冨士ダイス Research Memo(1):粉末冶金技術と高精度超精密加工技術のリーディングカンパニーを目指す
■要約
冨士ダイス<6167>の創業は1949年に創業者の新庄鷹義氏が線引きダイスの修理に挑戦することから始まった。以来、超硬合金を主軸に耐摩耗工具や金型を製造してきた。超硬耐摩耗工具業界において長期にわたり30%以上のトップシェアを堅持し、創業以来黒字経営を継続しており、2024年3月期第1四半期末時点で77.4%と高い自己資本比率を誇る。
2023年3月期の業績は売上高17,179百万円(前期比1.8%増)、営業利益1,150百万円(同3.3%増)、経常利益1,225百万円(同1.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,292百万円(同63.4%増)と、半導体関連及び自動車電動化関連の需要増が上海ロックダウンや引抜鋼管の需要低迷による鉄鋼向け需要減などで相殺され、売上高は微増となった。利益面では生産性向上、業務改善等の成果があったものの、原材料、電力・燃料のコストアップが響き、一部価格改定に着手したものの営業利益は3.3%増にとどまった。ただし、親会社株主に帰属する当期純利益は、2021年6月に閉鎖した旧大阪工場跡地(1,643m2)を経営資源の有効活用による資産の効率化と財務体質の強化を図るため譲渡(譲渡益約509百万円)したことを含めた固定資産売却益632百万円の計上があったために63.4%増の大幅増益となった。
2024年3月期の業績は売上高17,800百万円(前期比3.6%増)、営業利益1,170百万円(同1.7%増)、経常利益1,230百万円(同0.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益890百万円(同31.1%減)を見込む。2023年3月期は中期経営計画第2期目で計画を若干上回るスタートとなったが、2024年3月期は自動車生産回復の遅延、原材料、電力料金高などの影響がある一方、生産効率向上で営業増益を見込むものの、中期経営計画の予想に対し営業利益は保守的に想定している。
■Key Points
・2023年3月期はコロナ禍の影響から持ち直すもコストアップなどで1.8%増収、3.3%営業増益に
・2024年3月期予想は3.6%増収、1.7%営業増益とコスト高を拡販と販価改定で補い増益確保へ
・中期経営計画で2027年3月期に売上高20,000百万円、営業利益2,500百万円を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 岡本 弘)
《SI》
提供:フィスコ