明日の株式相場に向けて=半導体関連のリターンリバーサル
3連休明けとなった9日の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比385円高の3万3763円と大幅続伸。満を持してというべきか、ようやく呪縛が解かれたというべきか。昨年7月以来、半年という時の流れを経て33年10カ月ぶり(1990年3月以来)の高値を更新、俗に言うバブル崩壊後の最高値圏に再突入した。昨年7月3日につけた3万3753円というメルクマールをこれまでザラ場で何度も上回りながら、終値では毎度作ったように上ヒゲを形成して、結果的に更新できない状況が続いていた。きょうも日経平均は一時600円超の上昇で3万3990円と、3万4000円台乗せを指呼の間にとらえたものの、その後に急減速、後場に入って3万3600円まで水準を落とし、またもや長い上ヒゲの形成でお預けというシーンが想起されたが、二枚腰で何とか切り返した。
今は1989年の大納会につけた史上最高値に向けて、ひたすら時計の針を戻すプロセスにある。あと3カ月弱戻せば目標地点(3万8915円)に到達することになる。しかし、時間軸ではわずか3カ月だが、かつて日経平均はこの3カ月間で5000円幅を上回る急勾配を転げ落ちていた。30年以上の歳月をもってして、やっと森林限界にたどり着いたイメージ。株式市場は経済を映す鏡であるとするならば、経済と表裏一体の政治による弊害は大きかったと言うよりない。
個別に目を向けると、半導体関連株に波状的な買いが続いている。売買代金トップ常連のレーザーテック<6920>が朝高後に値を消すなど、主力銘柄の中には買われた反動が表面化しているものも確かにあるが、2番手、3番手銘柄に物色の矛先が向いており、半導体セクターについてはトリクルダウン的な投資マネーの拡散に注目しておきたい。2番手銘柄では何といっても野村マイクロ・サイエンス<6254>の上昇パフォーマンスが秀逸。当欄でも同社株はAIメカテック<6227>とともに継続的に追ってきたが、想定以上のロングラン相場となっている。ただ、株価の位置が高値圏に位置しない銘柄にも順次出番が回るリターンリバーサルの流れが本格化しつつある。こちらに視点を合わせた方が、すぐに結果が伴わなくてもリスクとの兼ね合いで有利な選択肢ともいえる。
そうしたなか、昨年12月下旬まで下値を探っていたソシオネクスト<6526>が戻り足を強めている。ファブレス形態でSoC(システムオンチップ)の設計・開発・販売を手掛けるが、昨年12月末の株主を対象に株式5分割を実施したことが、波動を変える材料となった。通常、株式分割は権利取りの動きで分割実施前に高値をつけに行く傾向があるが、同社株は分割実施直前まで株価水準を大きく切り下げていたことで、望外の買い場を提供する形となった。ここ急速に上値を追っているが、大勢的には波動転換の初動といえそうで、それだけロングランで追えそうな雰囲気を携えている。レーザーテクからバトンを引き継げるかどうか要マークとなる。
リターンリバーサル狙いということであれば、中小型の半導体関連で株価3ケタ台(1000円未満)に位置する銘柄は要注目となる。そのなか、時価総額100億円未満と超小型ながら放熱板製品(ヒートシンク)大手であるテクニスコ<2962>が面白い存在。ヒートシンクは高出力半導体レーザー向けやパワー半導体向けで需要獲得が進んでいる。
また、ダイヤモンド工具で国内シェア40%を誇るトップメーカー、旭ダイヤモンド工業<6140>の戻り足にも着目したい。同社は半導体シリコンウエハー向け研削工具で実績が高く、市況回復を受けて25年3月期営業利益はV字回復が見込まれる。電気自動車(EV)用部材の製造に使われるダイヤモンド工具などの成長テリトリーに展開を図っている点も評価材料だ。このほか、昨年11月にも取り上げたが、商業印刷を主力としながらも半導体マスクを設計から製造まで一貫生産する隠れた半導体関連株である竹田iPホールディングス<7875>は依然として割安感が強く、水準訂正に向けた動きはまだ途上といってもよさそうだ。積極的に増配を行い、24年3月期予想ベースで3%の配当利回りにして、0.4倍台のPBRはあまりに評価不足といえる。
