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1959 九電工

東証P
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時価総額 3,593億円
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燃える火の国「熊本関連」、TSMC進出で株高旋風に舞う地元銘柄 <株探トップ特集>


―最先端テック企業の集結で沸騰する九州経済、“特需”満喫へ飛躍の秋が始まる―

 いま、熊本県に熱い視線が向けられている。 半導体受託生産で世界トップの台湾積体電路製造(TSMC)<TSM>が、熊本県に工場建設を進めており、同工場の誘致が発表されて以降、周辺地域及び関連する企業は大きな盛り上がりを見せている。これをキッカケに、同県を中心として九州地方に進出するさまざまな先端企業が急増するなど、大型投資も相次ぐ。加えて官民タッグともいえる巨額な投資もあり、まさに“TSMC特需”に沸く状況だ。燃える火の国「熊本関連」を追った。

●官民タッグで攻勢へ

 TSMCが、ソニーグループ <6758> [東証P]やデンソー <6902> [東証P]と熊本県菊陽町に半導体の新工場を建設中だ。日本政府からは最大4760億円の補助を受けるなど、国のバックアップ体制も万全といえる。かつて半導体市場を席巻した日本勢だったが、いまや世界のトップランナーから引き離され、気がつけば迷走状態に。しかし半導体が経済安全保障に直結する世界情勢下、弱体化した日本の半導体業界復活は喫緊の課題だった。こうしたなか、TSMCの誘致に成功した熊本に続き、北海道には次世代半導体の国産化を目的にトヨタ自動車 <7203> [東証P]、NTT <9432> [東証P]、そしてソニーGといった日本を代表する8社で設立した「ラピダス」が新工場を建設するなど、いままさに反転攻勢の時を迎えようとしている。

 かつて半導体産業が盛んだったことからシリコンアイランドと称された九州だが、TSMC進出を契機に、国内の最先端企業が熊本県を目指しており、地域経済への貢献は膨大なものになりそうだ。こうしたなか、半導体製造装置部品を手掛けるフェローテックホールディングス <6890> [東証S]も、熊本県大津町に生産拠点の竣工(2024年6月)を予定しており、シリコンアイランド九州で攻勢を強める方針を鮮明にしている。また、既に熊本県に進出している企業も多い。東京エレクトロン <8035> [東証P]は、グループに製造子会社の東京エレクトロン九州(熊本県)を擁し、24年秋には合志事業所に新開発棟の竣工を予定。半導体市場の需要拡大に対応する構えだ。

 現地をよく知るネット証券アナリストによると「(熊本は)まず一部地域を中心に不動産価格が高騰している。もともと安かったということもあるが、業界関係者の間では北海道千歳の土地を今のうちに買い漁れという冗談が飛び交っているほどだ。また、TSMC工場の社員食堂で募集している従業員の時給もかなり高いようで、通常では考えられないサービスインフレ状態にある。これは、すべて、グローバル価格によるもので、熊本が局地的に異国の地と化している」と話す。

 また、「(地域経済の活性化で)熊本とその周辺をエリアとする地銀、スーパーなどに注目」(同)としており、TSMC関係者をはじめ、さまざまな企業進出による労働人口の急激な流入で、地域経済が潤う構図が鮮明となっている。特に、工場建設が進む菊陽町周辺の人口増は顕著で、地価の上昇も目を見張る。熊本国税局による今年1月1日時点の菊陽町の路線価は、一部地域で前年比19%上昇している。

●平田機工は「期待感」

 当然のことながら、TSMC進出による地元「熊本」経済への影響は非常に大きい。こうしたなか、投資家の関心が高いのが、熊本市に本社を構える平田機工 <6258> [東証P]だ。同社は、各種生産システム、産業用ロボットや物流関連機器などの製造及び販売を行うが、地元企業であることに加え、TSMCとは台湾子会社を経由して取引があるだけに、株式市場でもその動向に関心が集まっている。会社側では、TSMCの熊本進出について「当然のことながら歓迎しているが、具体的なことについては答えられない」(コーポレートコミュニケーション部)としながらも、同社は装置メーカーとの取引が多いことから「そうした企業を通して、受注への期待感はある」(同)と話す。

 平田機工の24年3月期の連結営業利益予想は、前期比8.8%減の54億円を予想するが、設備投資が緩やかに増加するなか、第1四半期(4~6月期)は前年同期比48.6%増の15億300万円と順調な滑り出しとなった。半導体装置メーカーの継続的な設備投資に加え、電気自動車(EV)シフトへの加速で自動車メーカーからの設備投資が増加した。株価は、8月17日につけた直近安値の6940円を底に上値指向。現在は、7000円台後半に位置するが、8000円台復帰からの一段高期待も。

