貸借
証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
日経平均株価の構成銘柄。同指数に連動するETFなどファンドの売買から影響を受ける側面がある
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9432 日本電信電話

東証P
156.0円
前日比
-0.9
-0.57%
PTS
155.6円
21:01 11/22
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
11.8 1.30 3.33 28.36
時価総額 141,258億円
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SB

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サイバーコム Research Memo(4):高い技術開発力と高品質サービス、幅広い協力企業との良好な関係構築が強み


■会社概要

3. サイバーコム<3852>の強みと主要顧客、事業リスクについて
(1) 同社の強み
同社の最大の強みは、創業来培ってきた通信分野を基盤とした高度な技術開発力と、高品質なサービスを提供していることが挙げられる。特に顧客の現場レベルから出てきたニーズをくみ取り、求められる要件に対してプラスアルファの成果物を提供することで顧客から高い評価を受け、リピート受注につなげている。また、既存顧客からの口コミによって新規顧客の開拓にもつなげている。ここ数年は、企業のDX投資の拡大に伴い業務支援システムの開発需要が増大しているが、同社の強みを活かすことで受注を獲得している。

また、業界大手の富士ソフトグループに属することで、独立系ソフトウェア開発会社に比べて不況期において経営の安定性が保たれることも強みと言える。富士ソフトグループでは独立性を重んじているため、同グループへの売上構成比は2023年12月期第2四半期累計で6.9%と小さいものの、グループ内で積み重ねた通信技術を活かしたソフトウェア開発事業を分担・連携することで、グループ内のシナジーを享受している。

さらに、外注先として幅広い協力企業のネットワークを構築していることも、業務量変動時における調節弁の役割を果たしており、収益性を維持しながら事業を拡大できているという点で強みとなっている。IT業界は慢性的な人材不足が続いており、同社も人員増強を進めているものの、まだ十分とは言えない状況にある。人的リソースの不足分を協力企業の活用(人的リソースで1,000名超)によって確保し、売上成長につなげている。ここ数年は旺盛な需要に応えるため外注を活用していたことから、外注費率は2017年12月期の32.7%から2022年12月期は39.1%まで上昇しているが、一方で労務費率は45.2%から38.8%に低下し、初めて外注比率が上回った。なお、IT業界では外注費率の上昇が営業利益率の低下につながるケースもあるが、同社の場合、営業利益率はここ数年着実に上昇している。受注環境が良好なため付加価値の高い案件を選別受注できていることもあるが、開発案件の生産性を落とさずに外注先を上手くコントロールできている結果とも言える。同社は外注先の新入社員を受け入れて自社の社員と同様の研修を行い、一体となって人財育成に取り組むなど良好な関係を構築しており、他社にない強みと考えられる。

(2) 主要顧客
2023年12月期第2四半期累計における主要顧客の売上構成比を見ると、主に通信用や車載向け制御用ソフトウェア開発を受注しているNECグループが23.5%と最大顧客となっている(5G基地局関連の開発案件一巡により前年同期からは7.7ポイント低下)。次いで、日立グループが22.8%となり、上位2社で売上高の5割弱を占めている。主要顧客上位5社は年によって多少の変動があるものの、ここ数年は顔ぶれにほとんど変化がなく安定している。

(3) 事業リスク
主な事業リスクとして、主力であるソフトウェア開発事業の通信ソフトウェア開発では、NTT(日本電信電話<9432>)グループなど大手通信事業者が主な最終顧客となっており、通信事業者の設備投資動向によって受注が左右される点にある。なかでも携帯電話網基地局システムや5Gコアネットワークシステムについては、2020年の5G商用化以降、通信事業者の投資拡大とともに開発案件も増加してきたが、2022年に入って一巡している。ローカル5Gの普及も遅れているため開発案件は減少傾向が続いており、次世代通信規格である6Gの商用化が予定されている2030年頃までは端境期となる可能性がある。

また、売上比率は低いものの最終顧客から直接受注する受託開発案件に関しては、不採算プロジェクトとなってしまうリスクがある。受託開発では要件定義の変更などで想定以上に工期が延伸したり不具合が発生することで、見積もっていた以上に費用が発生するケースがあるためだ。同社はこうしたリスクを軽減するため、受注時の見積もり精度の向上やプロジェクト管理体制の強化に取り組んでおり、ここ数年は大きな不採算案件は発生していない。

そのほか、旺盛な受注に対応するためのエンジニアの採用が予定どおり進まない場合に、採用コストや教育研修コストが増加するリスクがある。同社は人財不足を解消するため、2019年以降の新卒採用において未経験者の採用も開始しており、新卒採用は2020年以降3年連続で100名以上を採用した(2023年は128名)。新人研修は通常2ヶ月間実施して現場に配属されるが、未経験者の場合は3ヶ月の研修期間を要する。研修コストはかかるものの、教育研修を充実させることで早期の戦力化に取り組んでいる。

中途採用については年間30~40名の採用を継続しており、2022年からは未経験者の採用を開始した。ソフトウェア受託開発業界では、IT業界のなかでも採用に苦戦する企業が多いが、同社は既述のとおり横浜だけでなく、仙台、新潟、東京、福岡、愛知などにも事業拠点を有しており、これら拠点で現地採用ができていることから、採用環境が厳しいなかでもエンジニアの増員を図れている。また、離職率(入社3年後)も1ケタ台と業界平均より低い。定期的なフォローアップ研修やスキル向上のための教育研修制度の充実に加えて、働きやすい環境づくりに取り組むことで離職率の低減につなげている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《SI》

 提供:フィスコ

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