あすのスケジュールでは、11月の毎月勤労統計が朝方取引開始前に発表されるほか、午前中に10年物国債の入札が予定されている。海外では11月の米卸売在庫・売上高に関心が集まる。また、NY連銀のウィリアムズ総裁が経済イベントで講演を行う。(銀)
出所:MINKABU PRESS
最終更新日:2024年01月09日 17時22分
今は1989年の大納会につけた史上最高値に向けて、ひたすら時計の針を戻すプロセスにある。あと3カ月弱戻せば目標地点(3万8915円)に到達することになる。しかし、時間軸ではわずか3カ月だが、かつて日経平均はこの3カ月間で5000円幅を上回る急勾配を転げ落ちていた。30年以上の歳月をもってして、やっと森林限界にたどり着いたイメージ。株式市場は経済を映す鏡であるとするならば、経済と表裏一体の政治による弊害は大きかったと言うよりない。
個別に目を向けると、半導体関連株に波状的な買いが続いている。売買代金トップ常連のレーザーテック<6920>が朝高後に値を消すなど、主力銘柄の中には買われた反動が表面化しているものも確かにあるが、2番手、3番手銘柄に物色の矛先が向いており、半導体セクターについてはトリクルダウン的な投資マネーの拡散に注目しておきたい。2番手銘柄では何といっても野村マイクロ・サイエンス<6254>の上昇パフォーマンスが秀逸。当欄でも同社株はAIメカテック<6227>とともに継続的に追ってきたが、想定以上のロングラン相場となっている。ただ、株価の位置が高値圏に位置しない銘柄にも順次出番が回るリターンリバーサルの流れが本格化しつつある。こちらに視点を合わせた方が、すぐに結果が伴わなくてもリスクとの兼ね合いで有利な選択肢ともいえる。
そうしたなか、昨年12月下旬まで下値を探っていたソシオネクスト<6526>が戻り足を強めている。ファブレス形態でSoC(システムオンチップ)の設計・開発・販売を手掛けるが、昨年12月末の株主を対象に株式5分割を実施したことが、波動を変える材料となった。通常、株式分割は権利取りの動きで分割実施前に高値をつけに行く傾向があるが、同社株は分割実施直前まで株価水準を大きく切り下げていたことで、望外の買い場を提供する形となった。ここ急速に上値を追っているが、大勢的には波動転換の初動といえそうで、それだけロングランで追えそうな雰囲気を携えている。レーザーテクからバトンを引き継げるかどうか要マークとなる。
リターンリバーサル狙いということであれば、中小型の半導体関連で株価3ケタ台(1000円未満)に位置する銘柄は要注目となる。そのなか、時価総額100億円未満と超小型ながら放熱板製品(ヒートシンク)大手であるテクニスコ<2962>が面白い存在。ヒートシンクは高出力半導体レーザー向けやパワー半導体向けで需要獲得が進んでいる。
また、ダイヤモンド工具で国内シェア40%を誇るトップメーカー、旭ダイヤモンド工業<6140>の戻り足にも着目したい。同社は半導体シリコンウエハー向け研削工具で実績が高く、市況回復を受けて25年3月期営業利益はV字回復が見込まれる。電気自動車(EV)用部材の製造に使われるダイヤモンド工具などの成長テリトリーに展開を図っている点も評価材料だ。このほか、昨年11月にも取り上げたが、商業印刷を主力としながらも半導体マスクを設計から製造まで一貫生産する隠れた半導体関連株である竹田iPホールディングス<7875>は依然として割安感が強く、水準訂正に向けた動きはまだ途上といってもよさそうだ。積極的に増配を行い、24年3月期予想ベースで3%の配当利回りにして、0.4倍台のPBRはあまりに評価不足といえる。
あすのスケジュールでは、11月の毎月勤労統計が朝方取引開始前に発表されるほか、午前中に10年物国債の入札が予定されている。海外では11月の米卸売在庫・売上高に関心が集まる。また、NY連銀のウィリアムズ総裁が経済イベントで講演を行う。(銀)
出所:MINKABU PRESS
最終更新日:2024年01月09日 17時22分