IIF Research Memo(6):Webソリューションが好調な一方、アクティブライフは想定を下回る
■業績動向
1. 2024年3月期第2四半期の業績概要
インターネットインフィニティー<6545>の2024年3月期第2四半期の連結業績は、売上高が前年同期比16.8%増の2,434百万円、営業利益が同71.5%増の60百万円、経常利益が同35.5%増の71百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同25.4%増の33百万円となった。売上高に関しては、レコードブック事業、Webソリューション事業、在宅サービス事業の既存事業が着実に売上を伸ばしたことに加えて、2022年10月に連結子会社化した正光技建と2022年12月に合の家から事業譲受した施設介護事業がトップラインを押し上げた。主力事業の1つであるレコードブック事業に関しては、新型コロナの5類感染症への移行など外部環境が好転するなか、しっかりと売上を伸ばした。一部フランチャイズ契約におけるプラン変更等により、FC店舗の売上高が前年同期比で減少したものの、利用者数の回復等を受けて直営店売上が前年同期比で増加したことなどが、FC店舗の減収分をカバーした。一方、利益面に関しては、固定費の削減と業務効率化を目的とした本社移転に伴う費用や、M&Aをした正光技建の業績が想定を下回ったことなどが減益要因となったものの、既存事業がしっかりと利益を積み上げたことにより、連結ベースでは前年同期を上回って着地した。
セグメント別の業績は以下のとおり。
(1) ヘルスケアソリューション事業
ヘルスケアソリューション事業の売上高は前年同期比15.0%増の1,662百万円、営業利益は同0.4%減の155百万円と増収減益となった。
a) レコードブック事業
レコードブック事業の売上高は前年同期比0.5%増の925百万円、営業利益は同13.8%増の124百万円となった。一部フランチャイズ契約におけるプラン変更等によってFC店舗の売上高が前年同期比で減少したものの、利用者数増加等により、直営店の売上が前年同四半期比で増加したことなどを受け、レコードブック事業全体としては増収増益で着地した。新型コロナの5類感染症への移行、高齢者の運動習慣の重要性への理解の高まりなど外部環境が好転するなかで、直営、フランチャイズともに既存店舗の利用者数が順調に増加し、レコードブックの総利用者数は過去最高を更新した。加えて、既存のFCオーナーの増店により、稼働率が高まったことも総利用者数の増大に寄与した。既存オーナーへの増店に注力するという方針の下、稼働率が上昇していることなどを受け、セグメント営業利益率も前年同期比1.6ポイント増の13.4%に上昇している。一方、新規出店に関しては前年同期比2店舗減の累計6店舗となった。社会経済活動の正常化に伴い出店に対するニーズが旺盛なものの、物件選定に想定よりも時間がかかり、旺盛な需要に対応しきれていない状態が続いた。今後は、社内における物件開発体制を強化し、期末に向けては15店舗程度の出店を見込んでいる。
b) Webソリューション事業
Webソリューション事業の売上高は前年同期比36.9%増の141百万円、営業利益は同64.3%増の23百万円と売上と利益が揃って急伸した。収益性の高いWebソリューション事業に注力するなかで、シルバーマーケティング支援、仕事と介護の両立支援、メディカルソリューションとすべてのサービスが揃って増収増益と好調だった。
仕事と介護の両立支援に関しては、SDGs・ESG推進といった事業環境の追い風を受け需要が旺盛ななか、大手顧客に対するクロスセルなどの営業施策を推進することにより、効率的に新規顧客を開拓していった。期中の新規サービス提供開始企業としては、日立グループ計25社、エレケア、丸三証券などが挙げられる。また、「わかるかいごBiz」の提供サービスも順調に拡充されており、2023年8月にはトリニティ・テクノロジー(株)との提携により、「わかるかいごBiz」の顧客に対して、家族信託の基礎知識や事例の紹介を行い、資産凍結に関する課題解決を支援するサービスの提供を始めた。今後も厚生労働省が介護離職を防止することを目的に、すべての企業に対して介護支援制度等の周知を義務付ける方針を決定するなど、事業環境の見通しは明るい。そうしたなかで、ラインナップの強化を継続することにより、導入顧客が拡大していくと弊社は見ている。
シルバーマーケティング支援に関しては、営業活動の強化などが大型案件の受注につながった。同サービスにおいては、同社の提案能力を高めることによって、より川上の工程から顧客のマーケティング活動に携わる戦略をとっている。付加価値を高めることにより案件当たりの単価が上昇し、案件の大型化につながっている格好だ。また、付加価値を高めた提案活動を実施することにより、中長期的には収益性も高まっていくことが期待される。
メディカルソリューション分野に関しては、製薬企業・医療機器メーカー向けのセミナー開催をはじめとする営業活動強化を実施したほか、プロモーション活動にも注力し、複数の新規案件を獲得するなど好調だった。
c) アクティブライフ事業
アクティブライフ事業の売上高は前年同期比41.4%増の594百万円、営業利益は同77.4%減の7百万円と増収減益だった。既存の福祉用具貸与事業が堅調に推移したほか、2022年10月にM&Aした正光技建の連結化が売上高を押し上げた。一方で、利益面に関しては正光技建が営業損失だったことが響いた。正光技建の売上高が想定を下回って推移したなかで、資源価格高騰などの影響を受けた格好だ。売上高が想定を下回った要因は、新たな営業スタイルの確立に時間を要したことである。今後は、Webなどを活用した新規営業手法の採用と販売商材の多角化などにより、早期黒字化を目指していく。なお、同事業に関しては正光技建のM&Aに伴い、2024年3月期第2四半期から従来のケアサプライ事業より名称を変更した。
(2) 在宅サービス事業
在宅サービス事業の売上高は前年同期比20.9%増の771百万円、営業利益は同23.3%増の177百万円と増収増益だった。売上高に関しては、訪問介護のみ前年同期比減収となったものの、その他の既存事業である通所介護、居宅介護支援が増収だったことに加えて、2022年12月に事業譲受した施設介護事業が押し上げた。利益面に関しては、施設介護事業のみPMI関連費用により減益となったものの、その他の事業に関しては揃って増益となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
《SO》
提供:フィスコ