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6863 ニレコ

東証S
1,519円
前日比
-39
-2.50%
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業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
10.7 0.72 4.21
時価総額 118億円
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バリュー株の新たなる金鉱脈発見!「化ける低PBR株」特選8銘柄 <株探トップ特集>


―今こそ大地に埋もれるダイヤモンドを探す時、PBR1倍回復は株価の大変貌と同義―

 足もとで高パフォーマンスを演じたバリュー株に利食い急ぎの動きが生じている。しかし、大局的にみて低PBR株の逆襲はまだプロローグに過ぎない。目先の押し目形成は再び投資家に拾い場を提供してくれる可能性が高い。今回の特集ではPBR1倍を大きく下回る銘柄で成長のダイナミズムを内包する銘柄に光を当ててみたい。

●TOPIX優位はバリュー株選好を反映

 29日の東京株式市場では、欧米株高を好感する形で朝方こそ日経平均株価が買い先行で始まったものの、その後は値を消しマイナス圏に沈んだ。大引けは14円安の3万1857円と3万2000円台を割り込んだまま精彩を欠いた状態だ。引け際インデックス買いでわずかながら高くなる場面もあったが、前の日に先物主導で波乱安に見舞われた余韻が残るなか、終日にわたり積極的に買い向かう動きはみられなかった。半導体関連の一角が買い戻される一方、海運、鉄鋼、電力、銀行といったバリュー株セクターに利食い急ぎの動きがみられ、相対的にTOPIXの下落率が目立っている。

 9月は例年海外からの投資マネーが入りにくく、過去のデータから日本株にとってあまり有利とはいえない月であったが、少なくとも月半ばまでは世界の中で東京市場の頑強ぶりが目を引いた。これはひと言でいえば、PBRが低いもしくは配当利回りが高いバリュー株に国内外の投資資金が流れ込んだためだ。日経平均とこれまで連動性が高かったハイテク株比率の高い米ナスダック指数とのデカップリング現象が進んだこと、そして「NT倍率」の低下でも話題を呼んだTOPIX優位の構図が鮮明となったこと、この2つにもバリュー株選好によって日本株に浮揚力が働いたことが裏付けられている。ちなみにTOPIXは、日経平均に先駆けて9月中旬に33年ぶりとなるバブル崩壊後の最高値をつけている。

●バリュー株偏重のアンワインドは短期的

 29日の相場つきに示されるように、足もとではそのバリュー株偏重のアンワインドの動きが出ているわけだが、これはバリュー株からグロース株への資金シフトを意味するものではない。短期的な買い戻しやリバウンド狙いでグロース株が切り返す場面があっても、それは波の上下動であって潮の流れとは異なる。

 それはなぜかといえば、明確な金利上昇局面において、大口のファンド資金などがPERやPBRなど株価指標面で割高な銘柄群に、資金を継続的に投下するという選択肢が採られることはないからだ。10月相場でもバリュー株の調整の後に来るのはやはりバリュー株であり、当面はその循環が繰り返されることになる。

●インフレ警戒高まれば“デフレの権化”は消滅へ

 米国株市場ではここ米長期金利の上昇を嫌気するムードが一気に高まっている。FRBによる政策金利の引き上げが、あと1回あるかないかという最終局面に至って、皮肉にも「金融引き締め長期化を懸念する」というフレーズがメディアを賑わすようになった。利下げのタイミングが逃げ水のように来年後半へとずれ込んでいく。これが米10年債利回りを16年ぶりの高みに押し上げるとともに、投資家のセンチメントを弱気に傾けている。

 しかし、ここで東京市場を改めて俯瞰すると、会社の解散価値を大きく下回っている銘柄、つまりPBR1倍を大幅に割り込んでいる銘柄が非常に多い。世界的なインフレ警戒モードの経済環境において、“デフレの権化”ともいえる超低PBR株が東京市場にはかなりの数今も眠っている状態にある。これは東証による改善要請がなくても、グローバル規模で高インフレが意識されるなか、(企業努力なくしてと言ってしまえば語弊があるが)水かさが増すごとく修正の動きが出て何ら不思議はない。

