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4498 サイバートラスト

東証G
2,200円
前日比
-21
-0.95%
PTS
2,192.6円
09:40 11/25
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
20.9 2.84 0.80 34.55
時価総額 179億円
比較される銘柄
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ソリトン

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サイバートラスト Research Memo(3):認証・セキュリティサービスなど3つのサービスを展開(1)


■事業概要

1. 事業概要
サイバートラスト<4498>は、2017年10月の企業合併を通じ、DXの時代に必須のトラストサービスとして、認証・セキュリティサービス(旧 サイバートラスト)とLinux/OSSサービス(ミラクル・リナックス)を主力に、これらの技術を融合した独自のIoTサービスと、3つのサービスを展開している。「国内最長の電子認証局運用実績」と「国内唯一のLinux OSディストリビューター」として培った技術力と高品質サービスを強みとしている。

過去5期(2019年3月期~2023年3月期)の売上高と売上構成比の推移を見ると、各サービスとも拡大基調である。2019年3月期を起点とすると2023年3月期に、認証・セキュリティサービスは39.8%成長、Linux/OSSサービスは38.2%成長、IoTサービスは100.7%成長した。なおLinux/OSSサービスは2023年3月期に微減収の形となったが、前期に発生した駆け込み需要の反動※の影響であり、この影響を除く調整後ベースでは24.6%増収となった。売上高構成比は成長分野と位置付けているIoTサービスの構成比が上昇基調(2019年3月期14.1%から2023年3月期19.1%まで上昇)であると言える。

※CentOSプロジェクトがCentOS8のサポートを2021年12月31日で終了すると発表したことを受けて、同社がその受け皿として延長サポートサービスを提供したもの。CentOS延長サポートサービスのうち2022年3月までに獲得した案件は計311百万円である。


取引形態は、プロフェッショナルサービス(コンサルティングや受託開発など)、ライセンス(製品ライセンス)、リカーリングサービス(電子証明書サービス、製品サポートなど)としている。成長戦略として、全サービスにおけるリカーリングサービス売上の拡大、リカーリングサービス売上比率の上昇を推進し、リカーリングサービスの機能拡充やサービス品質向上などによる付加価値向上、パートナー経由のサービス拡大、カスタマーサービス・更新案件管理の徹底などに取り組んでいる。

過去5期のリカーリングサービス売上高は拡大基調である。2023年3月期のリカーリングサービス売上高は4,005百万円で過去最高となった。リカーリングサービス売上比率は全社ベースではおおむね60%前後で推移し、2023年3月期は64.9%まで上昇した。安定収益が積み上がるリカーリングサービス型のビジネスモデルであることも特徴としている。なおサービス別のリカーリングサービス売上比率は、認証・セキュリティサービスでは7~8割、Linux/OSSサービスでは6~7割、IoTサービスでは1割弱で推移している。今後はIoTサービスにおいてもリカーリングサービス売上の拡大を推進する方針だ。

2. 認証・セキュリティサービス
認証・セキュリティサービスは、デジタル社会の身分証である電子証明書※1、電子的本人確認・電子署名※2のトラストサービスを提供している。同社は、国内初で国内最長の運用実績を持つ商用電子認証局(申請者の本人確認、電子証明書の発行、発行済証明書の管理などを行う信頼できる第三者機関)として、かつ国際的な監査規格に合格した電子認証局として、20年以上にわたってSSL/TLSサーバー証明書やクライアント証明書などを発行している。

※1 Webサイト運営者の実在性を証明するサーバー証明書、業務利用許可端末を認証して社内ネットワークへのアクセス権を制御するデバイス証明書、従業員・会員などを認証するユーザー証明書などがある。
※2 電子取引の信頼性を担保するiTrustサービスなどがある。


主要サービスとしては、パブリック証明書サービスでSSL/TLSサーバー証明書のSureServer Prime、フィッシング詐欺対策メール用電子証明書のSureMail、電子認証局サービスで端末認証証明書発行管理サービスのサイバートラスト デバイスID、ユーザー認証用証明書発行管理サービスのサイバートラスト パーソナルID、認証局アウトソーシングサービスのサイバートラスト マネージドPKI、トラストサービスで電子取引の信頼性を担保するiTrust(iTrust本人確認サービス、iTrust電子署名用証明書、iTrustリモート署名サービスなど)、プロフェッショナルサービスで情報セキュリティコンサルティングサービス、脆弱性診断サービス、WebセキュリティサービスでWAF Essentials Plusなどがある。

なお同社は、英国の調査会社Netcraft Ltd が行った日本市場のEV(Extended Validation)サーバー証明書に関する調査データで、SureServerシリーズが国内のEVサーバー証明書市場において枚数シェア46.6%を占め首位となった(2022年12月実績)と2023年2月に発表した。同社は2017年から5年連続で国内EVサーバー証明書市場の枚数シェアで首位となっている。

3. Linux/OSSサービス
Linux/OSSサービスは、一般的なSIerがOS上にアプリケーションシステムを構築しているのに対して、同社はLinuxディストリビューションとしてLinuxカーネルに必要な機能を組み合わせ、特定業務用機器への組込用途としてシステム監視やシステムバックアップ等の製品・サービスを提供している。企業向けサーバー用途を主力に、航空管制システム、産業機器、通信インフラ、自動車関連など重要システムで多数の採用実績があり、グローバルOSSコミュニティで活躍するエンジニア集団による国内唯一のLinuxディストリビューターの地位を確立している。

主要サービスとしては、Linux OSでAlamaLinux OSサポートサービス、サーバーOS/クラウド基盤のMIRACLE Linuxサービス、CentOSソリューション、LinuxコンサルティングサービスでLinux脆弱性メンテナンス・サービス、インフラソリューションで統合監視・運用統合・自動化のMIRACLE ZBX、脆弱性管理のMIRACLE Vul Hammer、システムバックアップのMIRACLE System Savior、クラスターソリューションのMIRACLE CLUSTERPRO Xなどがある。

なお、国内の企業向け無償Linuxで最も使用されているCentOS 7のサポートが2024年6月で終了することに伴いセキュリティリスクが高まっている。これにより、後継OSへの移行に時間を要する企業や団体などからCentOSの延長サポート契約件数が増加することが見込まれている。同社は2023年5月に、米国のCloudLinux Inc.との提携を発表した。この提携により長期サポート体制の強化とともに、システムを停止せずに脆弱性パッチなどのソフトウェアが適用できるセキュリティ向上サービスなどの付加価値あるサポートサービスすることができるようになった。同社はCentOS7サポート終了を追い風と捉え、従来の顧客に加えてCentOSからの移行に時間を要すると見られる地域や中堅/中小企業に対し、パートナーと協力してサービスの提供を拡大する方針だ。

また、CentOS7のサポート終了後の受け皿となるLinux OSとしてAlmaLinux OSが有力視されている。同社は2023年5月に、AlmaLinux OSを運営する非営利財団The AlmaLinux OS Foundationに日本企業として初めてプラチナスポンサーとして参画し、コミュニティメンバーと協働してAlmaLinux OSの共同開発を行うことを発表した。同社はCentOSの延長サポート対応とともに、AlmaLinux OSへの移行支援と有償サポート対応により事業拡大を推進する方針だ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)

《SI》

 提供:フィスコ

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