●飛躍期待の地元「熊本」企業

 もちろん熊本が地元の企業は平田機工だけではない。同県に本社を構える上場企業は多くはないが、今後“TSMC効果”を背景に飛躍期を迎える可能性もあるだけに注目したい。

 九州フィナンシャルグループ <7180> [東証P]は九州の地銀大手で肥後銀行と鹿児島銀行を傘下に持つが、地域経済の活発化による恩恵は大きい。ちなみに、本店は鹿児島県だが、本社は熊本県に所在する。同社は、TSMC進出による熊本県への経済波及効果について、31年までの10年間で約6兆8518億円の巨額に上ると試算している。同試算のなかで「地域の金融機関として、産官学金と連携し、県内及びオール九州の域内投資・調達率向上に努める」としており、まさにビッグチャンス到来といえそうだ。株価は、シリコンアイランド復活思惑を背景に上昇一途、今後の展開からも目が離せない。

 インターネットやVR(仮想現実)を活用した戸建て・住宅・不動産販売を行うLib Work <1431> [東証G]も同県山鹿市に本社を置く。同社の瀬口力社長は、8月18日に実施した23年6月期決算説明及び中期経営計画の質疑応答のなかで、TSMC進出について言及している。同氏は、「TSMCの後を追うように数十社の台湾企業が熊本への拠点づくりを希望している」とし、更に日本の大手企業も相次ぎ進出するなかで「相当な住環境を整備しなければ回らないだろう」と話している。23年6月期は先行投資などにより減益となったが、エリア+顧客層拡大により集客が好調に推移し、売上高は過去最高に。続く24年6月期連結業績予想は、営業利益段階で前期比97.2%増の5億9000万円を計画する。

 コンクリート2次製品メーカーで九州最大手のヤマックス <5285> [東証S]にも妙味がありそうだ。建築床板などで首都圏にも展開する。国土強靱化計画を背景に、防災・減災、そして各種インフラの老朽化対策などにも活躍領域を広げるが、同社の本店所在地である熊本県内の大型企業誘致に関連する事業も多く計画されているとし、新型コロナウイルスの影響で縮小傾向にあった民間需要も徐々に回復するとみている。株価は、8月2日に844円まで買われ年初来高値を更新した後は上昇一服ながら、ここにきてはじわり上値指向も。

 九州・北海道で観光施設を運営するグリーンランドリゾート <9656> [東証S]にもビジネスチャンスが到来しそうだ。遊園地やゴルフ場、ホテルなどを展開するが、九州地域における企業の進出などによる経済活動の活発化は、ゴルフ場をはじめとする同社のレジャー施設にも好影響を与えそう。奇縁なのは、同社は「ラピダス」の工場が建設される北海道でもレジャー事業を展開しており、ビジネスチャンスが芽吹いている。出来高流動性に乏しいところには注意が必要だが、そっと目を向けておきたい銘柄だ。

 実は、個人投資家に人気のあるビューティ花壇 <3041> [東証S]も熊本市に本社を構えている。生花祭壇の企画提案・制作・設営で全国展開をしており、加えて業態も全く違うことからTSMC効果が業績に大きく関わることはなさそうだが、地元熊本関連の一角として注視しておきたい。8月中旬に発表した23年6月期の連結営業利益は、前の期比20.0%増の1億2400万円になり、従来予想の1億1000万円を上回り着地。きょうは急速人気で、ストップ高になっている。

●九州全域に好影響波及へ

 TSMC進出は、熊本県だけではなく九州で事業を展開する企業にもビジネスチャンスを生みそうだ。なかでも、経済活性化で傘下に福岡、熊本、十八親和銀行を持つふくおかフィナンシャルグループ <8354> [東証P]をはじめ地銀に活躍の場が広がりそうだ。そのほかでは、九州電力 <9508> [東証P]系で電気工事会社の九電工 <1959> [東証P]、福岡市を地盤にマンション開発・分譲を行うコーセーアールイー <3246> [東証S]、総合リース九州最大手の九州リースサービス <8596> [東証S]などにも成長期待。

 また、九州を地盤に郊外型ビジネスホテルを全国展開するアメイズ <6076> [福証]、タクシー大手の第一交通産業 <9035> [福証]、郊外型レストランを運営するジョイフル <9942> [福証]など福証銘柄にも目を配っておきたい。

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