランプ一騎打ちの構図は一緒であり、しかも前回同様に大接戦が予想され、この結果を見極めるまでは米国株市場も売り買いともにポジションを一方向には傾けにくい状況といえる。また、どちらが大統領になるかによって日米の貿易環境なども大きく変わる可能性があり、東京市場も同様に当面は売り買い様子見でトレンドが発生しにくい。ただし、ここを通過すればどちらが大統領となっても、株式市場は政策の方向性を織り込むことが予想され、結果としてアク抜け感から上昇基調を取り戻すとみる。
日本株市場は企業の決算発表を通過して今期も上向きが見込まれるほか、保守的予想が多く総じて上方修正の公算が大きいことで、ファンダメンタルズ面が支えとなって全体相場も大きく崩れることは考えにくいとみている。当面は押し目狙いに徹し、秋口以降の開花を待ちたい。
個別では半導体関連でアドバンテスト <6857> [東証P]はやはり外せない。抜群の好業績を誇るエヌビディア<NVDA>を主要顧客としており、いずれ見直し買いに火が付きそうだ。また、中国での再開発案件が本格始動する宮越ホールディングス <6620> [東証P]は継続注目。消費関連ではインバウンドや富裕層の消費で本命視されるのが三越伊勢丹ホールディングス <3099> [東証P]で、目先高値警戒感はあるものの、短期で最も飛距離を出しそうな局面に入ってきたとみている。このほかバリュー株ではノリタケカンパニーリミテド <5331> [東証P]の割安感が強く、円安メリットも考慮して面白い存在。逆張り対象としては大底圏ながら今期業績底入れが期待される日揮ホールディングス <1963> [東証P]をマークしたい。
(聞き手・中村潤一)
<プロフィール>(あめみや・きょうこ)
雨宮総研 代表。元カリスマ証券レディとして、日興証券時代は全国トップの営業実績を持つ。ラジオ短波(現ラジオNIKKEI)、長野FM放送アナウンサー、『週刊エコノミスト』(毎日新聞社)記者、日経CNBCキャスター、テレビ東京マーケットレポーター、ストックボイスキャスター、SBI証券投資情報部などを経て現在、日経CNBCに出演中。
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