●大地に埋もれるダイヤモンドを探す

 直近データでは、東証プライム、スタンダード両市場に上場する3300弱の銘柄の中で、PBR1倍未満の銘柄は1650前後とちょうど2社に1社が該当する。このうち、0.6倍台以下(0.7倍未満)の超低PBRといえる銘柄に絞ると930前後で全体の約28%を占めている。仮に東証の改善要請に従ってとりあえずPBR1倍を回復するために必要な株価パフォーマンスは、PBR0.6倍の銘柄で約70%高、0.5倍の銘柄では100%高、つまり2倍化することが求められることになる。

 逆説的になるが、そう遠くない未来に1倍を回復できない企業を探すことの方が難しい時代がやってくる可能性もゼロではない。それは日経平均が5万円、あるいは6万円といった水準を目指す時間軸と合致するかもしれないが、いずれにしても中期的にみて今の日本株市場は大バーゲンセール開催中であったことに後で気づかされるかもしれない。

 当然ながらPBR1倍割れ銘柄は玉石混交であることは否定できない。株価が解散価値以下に放置され続けているということは、机上論的ながら厳しい言い方をすれば当該企業のフローの部分、つまり現在行っている事業をゼロ以下で評価されていることになる。マーケットからの退場を促されているに等しい。となれば、投資家の任務はその対極にある。PBR1倍割れ銘柄で見直し余地が大きい隠れ優良株を見つけ出すこと。大地に埋もれるダイヤモンドを拾うことができるかどうか、今回のトップ特集では、PBR0.6倍台以下の超低PBR銘柄の中から株価変貌余地の大きい8銘柄をエントリーした。

●中期でお宝銘柄となり得る超低PBR株8選

◎ユニプレス <5949> [東証P]...PBR0.37倍

 ユニプレスは自動車プレス部品メーカーで日産自動車 <7201> [東証P]を主要顧客としているが、自動車生産回復を背景に収益環境には追い風が吹いている。また、同社製造の電気自動車(EV)用大型バッテリーケースは抜群の気密性で、日産自のEV「リーフ」向けで高い納入実績を誇る。業績は23年3月期に営業黒字化を果たしたが、24年3月期営業利益は回復色が一段と強まり前期比倍増となる75億円を見込む。しかも第1四半期時点で同利益は29億円近くに達しており、進捗率から一段の上振れも。配当は連続増配で年30円を計画するなど株主還元にも余念がない。PBR0.3倍台は中期的に見直し余地が大きく、株価は早晩9月19日の1297円奪回から新高値圏を進む展開へ。

◎大同工業 <6373> [東証S]...PBR0.27倍

 大同工はバイク用チェーンメーカーでホンダ <7267> [東証P]向けを主力とするが、国内約70%の圧倒的シェアが光る。同社のバイク用チェーンでは経済産業省が発表した2020年版「グローバルニッチトップ企業100選」にも選定された。また、注目を浴びるEVバイクに使われる部品の研究開発を加速させているほか、部品メーカーながらEVバイクそのものの開発に成功している。業績面でも改善色が強い。23年3月期は2ケタ増収も原材料コストの上昇で営業利益は大きく落ち込んだが、24年3月期はトップラインの増勢を維持しつつ、営業利益も前期比45%増の20億円見通しと急回復を見込んでいる。今期は年25円配と大幅増配を計画するが、PBR0.2倍台は大幅な株価の修正余地がある。

◎駒井ハルテック <5915> [東証P]...PBR0.31倍

 駒井ハルテクは橋梁・鉄骨を主体に大型工事で高実績を誇り、超高層建築での活躍が目立つ。風力発電とスカイソーラーなど環境事業にも傾注している。業績は豊富な受注残を武器にトップラインの伸びが際立っている。24年3月期売上高は前期比36%増の540億円予想と過去最高だった09年3月期以来15年ぶりの高水準。営業利益も滑り出しはコスト先行も後半に回収する形で前期比2.9倍の9億円を見込む。安定的に年70円配当を継続しているが配当利回りにして3.6%前後と高く、0.3倍近辺のPBRを考慮すれば株高誘導への期待は大きい。直近2000円を回復し年初来高値を更新したが、昨年1月には2560円の高値をつけており頭打ち感はみられない。

