【杉村富生の短期相場観測】 ─"春の嵐"は収束、反騰態勢が整う!
「“春の嵐”は収束、反騰態勢が整う!」
●外国人の心理はFOMO(持たざるリスク)
“春の嵐”は収束に向かいつつある。4月中旬には反騰態勢が整うだろう。イスラム教のラマダン(断食月)が明け、アメリカの確定申告に伴う納税資金捻出の売りは一巡した。国内の機関投資家は例年、3~4月にリバランス、および利食いを優先させる。信託銀行の大量売りがそうだ。しかし、今後は新年度に備えた仕込みが必要になる。
外国人は3月に先物を含め、1兆6021億円売り越したが、これはオイルマネーの影響が大きいと思う。国際マネー(ファンド)の多くはいまだに、日本株の投資判断をアンダーウェイトにしているらしい。だが、昨年来の日本市場は抜群のパフォーマンスを誇っている。彼らは「持たざるリスク」に脅えているのではないか。
ちなみに、海外では「FOMO(フォーモ)」という言葉が話題になっている。FOMC(米連邦公開市場委員会)ではない。「Fear Of Missing Out」の略だ。自分だけが取り残されることの恐怖を意味する。内外の機関投資家がとりあえず、エヌビディア<NVDA>とマイクロソフト<MSFT>を持っていなければ……という心理と似ている。
なにしろ、この2社の時価総額は800兆円に迫っている。AI(人工知能)の先駆企業のMnM(マイクロソフト、エヌビディア、メタ・プラットフォームズ<META>)トリオの時価総額は990兆円だ。売ったら運用競争に負ける。だから、持ち続ける。したがって、株価は上がる。そんな構図である。日本の主軸株が同様のパターンになるだろう。
日立製作所 <6501> [東証P]、トヨタ自動車 <7203> [東証P]、みずほフィナンシャルグループ <8411> [東証P]、東京エレクトロン <8035> [東証P]、ソフトバンクグループ <9984> [東証P]などは玉が吸い上げられている。日銀のETF(上場投資信託)の累計取得額は37兆円(時価評価70兆円)に達する。
●利下げどころか、将来的にはインフレ?
FRB(連邦準備制度理事会)の利下げ先送りは気にする必要がない。再三指摘しているように、大幅な利下げ局面は景気後退、企業業績の悪化を意味している。アメリカ景気は良好だ。株高の効果がある。アメリカの家計は9600兆円の株式・投信を保有している。これが個人消費を支えるパターンである。
それとJPモルガン・チェース<JPM>のジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)が「われわれは利下げ云々よりもインフレに備えるべきではないか」と語っているように、トレンドはデフレではない。インフレだ。特に、日本はインフレ歓迎ムード?になっている。インフレ下の資産防衛は株式投資につきる。
確かに、新東西冷戦構造を契機とする軍事費の膨張、保護貿易主義の台頭、国家主義の高まり(フレンド・ショアリング)はインフレ要因になろう。とはいえ、この流れは止められない。国策に沿うガバメントクラウドのさくらインターネット <3778> [東証P]、データセンターのさくらケーシーエス <4761> [東証S]は引き続いて注目できる。
さらに、国産情報セキュリティのFFRIセキュリティ <3692> [東証G]、ロケット・衛星部品の加工を手掛ける放電精密加工研究所 <6469> [東証S]、ヨウ素(日本が世界最大の埋蔵量を有する)生産、LNG開発のK&Oエナジーグループ <1663> [東証P]、最先端半導体設計のソシオネクスト <6526> [東証P]に妙味があろう。
このほか、北海道(千歳)に半導体工場を建設中のラピダス関連ではクワザワホールディングス <8104> [東証S]、ジェイ・イー・ティ <6228> [東証S]が面白そうだ。国策銘柄の小型衛星のQPS研究所 <5595> [東証G]、ドローンのACSL <6232> [東証G]の相場は終わっていないと思う。
2024年4月12日 記
株探ニュース