ファブリカ Research Memo(1):2023年3月期は過去最高業績を達成。2024年3月期も業績更新を見込む
■要約
ファブリカコミュニケーションズ<4193>は、法人向けSMS(ショートメッセージ)配信サービス「メディアSMS」と中古車販売業務支援クラウドサービス「symphony(シンフォニー)」を主軸に、世の中の変化を好機と捉え、テクノロジーによる社会課題の解決に取り組んでいる。1992年創業、本社所在地は愛知県名古屋市である。
1. 2023年3月期の業績概要
2023年3月期の業績は、売上高7,600百万円(前期比29.7%増)、営業利益1,282百万円(同38.9%増)、経常利益1,262百万円(同34.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益810百万円(同41.1%増)と、売上高・営業利益ともに過去最高業績を更新した。主力であるSMSソリューショングループの売上高が同38.2%増となり、全事業のなかでも最大の伸び率を示したことが寄与した。期初に想定していなかったコロナ関連特需が売上高で約2億円発生した。利益率も高かったことが最大の上振れ要因となったと見られるが、これを除いても過去最高の売上高・営業利益を更新しており、着実に業績が拡大した。
2. 2024年3月期の業績見通し
2024年3月期の業績は、売上高で前期比18.0%増の8,967百万円、営業利益が同10.6%増の1,418百万円、経常利益が同12.9%増の1,424百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同10.3%増の893百万円と、2023年3月期に発生したコロナ関連特需の反動減やAI研究開発の先行投資、アクションリンク事業への投資など業容拡大に伴う成長投資の増加を見込む一方、SMSソリューショングループを中心とした順調な顧客拡大及び売上増加に伴い、過去最高の売上高・営業利益を見込む。SMSソリューショングループの売上高においては「メディアSMS」の新規導入社数が売上高の先行指標となっており、四半期ごとに200社程度の新規顧客の増加が継続しているため、成長に鈍化も見られない。営業利益率が2023年3月期の16.9%から2024年3月期は15.8%へと1.1ポイント低下する見通しとなっているが、これは2023年3月期に利益率が高いコロナ関連特需がSMSソリューショングループで発生したことの反動減が見込まれること、2023年6月に設立したSparkle AI(株)が生成AIに関連した先行開発投資や高度人材採用を進めていくことなどが背景にあり、大きな懸念は不要と見られる。
3. 中長期成長戦略
同社は、SMS配信サービスと中古車販売事業者向けの業務支援サービスを主力事業とし、顧客数×顧客単価の最大化による高成長を続ける方針である。SMSソリューショングループでは導入支援・コンサルティングを含めたサービス体制による「差別化戦略」で市場をけん引し、U-CARソリューショングループでは「コスト・リーダーシップ戦略」により顧客基盤の構築を進めることをそれぞれ基本戦略としている。
■Key Points
・主力のSMSソリューショングループでの自治体向けコロナ関連特需の発生もあり、2023年3月期業績は2ケタ増収増益。売上高・営業利益は過去最高業績を達成
・2024年3月期は前期に発生したコロナ関連特需のはく落やSparkle AI関連の先行投資等が見込まれるが、引き続き過去最高の売上高・営業利益を見込む
・顧客数×顧客単価の最大化により高い中期成長が続く
(執筆:フィスコ客員アナリスト 永岡宏樹)
《SI》
提供:フィスコ