KaizenPF Research Memo(3):顧客体験DXを実現する「KAIZEN PLATFORM」サービス
■事業概要
1. 顧客体験DXを実現する「KAIZEN PLATFORM」サービスを提供
顧客体験DXで企業課題のカイゼンを支援する「KAIZEN PLATFORM」サービスとして、動画ソリューション、UXソリューション、DXソリューションを提供している。さらに、ディーゼロの子会社化によりWebサイト制作・リニューアル、ハイウェルの子会社化によりSES事業を加えた。
多くの企業がDXによって自社の業績を伸ばそうとしているが、DXの推進にあたっては人材不足や旧式のシステムの存在がネックとなる3つの壁(ノウハウの壁、リソースの壁、インフラの壁)が存在し、思うようにデジタル化に対応できていないのが現状である。これに対してKaizen Platform<4170>は、顧客自身(システム管理部門ではなく、営業や顧客管理などの現場のビジネス部門)がDXによるKPI(Key Performance Indicator=重要業績評価指標)改善を体験することが必要という考え方に基づき、専門スキルを持った人材が顧客のKPIを改善する各種サービスを提供している。なお同社は、DXに関する巨大なアウトソーシング市場の中でも、営業・マーケティング・カスタマーサービス分野のDX市場をコアターゲットとしている。
動画ソリューションは、5G(第5世代移動通信システム)時代に対応した動画コンテンツ制作プラットフォームを提供し、動画広告や動画コンテンツの制作も行うサービスである。紙媒体やデジタル媒体の別を問わず、既存の素材を基に制作することで、早くかつ高品質でリーズナブルなサービスを提供している。動画制作にとどまらず広告配信や営業での利用など動画の活用までワンストップで支援できることが特徴であり、さらなる競合優位性向上に向けてUX/DXソリューションとの連携を強化している。
UXソリューションは、顧客のサービスをわかりやすく使いやすくすることで、広告効果、商談化率、リピート率といった顧客におけるKPIを改善するサービスである。顧客のWebサイトのUI(User Interface=サイトのデザインなどユーザーから見える情報の総称)改善に関するコンサルティングだけでなく、分析やパーソナライズが容易に実装可能になるツールの提供も行い、UIを向上させるための戦略立案から施策実施まで必要な機能をワンストップで総合的に提供している。DXソリューションは、これらをさらに発展させて、顧客のDXを戦略策定からCRM(Customer Relationship Management=顧客関係管理)までトータルサポートするサービスである。
なお、ディーゼロ及びハイウェルの子会社化にともない、セグメント区分を2023年12月期第1四半期より変更し、グロース(従来のUX/DXソリューションのうちディーゼロを含むWebサイト制作・改善及びCRM改善、集客改善の動画ソリューション)と、トランスフォーメーション(従来のUX/DXソリューションのうちDXに関するコンサルティング/ワークショップ、及び子会社化したハイウェルのSES事業)の2区分とした。
参考に、従来のセグメント区分(UX/DXソリューションと動画ソリューション)による過去4期(2019年12月期~2022年12月期)の売上高と営業利益の推移を見ると、成長投資が先行している段階のため営業利益は低水準だが、売上は高成長を継続している。動画ソリューションについては利益率改善に向けて、単発案件の受注抑制とクロスセル・アップセル戦略によるARPU向上など、クライアントポートフォリオ戦略転換を推進しているため、一時的に売上成長が鈍化している。
組織及び提供サービスも再編し、上流(コンサルティング)から入り下流(制作・BPO・SES)で稼ぐ体制を構築した。今後はグループシナジーによりリカーリング売上の拡大とARPU向上戦略を加速させる方針だ。
2. グロースハッカーネットワークを活用したビジネスモデル
同社の「KAIZEN PLATFORM」サービスのビジネスモデルは、プラットフォーム上でグロースハッカーと呼ぶデジタル専門人材のネットワークを活用していることを特徴・強みとしている。顧客の課題やニーズを踏まえて、同社従業員のPMの下、最適なグロースハッカーのチームを組成して顧客の課題解決に取り組む。グロースハッカーネットワークには、クリエイターやエンジニアなど様々な領域の専門スキルを持つ人材が在籍しており、それぞれの専門領域や得意分野に基づいてWebサイト分析、Webサイトデザイン案作成、ディレクションなどの役割を割り当て、フルリモートでプロジェクトを進める。単に納品して終わりではなく、過去に実施してきた1,200社超、5万件超の豊富な改善事例とデータ蓄積も最大限活用して、プラットフォームを通じてフィードバックしながら改善を進めている。
なお取引構造は、顧客からはサービス料を受け取り、グロースハッカー(法人、個人)に対しては成果連動型の報酬を支払う。同社はPMとサポートに徹しており、プラットフォーム上のグロースハッカーとチームを組むことで人件費の変動費化を図っている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
《YI》
提供:フィスコ