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6310 井関農機

東証P
977円
前日比
+3
+0.31%
PTS
979.1円
09:32 11/25
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
0.32 3.07 7.44
時価総額 225億円
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井関農 Research Memo(9):「変革」をキーワードにさらなる100年企業を目指す(2)


■井関農機<6310>の中長期の成長戦略

3) 収益性改善
外部環境の影響にかかわらず、安定して収益をあげるための構造改革を実施することで、収益性を改善させる。具体的には各生産工場で重複している機能などの統合による固定費率の改善、内外作区分の見直しを実施し一部部品の外注による工数削減の実現、IT導入による事業活動の効率化、棚卸資産の削減による資産効率の改善などに取り組んできた。新たに発足した「プロジェクトZ」では主に資産効率化と収益性改善に向けた抜本的構造改革の具体策を定めており、「生産最適化」「開発最適化」「国内営業深化」の3テーマを軸に、収益性改善を加速させていく。

「生産最適化」では、生産機種と拠点の最適配置、将来を見通した設備投資、環境対応と効率化を実行していく。まずは短期集中の抜本的構造改革として、2024年7月に製造会社の経営統合を実施する計画だ。「開発最適化」に関しては、これまでも共通プラットフォームの開発による開発コストの削減と効率化などに取り組んできたものの、成長率と市場規模という2軸から開発機種の選択と集中をさらに加速させていく。具体的には、機種・型式を30%以上削減し、製品利益率を改善していくほか、製造会社の経営統合により工程の集約や間接部門の集約による効率化を実現していく。なお、製品利益率改善に関しては、変動費を10%以上削減することを目指す。「国内営業深化」に関しては、広域販売会社の経営統合により、経営効率の向上と在庫の圧縮を実現していく。これら、資産効率化と収益性改善のための施策を短期集中で断行したうえでさらに、2024年中を目処にさらなる抜本的構造改革施策を公表し、聖域なき事業構造改革を中長期的に実行していく。

4) ESG
4つ目の取り組みはESGを念頭に事業を行っていくことだ。同社は、国内製造所の生産活動から排出されるCO2を2030年までに2013年度比で26%削減すること(2019年削減率は目標9%に対して実績が12%と目標を上回った)、国内売上高に占めるエコ商品比率を2030年までに50%以上に高めることを目標として設定していたが、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に賛同したことを受けて、さらなる環境経営の推進を実施している。具体的には、同社グループ連結会社全体における生産活動から排出されるCO2を2030年までに2014年度比で46%削減すること、国内売上高に占めるエコ商品比率を2025年までに65%以上まで高めること、取引金額の7割を占めるサプライヤーと連携した削減目標の策定や、環境に配慮した製品の開発を推進することを計画している。CO2排出量削減目標の対象に関しては、「グローバル生産拠点」だったものを「連結会社全体」へと拡大している。これにより、ESG経営をより一層加速させた格好だ。これらの環境経営の推進に加えて、事業を通じて「農業の強靭化を応援」「住みよい村や街の景観整備」「循環型社会を目指す環境保全」という3つの面からSDGsの実現に貢献する考えだ。

また社内活動においても、ワークライフバランスの充実やダイバーシティの確保などにより従業員のエンゲージメントを高めることを目標としている。

ESG投資は近年、頻発する自然災害、サプライチェーンにおける人権問題などを受け、機関投資家や個人投資家の間で急速に広まっている。こうしたなか、ESGを考慮しない企業活動を行っている企業は今後資金を調達することがますます難しくなると弊社は予想する。そういった意味でESGを念頭に事業活動を行っていくことは重要であると言える。

また同社は、資本コストや株価を意識した経営を実践していくことを表明している。収益性と資産効率が低水準である現状を踏まえたうえで、「プロジェクトZ」の施策を確実に実行することにより収益性、資産効率、成長性を高めると同時に、IR活動・ESGへの取り組みを強化することによりPBR1倍超えを目指す方針だ。資産効率化と収益性改善で創出したキャッシュを成長戦略分野に重点投資することにより、持続的に企業価値を向上させていく。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)

《HH》

 提供:フィスコ

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