◎北川鉄工所 <6317> [東証P]...PBR0.36倍

 北川鉄は工作機械器具で高い商品競争力を有するほか、自動車用をはじめさまざまな部品鋳造を行う金属素形材事業を展開。更にタワークレーンや立体駐車場などの産業機械事業も手掛け、幅広い分野での“ものづくり”で存在感を示す。24年3月期営業利益は前期比5.2倍の高変化を見込み回復色を鮮明とする見通しだが、進捗率から一段の上振れも見込める状況だ。M&A戦略にも長じており、7月に半導体研磨材などを手掛ける企業2社を買収して新たなビジネスエリアを開拓、工作機械器具との相乗効果に期待が募る。株価は8月中旬に大きく上放れて以降、調整を交えながらも下値を切り上げてきた。PBRは依然として0.3倍台に過ぎず、25日移動平均線近辺の時価は絶好の買い場に。

◎ニレコ <6863> [東証S]...PBR0.63倍

 ニレコはプロセス制御装置を中心にマーキング装置やウェブ制御装置、画像解析装置などを手掛けるが、高度な技術力を生かし半導体製造装置分野をターゲットにレーザー装置や光学部品などのオプティクス事業にも展開する。ハイスペックなフォトマスク用レーザー光源などで実績を積んでいる。EVの普及が本格化するなか、2次電池や燃料電池など次世代バッテリーの重要部材である高機能フィルムでは、その生産工程で必須となる制御・検査装置を提供する。23年3月期は営業利益段階で前の期比倍増となる11億8200万円と急拡大、24年3月期はほぼ横ばい見通しながら想定を上振れる可能性あり。成長力の高さが際立つ一方、株価指標面ではPBR0.6倍台と評価不足歴然。

◎高周波熱錬 <5976> [東証P]...PBR0.62倍

 ネツレンは鋼材に焼き入れを行う高周波熱処理技術(誘導加熱加工)の大手。自動車向けや建築向けで高い実績を有する。プレストレストコンクリートに用いられる高強度のPC鋼棒では群を抜く実力を持つ。新製品では施工性と耐食性に優れた「プレグラウトPC鋼棒」で需要獲得を図っている。また、自動車関連製品も自動車生産の回復が追い風となっている。技術開発力に長けていることもポイントで、従来の溶接とは異なる接合技術「ネツレンMB工法」を開発、10月初旬に大阪で開催される機械要素技術展に出展する。業績面は24年3月期営業利益が前期比17%増の28億円予想と2ケタ成長を見込む。PBR0.6倍台で4.8%前後の配当利回りは魅力。

◎栃木銀行 <8550> [東証P]...PBR0.22倍

 栃木銀は栃木県で2番手に位置し中小企業や個人を顧客基盤としている。比較的規模が小さいいわゆる第二地銀だが、堅実経営で知られ東京や埼玉にも進出している。24年3月期は経常収益(売上高に相当)、最終利益ともに減少する見通しだが年6円配当は継続の見込み。なお、第1四半期(23年4~6月)は経常収益2割減収ながら、私募債及びM&A仲介(事業承継案件)に関する手数料収入が寄与して最終利益は前年同期比87%増の5億6300万円と大幅な伸びを達成している。地銀セクターは超低PBR株の宝庫であるが、同社のPBRは0.2倍強と超割安、300円台前半の株価も考慮して上値余地が意識されやすい。地銀再編の思惑も株価を刺激しそうだ。

◎日本鋳造 <5609> [東証S]...PBR0.43倍

 日鋳造はJFE系の鋳造専業メーカーで、鉱山建機向けを主力としている。独自の技術研究で業界を先駆け、特に低熱膨張合金では30年を超えて培われた歴史がある。売り上げの過半を占める素形材部門は半導体製造装置向け鋳鋼品で高水準の需要を捉え、EV用でニーズが高まっている工作機械向け鋳鉄品の受注増加も追い風となっている。24年3月期営業利益は前期比41%増の10億円を見込む。株価指標面でPBR0.4倍台は割安感が際立つが、PERもわずか7倍台に過ぎず水準訂正期待が強い。株価は年初から下値切り上げ波動を継続し直近は1000円近辺で推移、21年9月につけた高値1193円クリアが当面の目標となりそうだ。

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